【輸入車パワーユニット比較】4つの個性、「走り」にこだわって選ぶなら…南陽一浩 | Push on! Mycar-life

【輸入車パワーユニット比較】4つの個性、「走り」にこだわって選ぶなら…南陽一浩

いまやエンジンは多くのタイプから選べるようになった。そんな多様なパワーユニットからどのモデルを選ぶべきか。後編は南陽氏による比較インプレッションをお届けする。

自動車 ニュース
バリエーション豊かなパワーユニットを揃える輸入車。南陽一浩氏がその違い、選び方を解説する
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  • プジョー 308 GT BlueHDi
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オーソドックスなガソリンエンジンや、そこに電気の力をプラスしたハイブリッド、そして経済性に優れたディーゼルと、いまやエンジンは多くのタイプから選べるようになった。そんな多様なパワーユニットからどのモデルを選ぶべきか。

ディーゼルエンジンを搭載したプジョー『308』、プラグインハイブリッドのフォルクスワーゲン『ゴルフGTE』。そしてガソリンエンジンを搭載したメルセデスベンツ『Aクラス』とBMW『120i』の4台をモータージャーナリストの大谷達也氏と南陽一浩氏が解説する。後編は南陽氏による比較インプレッションをお届けする。

ディーゼルだからこそ際立つシンプルさ…プジョー 308 GT BlueHDi

実質的にユーロ6以降になって「クリーンディーゼル」はようやく日本に上陸。逆に欧州は今、ハイブリッドが普及フェイズで、日本でクリーンディーゼルはまだこれから。そんな中、2リットルディーゼルで180ps・400Nmもあるのに車重1420kgの軽さが、308GTの突出したところだ。

もっといえばAWDや電気モーターを要しないシンプルなFFの2WDながら、欧州車らしい動的質感を備えているのだ。アイシンAW製6速ATとの、滑らかさとピックアップのバランスもいい。段差でも伸びまでビシッと剛性感あるダンピングながら、当たりは柔らかで微低速からよく動く足も、いわば軽さを利して平均速度の高い乗られ方に向けたセッティングで、プジョーの本領といえる。

輸入Cセグ唯一のPHVとしてもうひと息欲しい…フォルクスワーゲン ゴルフGTE

Cセグメントで車両重量1580kgは重過ぎ? かと思っていたが、電気モーターの蹴り出しのおかげで発進時のモタつきはなく、乗り心地に抑えが効いて、逆に高級感になっているタイプだった。パワートレインの滑らかさもダイレクト感も申し分ない。内燃機関のタコメーターの、機械式みたいな動きも面白い。

惜しむらくは白×青のカラーリングの、青のニュアンス。PHVらしさを主張する必要性も、チェック柄シートでゴルフGTの新しい歴史にフックさせたいのも分かるが、この青が電力会社センス過ぎて「電気=クール」というメッセージを伝え切れていない。日本では未発売だがルノー『ゾエ』あたりは、巧く青を採り入れているし、価格に対してカッコよさを伴わない点が惜しい。

グッド・ルッキンなプレミアム・ハッチバック…メルセデスベンツ A 250 4MATIC

パワーシートの調整スイッチはドア側。ドアパネルとダッシュボードには刺激的な赤いステッチで張られたレザー、カーボン調のインストルメンタルパネルの精緻な質感。さすがメルセデスのAMGレザーエクスクルーシブパッケージ、静的質感はCセグメントの平均点からアタマふたつほど出ている。

だが、ダイナミックセレクトを足まわり・エンジンともスポーツに設定して走ってみたが、もっさり感は残る。フル加速で後輪が蹴る感覚は多少あるが、1.6トン近い車重がつきまとうのか、後味が軽くない。サスをコンフォートにすると乗り心地は柔らかく丸くなるが、上のクラスのクルマとはやはり差はある。スポーティ外観とプレミアムライドの間で迷ってみる、そんな一台だ。

FRハッチバックとしての完成度の高さ…BMW 120i Style

走り出すと乗り心地に多少の神経質さはあるが、新しい直4・2リットルターボと8ATのパワートレインの滑らかさ、素直なハンドリングに独特の上質さを感じる。次期1シリーズがF45、つまり『2シリーズ アクティブツアラー』とのプラットフォーム共有が決定済みの今、現行F20の1シリーズの第一義はFRである点だ。

それでも走りに尖りたいならF22、「M2」までいかなくても「2シリーズ クーペ」という手があるし、レザーとファブリックのコンビ内装、ボタン類の多い操作系は好悪を分けそう。実際、コクピットも後席もハッチバックとしてはかなりタイト。「プレミアム」のベクトルが相当に走りに向いているという意味で、それだけエゴイストなハッチバックなのだと思う。

南陽一浩|モータージャーナリスト
1971年生まれ、静岡県出身。大学卒業後、出版社勤務を経て、フリーランスのライターに。2001年より渡仏し、パリを拠点に自動車・時計・服飾等の分野で日仏の男性誌や専門誌へ寄稿。現在は活動の場を日本に移し、一般誌から自動車専門誌、ウェブサイトなどで活躍している。

協力:プジョー・シトロエン・ジャポン、フォルクスワーゲングループジャパン、BMW、メルセデス・ベンツ日本

《南陽一浩》

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