“本格”カーオーディオのススメ! Part.3『フロント3ウェイ』にトライ!<前編> | Push on! Mycar-life

“本格”カーオーディオのススメ! Part.3『フロント3ウェイ』にトライ!<前編>

音にご興味をお持ちの方々に、“本格”カーオーディオの楽しさをご紹介している。その3つ目として当回からは、“究極形”ともいえる『フロント3ウェイ』を取り上げる。その前編となる今回は、このスピーカーレイアウトが“本格”たる理由を、詳細に解説していく。

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フロント3ウェイスピーカーの装着例。製作:パラダ(福井県)。

音にご興味をお持ちの方々に、“本格”カーオーディオの楽しさをご紹介している。その3つ目として当回からは、“究極形”ともいえる『フロント3ウェイ』を取り上げる。その前編となる今回は、このスピーカーレイアウトが“本格”たる理由を、詳細に解説していく。

■メリットと難しさの両方を備えているところにこそ、“本格”たり得る要因が…。

ここまで、『外部パワーアンプ』を使う“本格”と、『マルチアンプシステム』という方式でスピーカーを鳴らす“本格”をご紹介してきた。今回は、これらよりももう1歩進んだ“本格”を取り上げようと思う。それが『フロント3ウェイ』である。

なお、『2ウェイ』と『3ウェイ』には、どちにも一長一短がある。であるので、どちらが優れたシステムであるか、ということを一概に言うことはできない。ただ、『3ウェイ』のほうが運用が難しくコストもかさむのだけれど、上手くいったときには、音が良くなる可能性が高くなる。この、難しさとメリットの大きさ、この両方を備えているところにこそ、“本格”たるゆえんがあるのだ。

さて、『3ウェイ』の難しさとメリットとはそれぞれどのようなものなのかを、詳しく分析していこう。まずは、上手くいったときに音が良くなる理由から、ご説明していく。

理由は主に2つある。まず1つ目の理由は、「各スピーカーユニットが、得意な仕事だけに専念できること」である。

ところで、スピーカーシステムの1つの理想形は、1つのユニットだけで高音から低音までをスムーズにかつ正確に再生すること、である。それが可能であれば、音の出所を1点にまとめることができる。しかしながらそのようなスピーカーユニットを作ることはなかなかに難しい。であるので、『セパレート2ウェイ』が存在しているのであるのだが…。

■ミッドレンジを加えることで、ミッドウーファーの負担を軽減可能に。

しかしながら『2ウェイ』でも、実はまだまだミッドウーファーの担当範囲は結構広く、多くの2ウェイスピーカーのミッドウーファーは、特に高域側の再生を苦手としている。担当範囲すべてを、スムーズに正確に再生できるミッドウーファーはなかなかない、というのが実情なのだ。

ところがそこにミッドレンジ(スコーカー)を加えれば、苦手としていた中音の再生をミッドレンジに任すことができるので、ミッドウーファーの負担は相当に軽減される。トゥイーター、ミッドレンジ、ミッドウーファーが、それぞれ得意な仕事にだけ専念できるようになるのだ。負担が減れば、それぞれの仕事のクオリティが上昇する、というわけなのだ。

続いて、上手くいったときに音が良くなる2つ目の理由を解説していこう。それは、「音楽の主要なパートである中音を、目の前のスピーカーから聴くことができること」だ。

『2ウェイ』では中音の再生を、ドアに装着したミッドウーファーが担当するのだが、ドアのスピーカーとは正対できないので、スピーカーが発する情報を額面どおりに得られにくい。美味しい部分にも関わらず、その旨味をロスしてしまう可能性があるのだ。さらには、その美味しい部分が足元にたまってしまう心配も出てくる。

それに対して『3ウェイ』では、主要な中音パートを担当するミッドレンジを、目の前に装着することが可能となるので、中音を担当するスピーカーと正対できるようになる。中音の情報をロスする可能性が減るのだ。そして、美味しいところが足元にたまってしまう心配もなくなるのである。

■サウンドチューニングの難易度は上がり、コストもかさむ…。

上記の2つのメリットは、音に相当に効いてくる。しかし…。これらのメリットを100%得ようと思っても、これがなかなか難しい。というわけで続いては、どう難しいのかを説明していこう。

単純に、音の出所が3か所となるので、サウンドチューニングを行う際の、ケアすべき項目が増える。そして、あちらを立てればこちらが立たない、ということも起こりがちとなってしまう。結果、それぞれから発せられる音を1つにまとめることが難しくなる。音がバラバラになってしまうと、むしろデメリットのほうが大きくなる。失敗することも有り得る、というわけなのだ。

さらには、システムが大がかりになることも難しさといえる。つまり、予算的なハードルが上がるのだ。

なぜなら、『3ウェイ』を組むときには、『マルチアンプシステム』でそれを運用することが前提となるのだけれど、となると必要となるパワーアンプのchが増え、使用するケーブルの本数も増える。その上、スピーカーユニットが1つ増える分、取り付けの難易度も上がり、工賃もかさんでくる。

いかがだったろうか。成功した場合には『3ウェイ』には大きなメリットがあり、そのメリットを得たいがために、困難が大きくても、予算がかさんでも、マニアは“本格”的であるこのシステムにトライしたくなる、という次第なのである。

ところで…。この“本格”を、より合理的に、よりリーズナブルに運用する方法も、実はいくつかある。それについては回を改めて、じっくりと解説していきたいと思う。続編を乞うご期待。

《太田祥三》

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