【プジョー 2008 GTライン 試乗】SUVと呼ぶべきか否か、「SW」の再来…中村孝仁 | Push on! Mycar-life

【プジョー 2008 GTライン 試乗】SUVと呼ぶべきか否か、「SW」の再来…中村孝仁

プジョーのコンパクトモデルと言って思い出されるのは『205』。日本でも華々しくヒットし、それ以降のプジョーハッチバックに勢いを付けた。『206』時代 、『207』時代にはワゴンやクーペカブリオレなどのラインナップが増強された。

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プジョー 2008 GTライン
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プジョーのコンパクトモデルと言って思い出されるのは『205』。日本でも華々しくヒットし、それ以降のプジョーハッチバックに勢いを付けた。『206』時代 、『207』時代にはワゴンやクーペカブリオレなどのラインナップが増強された。

ところが『208』の時代になるとクーペカブリオレもワゴンもなくなり、208は3/5ドアのハッチバックのみに絞られた。代わって登場したのが4桁の車名を持った『2008』である。つまり、ワゴンモデル「SW」の生まれ変わりがこの2008というわけなのだが、プジョー的にはどうしてもSUVとして位置づけたいようだ。

その2008、デビュー以来3年目の昨年、大掛かりなフェイスリフトが断行された。まず2016年前半にそれまで組み合わされていた5速ETG(注:セミAT)に代わり、やっとまともな6速ATが組み合わされることで、走りの質感が大幅に向上した。エンジンもNAの3気筒82psからターボ付き110psに向上し、動力性能の向上も著しい。そして2016年9月、今度は外観をフェイスリフトして今に至るという流れである。

現行2008には「アリュール」と「GTライン」という2グレードが用意されるが、今回試乗したのは後者、即ちGTラインの方で、アリュールとの大きな違いは、何よりもグリップコントロールがGTラインには標準装備されている点である。このグリップコントロール、スタンダード、スノー、オールテライン(日本ではマッドと表記している)、サンド、それにESPオフという5つの走行モードが用意されていて、必要に応じてエンジン出力の抑制やらディファレンシャルロックなどをやってくれるから、FWDでありながら、かなり悪条件の路面状況でもトラクションが確保できるようになっている。

加えて新しい2008GTラインはグッドイヤー製ベクター4シーズンズと呼ばれる、いわゆるオールシーズンタイヤを履いているのだが、これもどうやらオフロードにおけるトラクション向上に一役買っているようだ。ただし、今回の試乗はオンロードのみだったため、このグリップコントロールの効能は試せていない。しかし、Youtubeなどで性能比較(ノーマルタイヤ及びグリップコントロールなし車)を見る限り、その効能はかなり大きそうでこれなら4WDは要らないな…と思えるほど。いずれ雪道などで試してみたいと思うほどであった。

新しいターボエンジンと6速ATの組み合わせは、ノンターボ+5ETG時代から乗っていなかった2008の走りを激変させていた。つい先ごろ乗ったシトロエン『C4カクタス』は、不評だった5ETGが装着されていたのだが、その進化にも驚かされたが、やはり6ATはそれに比べて安心感が加わる。それにスムーズネスという点ではステップATが最良。おまけにこいつは日本のアイシン製だ。1230kgの車重に対して110psだから、とりわけパワフルというわけにはいかないが、それでもかなりゆとりが生まれた。これで、プジョー本来のキビキビ感を取り戻したように思える。

以前のスラントしたノーズにグリルが張り付いたように見えた顔つきから、神殿の入り口とでも言おうか、ぐっとバーチカルに、そして彫刻的なイメージに変身を遂げたフロントフェイス。このバーチカルグリルは最新自動車デザインのトレンドらしく、どのメーカーも、より彫りが深く、直立したグリルをニューデザインに採用する傾向がある。かつては空力云々でこの種のデザインが敬遠されてきたが、今や空力はボディ下面の清流で十分所期の目的を達成出来るのか、よりデザインを優先する傾向が見受けられる。

さて、2008をSUVと呼ぶべきか否かであるが、メーカーがそういうならそれも良かろう。しかし、どう解釈するかはエンドユーザー次第であって、個人的にこのクルマはSWの再来と解釈している。それにしてもグッドイヤーのオールシーズンタイヤ、今度うちのクルマにも付けて見ようかな…

■5つ星評価
パッケージング ★★★★
インテリア居住性 ★★★★
パワーソース ★★★★
フットワーク ★★★★
おすすめ度 ★★★★

中村孝仁(なかむらたかひと)AJAJ会員
1952年生まれ、4歳にしてモーターマガジンの誌面を飾るクルマ好き。その後スーパーカーショップのバイトに始まり、ノバエンジニアリングの丁稚メカを経験し、その後ドイツでクルマ修行。1977年にジャーナリズム業界に入り、以来39年間、フリージャーナリストとして活動を続けている。

《中村 孝仁》

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