【VW パサートGTE 試乗】ハイエンドならではの落ち着きは魅力、スポーツ性なら ゴルフ に軍配…中村孝仁 | Push on! Mycar-life

【VW パサートGTE 試乗】ハイエンドならではの落ち着きは魅力、スポーツ性なら ゴルフ に軍配…中村孝仁

自動車 試乗記

VW パサートGTE
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試乗したのは『パサートGTEヴァリアント・アドバンス』という最上級モデル。そのお値段、599万9000円である。同じようなPHVを探すと…BMWにはワゴンモデルが存在しない。メルセデスは存在するが異次元の価格帯。だから独壇場ではあるのだが…。

とはいえ、セダンで比較するとパサートは539万9000円。対するBMW『330e』は554万円と僅差。メルセデスは721万円と、ここでも異次元の価格帯で、要するにBMWが極めて戦略性の高い価格を打ち出しているだけなのだが、それでもVWがBMWと一騎打ちとなると、少々分が悪いのは明らかだろう。

そこで、GTEとなるわけだ。まず、効率だけを見てPHVを買うなら、恐らく日本製が一番効率が良くて燃費も優れると思う。一方でヨーロッパ製のPHVは、その効率はともかくとして、自動車としての走る愉しさや、高い動力性能などを盛り込んでいる。

そしてパサートに限らず、VWが目指したPHVはそれに加えてスポーツ性の付加である。『ゴルフ』ではそのあたりが顕著に表れていて、「ゴルフR」ばりのスポーツサウンドから、電気と内燃機関の効率をMaxで使うGTEモードが機能していた。

パサートの場合もやっていることは同じ。しかもアドバンスの場合はDCCが標準装備となるので、足をスポーツに固めてしまうとさらにそれらしい走りが期待できる。ただ、日本においてはパサートはVWのフラッグシップモデル。それだけに豪華な仕様は、そう易々とはいわゆるエンジンサウンドを室内には届けてくれないほど遮音性に優れる。このため、GTEモードにしてもゴルフほどのエンジンサウンドの変化は感じ取れなかった。

それにガタイが大きいことと、260kgも重い車重(パサート・バリアント比)は、GTEと名が付いても、どうしても俊敏な動きを阻害する要因となってしまい、期待するほどのスポーツ性を発揮しない。

一方で、本来求められる効率についてだが、PHVの良さは、仮に自宅に充電設備を持たなくても、市中の充電施設を使ったり、あるいは車載のチャージモードを使って充電を可能にするところ。BMWやボルボの場合(ボルボは『XC90』)は明確なチャージモードを持たないが、VWやメルセデスの場合、明確なチャージモードと呼ばれる機能があって、この場合内燃機関はジェネレーター代わりにバッテリーを充電をしてくれる。ただし、当然のことながらこのモードを使うと燃費は極端に悪くなり、それを使ってしまうとトータル燃費を落としてしまうので痛し痒し。つまるところ、やはり家庭に充電施設がないと、PHVの美味しい特性は味わえないというのが結論のような気がする。

それでも行った先の充電施設を小まめにチェックするようなまめさがあれば、かなり電気を多用することが出来る。そしてパサートGTEも、こうしてほぼ電気の走行をすれば、燃費は20km/リットルを楽々超える。基本的に電気のみの最大走行距離は51.7kmとカタログ上は表記されているが、この夏の暑い盛り、エアコンを常時使用した状況では、表示されたEV走行距離は32kmが最大であった。

HV走行をした時の燃費はBMWでは常に14km/リットル台を得られていたのに対し、VWは頑張っても13.6km/リットルが限界で、日常的に使った場合、単純な燃費はBMWの方が少しだけ上回る。また、HVモードにおいて、VWは電気をため込む傾向があり、このモードにしている限りEVモードの走行距離が極端に減ることはあまりなかった(約10日間ほどの試乗の期間中の話)。これに対しBMWは持っているバッテリー容量の大半を最初に吐き出し、以後はごく普通のハイブリッド車となる。だからVWよりもBMWの方が家庭の充電施設がないと、なかなか良さを発揮できないということだ。

結論から言って、GTEを名乗り、スポーツ性の高いPHVを求めるならパサートよりもゴルフの方が向いている。パサートはその価格からも、ハイエンドDセグメントのモデルに近い落ち着き感や静粛性、それに快適性を備えたクルマだった。

■5つ星評価
パッケージング ★★★★★
インテリア居住性 ★★★★★
パワーソース ★★★★
フットワーク ★★★★
おすすめ度 ★★★

中村孝仁(なかむらたかひと)AJAJ会員
1952年生まれ、4歳にしてモーターマガジンの誌面を飾るクルマ好き。その後スーパーカーショップのバイトに始まり、ノバエンジニアリングの丁稚メカを経験し、その後ドイツでクルマ修行。1977年にジャーナリズム業界に入り、以来38年間、フリージャーナリストとして活動を続けている。
《中村 孝仁》

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