教育格差解消へ…94自治体参加「全国ICT教育首長協議会」発足 | Push on! Mycar-life

教育格差解消へ…94自治体参加「全国ICT教育首長協議会」発足

 「全国ICT教育首長協議会」は8月3日、設立記者発表会を開催した。発起人代表として茨城県つくば市の市原健一市長があいさつを行ったほか、協議会の活動方針を説明した。文部科学省担当者による教育情報化施策の説明、小中学生の英語によるプレゼンテーションも行われた。

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登壇者による記念撮影
  • 登壇者による記念撮影
  • 「全国ICT教育首長協議会」設立記者発表会のようす
  • 登壇した発起人
  • 文部科学省の堂故茂大臣政務官
  • 文部科学省(生涯学習制作局)来賓
  • つくば市の市原健一市長
  • 文部科学省の堂故茂大臣政務官
  • 東京工業大学学長相談役・名誉教授の清水康敬氏らが参席

 「全国ICT教育首長協議会」は8月3日、設立記者発表会を開催した。発起人代表として茨城県つくば市の市原健一市長があいさつを行ったほか、協議会の活動方針を説明した。文部科学省担当者による教育情報化施策の説明や、小中学生の英語によるプレゼンテーションも行われた。

きっかけはつくば市…学校・地域の格差解消を目指して

 「全国ICT教育首長協議会(ぜんこくアイシーティーきょういくくびちょうきょうぎかい)」は、2015年11月に開催された「つくば市ICT教育全国首長サミット」を契機に組織された協議会だ。このサミットでは「ICT教育全国首長サミットつくば宣言」が採択されており、「行政と教育委員会の連携により、教育水準の向上と魅力あるまちづくりを一体化させる」「子どもたちが主体的に楽しく授業を受けられるために、ICTを活用する」「情報モラルをしっかり身に付けたICT機器利用を促進する」という3項目が記述されている。

 7月28日には文部科学省が2月に設置した「2020年代に向けた教育の情報化に関する懇談会」による最終まとめが発表されているが、そのなかでも、教育ICTの加速化に向けたアクションプランのひとつとして、「首長を中心としたICT教育推進組織の構築」が言及されている。

 教育ICTについては、グローバル化・情報化といった時代の流れに合わせ、必須であると考えられている。一方で、予算や教育ICTに対する考え方などには、学校格差や地域格差が存在している。事例などの情報共有もまだ十分ではない。これを一自治体だけで解決していくのは困難であり、こうした問題点を解消し、日本の教育水準向上に資するため、「全国ICT教育首長協議会」は誕生したといえる。

94自治体が賛同、全国ICT教育首長協議会は「意見交換を行う場」

 発起人は、茨城県つくば市、福島県群山市、東京都荒川区、長野県下伊那郡喬木村、滋賀県草津市、大阪府箕面市、奈良県葛城市、佐賀県多久市、佐賀県武雄市、熊本県球磨群山江村、計10区市町村の首長。当日は発起人やその代理人が登壇し、つくば市の市原健一市長が代表してあいさつを行った後、各長が現状の取組みや抱負を述べた。なお、会場にはそのほか自治体・関係組織の首長が多数出席していた。趣旨に賛同する自治体は、8月3日時点で94自治体にのぼるという。

 全国ICT教育首長協議会の活動方針については、佐賀県多久市の横尾俊彦市長が説明。「意見交換を行う場」として、自治体相互の連携のもと、教育ICTの研究・具体化を図るのが目的だとした。具体的な活動としては、「ICT教育全国首長サミットつくば宣言」の3項目にのっとり、国や文部科学省に働きかけ各種施策を加速させる連携活動、産学官で推進事例を共有する活動、自治体と民間企業の連携活動を行っていくとのこと。今後、定期的に「ICT教育全国首長サミット」を開催するほか、「日本ICT教育アワードの年間表彰」なども行われる予定だ。

 なお発表会の最後には、つくば市の春日学園義務教育学校で先進的ICT教育を受けた子どもたちが、その学習成果として「英語でのプレゼンテーション」を披露。小学4年生および7年生(中学1年生)が流ちょうな英語で、学校でのコンピューター教育・英語教育のようす、海外校との交流のようすなどを写真を見せながら解説した。

 豊かな環境が必ずしも学習結果に結びつくわけではないが、学校・地域ごとに格差があることは望ましくない。「日本再興戦略2016」の人材力強化の項目では、「ITを活用して指導できる教員」「都道府県・市町村におけるIT環境整備計画の策定率」「無線LANの普通教室への整備」について、すべて2020年までに100%を目指すとしている。

 説明会に登壇した文科省生涯学習政策局情報教育課の磯寿生課長は「ICT教育は、これまで一部の先進校の取組みとして受け止められていたが、第4次産業革命ともいえるICTは、地域格差なく全国展開しなければならない。文科省も期待している」とコメント。大阪府箕面市の倉田哲郎市長は「子どもたちの身の周りに、もっと当たり前にデバイスがある環境を、この国で実現したい」と言及している。子どもがのびのびと自由にICTを使いこなす風景が、2020年にはどこでも当たり前のようになるか、同協議会、文科省や自治体の取組みに期待したい。

《冨岡晶》
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