【DS 5 試乗】日本車からもっとも遠いところにいる1台…青山尚暉 | Push on! Mycar-life

【DS 5 試乗】日本車からもっとも遠いところにいる1台…青山尚暉

シトロエンからDSブランドへと独立し、新しいDSフェースを与えられたDSシリーズのフラッグシップが『DS 5』。最初にズバリ言っておくと、シリーズ中「DSらしさ」をもっともアピールするのがこのDS 5だ。

自動車 試乗記
DS 5 シック
  • DS 5 シック
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シトロエンからDSブランドへと独立し、新しいDSフェースを与えられたDSシリーズのフラッグシップが『DS 5』。最初にズバリ言っておくと、シリーズ中「DSらしさ」をもっともアピールするのがこのDS 5だ。

アバンギャルドさがより強く、どんなクルマにも似ていないエクステリア、航空機のコクピットをモチーフとしたセンターコンソール回りとシートデザイン、ガラスルーフのアイデアが圧巻のインテリアを前にすると「DSに乗るならこれだな!」と思わずうなってしまうほどだ。

2016年4月から発売されている新型DS 5はデザイン以外にも変更点がある。1.6リットルターボエンジンは、前型比9psアップの165psとなり、またアイドリングストップ機構を追加。結果、前型比約33%向上した15km/リットルの燃費性能を実現している。

今回は『DS 3』『DS 4』も合わせて試乗したが、DS 5に乗り換えると、なるほどフラッグシップモデルらしい、というかシトロエン、いやもっともDSらしい高級感ある濃厚かつ滑らかな走りっぷりを披露してくれたのだ。

とにかく箱根周辺の荒れた路面が多い道でも硬めながら滑るようにフラットな乗り心地を示し、路面の凸凹やきつい段差もシリーズ中、もっともしなやかにいなすマナーの良さがあった。

1.6リットルターボエンジンは165psの最高出力などDS 4と共通だが、高回転まで回したときの迫力、つまり豪放なサウンドを放つという点ではこちらが上。山道で積極的な走りを試みると、意外なほどスポーティーテイストを感じることになる。

ただ、試乗車の固体の問題なのか、ほかのDSシリーズと共通の第三世代と言われる6ATの変速制御には? がつく。具体的にはかたくなに上り坂で2速、下り坂で3速固定のシーンがあり、アクセルをゆるめるなどしてもシフトアップせず、そのギアをキープし続けてしまうのである。ノイズ、燃費面で不利なことは言うまでもない。シフトプログラムが日本の道、というか、今回の試乗コースに合っていない印象だった。

インテリアのアバンギャルドさについてはすでに報告済みだが、さすがに後席、ラゲッジスペースはゆとり十分。身長172cmのドライバー基準で後席の頭上に11cm、ひざ回りに16.5cmのスペースはDSシリーズ最大で乗降性も文句なし(DS 4は同9.5cm、12cm)。フランスでは公用車としても使われるクルマだから当然と言えば当然か。DS 5は後席エアコン吹き出し口も完備している。

ラゲッジスペースもフロア幅120cm、奥行き91cmと、DS4の同104cm、82cmを凌(しの)ぐから、家族4人の宿泊を兼ねたドライブ旅行の荷物も積み込みやすいはずである。

6ATの変速制御は気になるものの、DS 3/4/5に続けて試乗した総括的印象は、やはりデザインや乗り心地を含め、DSシリーズの真打ちはやはりDS 5だとあらためて思えたのも本当だ。日本車からもっとも遠いところにいる1台である。

ちなみにルーフはなんとガラス張りだが、それがもっとも際立つのは白いボディー(写真参照)。ダーク系ボティーだと機能あるツートーンっぽさが分かりにくくなる。

■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア/居住性:★★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★★
オススメ度:★★★★
ペットフレンドリー度:★

青山尚暉|モータージャーナリスト/ドックライフプロデューサー
自動車専門誌の編集者を経て、フリーのモータージャーナリストに。自動車専門誌をはじめ、一般誌、ウェブサイト等に寄稿。自作測定器による1車30項目以上におよぶパッケージングデータは膨大。ペット(犬)、海外旅行関連の書籍、ウェブサイト、ペットとドライブ関連のテレビ番組、イベントも手がけ、犬との快適・安心自動車生活を提案するドッグライフプロデューサーの活動も行っている。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。ムック本「愛犬と乗るクルマ」(交通タイムス社刊)好評発売中。

《青山尚暉》

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