三菱自 相川社長、走行データの机上算出「経営サイドは認識していない」 | Push on! Mycar-life

三菱自 相川社長、走行データの机上算出「経営サイドは認識していない」

三菱自動車工業の燃費不正操作は、計測手法の取違いだけではなかった。対象車種の『ekワゴン/ekスペース』、日産ブランドの『デイズ/デイズルークス』、いずれも実測は一部のグレードに限られていた。

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三菱自動車 相川哲郎社長
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  • 三菱 eKワゴン
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三菱自動車工業の燃費不正操作は、計測手法の取違いだけではなかった。対象車種の『ekワゴン/ekスペース』、日産ブランドの『デイズ/デイズルークス』、いずれも実測は一部のグレードに限られていた。

三菱自動車の説明などによると、不正操作を行った軽自動車で、同社が実際に試験コースを走行させて走行抵抗値算出の根拠となる走行データを取得したのは、13年2月に型式申請した14型(ekでは「M」「E]「G」、デイズでは「S」「X」「ハイウェイスターX/G」「ハイウェイスターS/G」)だけだった。

自動車メーカーは一般的に、燃費訴求車、標準車、ターボ車、4WD車などに類別して開発を行っている。実測したのは上記グレードの燃費訴求車だけだった。そのほかのターボ付車と4WD車、およびek「E」、デイズ「J」「ハイウェイスターJ」の標準車は、燃費訴求車で得られた走行データをもとに「机上算出した」(三菱自動車)ものだった。

同社の軽自動車燃費の不正操作は、13年2月に型式申請した燃費訴求車の走行データが基本になっている。その後の13年10月申請の14型、14年3月申請の15型、同12月申請の15型、15年6月申請の16型のいずれも、その走行データをもとに「目標燃費に合わせて机上算出し、申請していた」ことを明らかにしている。

20日の会見で、同社は型式指定申請時に自社で慣例となっている「高速惰行法」によって走行抵抗値を取得。道路運送車両法に基づく「惰行法」を使わなかったと話したが、対象車種の型式取得は、その「高速惰行法」でも行われていなかった。ほとんど机上で行われたことになる。横幕康次開発本部長・執行役員はこう解説した。

「我々もいろんなクルマを作る中で、2WDから4WDになった時、(車体の)投影面積が大きくなった時に、これぐらい抵抗が上がるという知見を持っている。最終的な走行抵抗を出すときには、そういう知見に基づいた換算を行って走行抵抗を設定していた。ただ、実測はしていない。これは本来やるべきことだった」

実測した燃費訴求車の走行抵抗値は、高い燃費目標を達成するために作られた。関連するグレードの走行抵抗値との整合性を取るためには、新たに走行データを取得するより、数字のつじつま合わせをする必要があったのではないか。中尾龍吾副社長はこう答えた。「年式変更等については、そういう考えがあったと思います」

しかし、初代ekの開発責任者を務め、渦中の不正操作では生産担当の取締役だった相川哲郎社長は、会見に臨んだ2人とは違う考え方を示した。

「当時、これを経営サイドが認識していたかというと、それはない。ここまでの実務的なことは通常は報告されない」

同社は、今回の報告には明らかにされなかった不正操作の原因や責任について、引き続き調査を行う。

《中島みなみ》

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