【GARMIN vivosmart HR J インプレ前編】アクティビティトラッカーの新しい存在意義を見いだした意欲作 | Push on! Mycar-life

【GARMIN vivosmart HR J インプレ前編】アクティビティトラッカーの新しい存在意義を見いだした意欲作

運動不足の解消に役立つアイテムとして人気を獲得しているアクティビティトラッカー(「ライフログバンド」などとも呼ばれる)。GARMINからその最新モデル「vivosmart HR J」が登場した。

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GARMIN vivosmart HR J
  • GARMIN vivosmart HR J
  • 高級感が増した外装。
  • 裏面の光学式心拍計。3個のLEDに囲まれたセンサーが見える。左端にはUSB接続するための電極が見える。
  • 使用時はこのようにLEDが点灯し、血流をセンサーが捉える。
  • 従来モデルより厚みが増し、そこからさらに心拍計の膨らみがある。この膨らみは、センサーと皮膚を密着させ、外光が入らないようにするためと思われる。
  • このように見ると快適に装着できるのかと心配になるが、センサーが押し付けられることによる圧迫感や違和感はまったく感じない。
  • 本機を充電したりパソコンに接続するために使用する専用のクレードル。
  • クレードルはパチンとはめ込むタイプで取り付け安さは可もなく不可もなくといったところだ。

運動不足の解消に役立つアイテムとして人気を獲得しているアクティビティトラッカー(「ライフログバンド」などとも呼ばれる)。GARMINからその最新モデル「vivosmart HR J」が登場した。ランニングへの対応や階段の昇降をカウントするなど多数の新機能が追加され、さらに光学心拍計も搭載。この心拍計はANT+で接続する外部センサーとしても使うことができる転送モードにもできるから、すでにフィットネスデバイスを使っているアスリートにとっても気になるモデルとなっている。

◆機能満載のアクティビティトラッカーの決定打

日常生活の運動を計測するアクティビティトラッカー。数年前に登場した時には、一過性の流行で終わる商品ではないかとの見方もあったが、今や完全に市民権を得たといっていいだろう。多くのメーカーが参入した結果、機能面の進歩もハイペースで進み、歩数計プラスアルファ程度だった初期のモデルとは比較にならない機能が次々と実現している。そんな盛況のアクティビティトラッカー市場に、GARMINが放つ決定打というべきモデルが、この『vivosmart HR J(ヴィヴォスマート エイチアールジェイ)』だ。

本機は従来モデル同様のバンド型のボディに、数々の機能を凝縮した。センサーとしては、ステップ数(歩数)や体の動きを計測するGセンサーに加えて、階段の上昇の計測を可能にする気圧高度計、それに本機の最大の特徴である光学式心拍計を搭載。また、スマートフォンとペアリングするブルートゥース、フィットネス機器とペアリングするANT+も搭載している。

これだけ詰め込むとさすがに重量は少し重くなり、先代モデルの19.0gに対して29.6gと、10gも重くなっている。ただ、GARMINのアクティビティトラッカーは「vivosmart」と「vivofit」の2本立てとなっており、先代のvivosmartはディスプレイを簡略化して徹底して軽量化を図ったモデル。本機はネーミングこそvivosmartとなっているが、外観はvivofitの系統に位置するものだ。そのvivofitの最新モデルである『vivofit2』との比較では、本機はわずか4.1グラム重くなっているに過ぎない。

本体の横幅は約20mmとやや太くなっており、厚みも約15mmある(本体サイズは公表されていないため実測値)。バンド型と呼べるサイズとしてはギリギリであり、この辺りはやはりハートレートセンサーの搭載が響いているといわざるをえない。その影響なのか、ベルトはごく一般的な腕時計と同様のバックルを採用しており、従来モデルの特徴だったシンプルなはめ込み式の留め具ではなくなった。また、従来モデルでは一体成型されたベルトの中央に本体を潜りこませるような構造だったが、本機では本体の両端にベルトがビス止めされる構造になっている。形状はリストバンドだが、構造としては細長い腕時計といったほうがいい。

ディスプレイは25.3mm×10.7mmとサイズこそ大きくないものの、解像度は160×68pixもある。128×16pixだった先代モデルより大幅に表現力が豊かになった。バッテリーは充電式のリチウム電池で、約5日間連続稼働する。心拍計を搭載していることを考えると非常にロングライフといえるだろう。また、安心感の高い50メートル防水は継承された。

◆ついに搭載された光学式心拍計で24時間心拍計測

注目の光学式心拍計は、ライバルメーカーも採用しているごく一般的なもの。現在のところ、リストバンド型やウォッチ型のデバイスでこの方式以外の心拍計はない。その仕組みは、本体裏面、腕に接触する部分にLEDとセンサーがあり、LEDで皮膚を照らして、透けて見える血液の動きをセンサーで感知することで心拍を計測する。GARMINではランニングウォッチの『ForeAthlete 225J』で初めて光学式心拍計を搭載し、本機が2機種目となる。

本機の光学式心拍計が設置されているスペースは、2mm四角く盛り上がった形状になっており、腕と密着させるように工夫されている。一見して装着感はあまりよくなさそうに見えるが、そのあたりは後ほど報告しよう。ここでは、この心拍計の機能について紹介する。

GARMINの光学式心拍計搭載モデル第1号であるForeAthlete 225Jでは、アクティビティの計測中以外は心拍を測定できなかった。本機と同じように24時間いつも運動を計測するライフログ機能が搭載されているのだが、心拍の測定は無し。ボタン操作で一時的に心拍計を起動し、その時の心拍をチェックする機能があるだけだ。

しかし、本機の心拍計は、24時間休みなく心拍を測定、記録する。これによって、GARMIN製品で初めて24時間の心拍を記録できるようになった。これにともなって、安静時心拍数が自動的に計測されるようになっている。安静時心拍数とは、体を動かさずに安静にしている時の心拍数で、運動をするには非常に重要なデータだ。

運動をするときには、運動強度、つまりどの程度激しい運動をするのか、ということと、そのために心拍数をどれくらい上げればいいかという目標心拍数が重要になる。例えばダイエットのための運動であれば、計算式であらかじめ適切な運動強度、目標心拍数を求め、それに基づいて運動することで効果的な有酸素運動ができるのだ。こうした数値を計算で求めるために必要なのが、安静時心拍数だ。

安静時心拍数は、朝の起床時すぐに計測するのがいいとされているが、これが意外と面倒で、どうしても忘れてしまうし、目が覚めて腕を少し動かしただけでも心拍が上がってしまったりする。しかし、本機ならただ装着して就寝するだけで、正確な安静時心拍数を計測できる。

なお、本機の心拍計は、ほかのフィットネスデバイスのワイヤレスハートレートセンサーとして使える心拍データ転送モードを搭載している。例えばランニンウォッチと本機を組み合わせて使えば、胸に巻くチェストベルト型のハートレートセンサーが不要になるのだ。今回試してはいないが、ANT+規格であれば、GARMIN以外のフィットネスデバイスでも使えるはず。ランニングや自転車のトレーニングで心拍の計測が大切なことはわかっていても、あのチェストベルトはどうにも抵抗がある、という人には朗報だ。

◆階段を登った回数まで計測、ランニングなどアクティビティの計測も可能に

心拍計のほかにも、様々な機能が追加されている。まず目に付くのは、階段を登った階数をカウントする「上昇階数」機能。これは階段の一段ずつをカウントするのではなく、1階から2階へとフロアをひとつ上がるごとに1回とカウントする。駅などで健康のためにあえて階段を登る人は多いが、従来のアクティビティトラッカーでは平地を歩いたのと同じように歩数をカウントするのみだった。本機ではその努力がしっかりと計測、記録されるわけだ。

もうひとつ、新たに加わったのがアクティビティの計測機能。この機能を呼び出してボタンを押すとストップウォッチがスタートし、タイム・距離・心拍・カロリーの各データを記録する。本機はGPSを搭載していないので、距離はステップ数に歩幅を掛けたもののようだ。1キロごとなど任意の距離でタイムを計測する自動ラップ機能も使える。走ったコースこそ記録されないが、心拍は記録されるのだから、ランニングウォッチとして十分な機能といっていいだろう。また、室内でのトレーニング、例えば腹筋運動をするよいった場合にも、この機能を使えばライフログではなく独立したアクティビティとして記録しておくことができる。

GARMINの最近のランニングウォッチはすべてライフログ機能を搭載しており、アクティビティトラッカーの存在意義が失われつつある状況だったが、本機は心拍の常時計測に加えてランニングウォッチの機能を取り込むことで、新たなポジションを確立した。また、従来モデルから引き続き、スマートフォンと連携してメールの着信などを知らせる通知機能が使える。ディスプレイが高精細化したことにより、メールの内容もある程度確認できるようになった。さらに、スマートフォンからデータを受け取って現在地周辺の気象情報を表示したり、スマートフォンの音楽再生をコントロールすることもできる。つまり、スマートウォッチの機能も取り込んでいるわけで、この3種類のデバイスでのせめぎ合いは熾烈の一言に尽きる。

《山田正昭》

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