【マツダ デミオ XDツーリング 試乗】 ちゃんと進化が実感できる改良…中村孝仁 | Push on! Mycar-life

【マツダ デミオ XDツーリング 試乗】 ちゃんと進化が実感できる改良…中村孝仁

個人的にマツダ『デミオ』のディーゼルに乗り始めて1年が過ぎた。この間1万7000kmを走行。おおよそ良いところと悪いところがわかってきた。そんな折、改良されたデミオが出たので早速試乗してみた。

自動車 試乗記
マツダ デミオ XDツーリング
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個人的にマツダ『デミオ』のディーゼルに乗り始めて1年が過ぎた。この間1万7000kmを走行。おおよそ良いところと悪いところがわかってきた。そんな折、改良されたデミオが出たので早速試乗してみた。

メカニカルな部分での改良は主として二つ。一つはディーゼルのノック音を抑制するナチュラルサウンドスムーザーを、「XDツーリング」以上のモデルに標準装備したこと。また、DE精密制御という軽負荷領域での応答性の改良がある。もう一つはEPS(電動パワーステアリング)の改良である。メーカー的な説明は応答初期のコントロール性を向上させたとある。これについては後述しよう。

エクステリアとインテリアについてはほぼ変更なし。とはいえ、新たにシャークフィンアンテナを上級モデルには標準装備としたことや、これも上級モデルにシートヒーターを標準装備しているなど、ちょっとした変更がある。また、「ブラックレザーリミテッド」という黒の本革シートを装備したモデルが限定車として発売された。最後にほとんどユーザーしか気づかないことだが、サイドミラーの折りたたみスィッチが、独立したことが変化。以前は左右のミラー位置調整ボタンの中に組み込まれていたのだが、独立スイッチが付けられた。

とまあ、変化と言える変化はこの程度。見た目の変化はほとんどわからないというのが正しい。冒頭、デミオのいいところと悪いところがわかってきたと話した。走りの点から言うと、良いところはやはりディーゼルのトルキーな走りである。特にパーシャルからグッと踏み込んだ時の加速感は、およそ1.5リットルという排気量のものではない。一方のネガ要素としては、今回の改良部分の一端でもある初期応答性の悪さがある。

これ以外の細かい話をすると標準装備されるオーディオの音が非常に優れていることで、個人的にはこれならボーズサウンドシステムをわざわざ入れる必要性を感じないほどだ。逆にネガ要素はベンチレーターの首ふり角度が小さく、思ったところに風を当てられないという欠点がある。新たなシートヒーター装備は正直くやしい部分である。

さて、旧型については十分にわかっているつもりで新型に試乗。エンジンをかけた段階ではまあ、大きな違いはない。しかし、一般道に出て加速を始めた瞬間からおやっと思えるほどの違いがある。音だ。ナチュラルサウンドスムーザーのおかげなのか、ディーゼル特有のノイズがかなり小さくなっている。

以前のマツダディーゼルサウンドは、エンジンが温まっても加速の際は顕著にディーゼルを感じさせた。一方、サイズは違うがヨーロッパの例えばボルボやメルセデス、BMWなどは、アイドリング時こそ顕著なディーセル音を感じるが、いざ加速が始まるとその音色はディーゼルなのかちょっとうるさいガソリンなのは判別不明という印象。 ところが今回ナチュラルサウンドスムーザーを装備したことで、だいぶその印象がヨーロッパパ製のモデルに近づいた。

勿論まだ明確にディーゼルと感じるのだが、それでも音質はだいぶ変わっている。初期応答性の変化については、確かにゆっくり踏んで行った時と、ガバッと開けた時では何となく違うかな?という程度で、個人的にはあまり大きな変化とはとらえていない。

次にステアリング。転舵性能は非常にしっとりとしたスムーズなものになっている。この点は『CX-3』と同じ。メーカー説明は応答初期のコントロール性改良なのだが、それよりも全体的な転舵性能がスムーズになったという印象。それに総じて軽い。旧型は切り始めにグッとある程度の重さを感じてそこからスムーズになる。これをフリクションだと言えばそうなのかもしれないが、個人的にはこのちょっとした重みがあることで、センターフィールを掴みやすく、直進安定性にも寄与しているような気がしてならない。新しいEPSは、ステアリングを回し始めた直後からスムーズで中心での落ち着き感は希薄だ。というわけでどちらが良いかは意見の分かれるところだと思う。

コンパクトカーとして全体の作りは非常に上質で、クラスレスな印象を与えてくれる。ライバルは多いが、Bセグメントの盟主であることは間違いない。

■5つ星評価
パッケージング ★★★★
インテリア居住性 ★★★★
パワーソース ★★★★★
フットワーク ★★★★
おすすめ度 ★★★★★

中村孝仁(なかむらたかひと)AJAJ会員
1952年生まれ、4歳にしてモーターマガジンの誌面を飾るクルマ好き。その後スーパーカーショップのバイトに始まり、ノバエンジニアリングの丁稚メカを経験し、その後ドイツでクルマ修行。1977年にジャーナリズム業界に入り、以来38年間、フリージャーナリストとして活動を続けている。

《中村 孝仁》

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