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【ダイハツ キャスト パッケージ比較】乗降性や居住空間では ムーブ 優位だが、それだけでは語れない魅力とは

『ムーヴ』と基本部分を共用し、1モデルで3種のバリエーションを持つ新型『キャスト』。ハイトワゴンの王道、ムーヴとはデザイン、走りの方向性などが異なるが、ここではあえてパッケージングを比較検証してみたい。

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『ムーヴ』と基本部分を共用し、1モデルで3種のバリエーションを持つ新型『キャスト』。ハイトワゴンの王道、ムーヴとはデザイン、走りの方向性などが異なるが、ここではあえてパッケージングを比較検証してみたい。

軽自動車の制限あるボディサイズでムーヴとキャストが大きく違うのは全高だ。逆に言えば、全高しか違わない。キャストの標準モデルとも言える「スタイル」はムーヴより30mm低い1600mm。よりセダン的なプロポーションを特徴とする。ただ、かつての『テリオスキッド』愛用者、雪国のユーザーの要望に応えるクロスオーバーSUV風の「アクティバ」の全高はスタイル比+30mmでちょうどムーヴと同じになる。

最低地上高はスタイル150mm、アクティバ180mmだから、ボディデザインを別にすれば、スタイルの車体をそのままグイッと30mm持ち上げたのがアクティバということになる。

室内は空間効率重視のハイトワゴンのムーヴのほうが、スペック的には広い。室内長で75mm、室内高で35mm余裕がある。また、乗降性にかかわる、前後ドアを全開したときのシート外側角からドア内張り前端までの横方向の幅、つまり乗降幅にしても、前ドアで30mm、後ドアで45mm程度、ムーヴのほうが広い。

前席のヒップポイント地上高はキャストスタイル、ムーヴともに620mmと同じ。アクティバはスタイルに対してフロアが30mm高いことをそのまま反映して、ヒップポイント地上高は650mmと、高めの見晴らし視界が特徴だ。

後席のヒップポイント地上高はキャストスタイル663mm、アクティバ693mm。ムーヴは683mmだから、スタイルは20mm低く、アクティバは10mmほど高いことになる。

ここで注目したいのは、前後席のヒップポイント地上高の差。これが大きいほどシアター的になり、後席からの視界、見晴らしがよくなる理屈。これはスタイル、アクティバともに条件は同じ。で、ムーヴと比較してどうかと言えば、キャストは前席に対して後席は+20mm、ムーヴは同+40mmと、後席の視界、見晴らし感、シアター度ではムーヴが優位となる(視界を妨げがちな前席シートバックの高さは両車ほぼ同じ)。

ちなみに後席の掛け心地にかかわるヒール段差(フロアからシート座面先端までの高さ)は、ムーヴ、キャストともに320mmと同一。ゆとりあるシートサイズは両車、ほとんど同じである。

身長172cmのドライバー基準でその背後に座ったときの後席居住空間はどうか。実測値の頭上空間はムーヴ150mm、キャスト125mm。ひざ回り空間はムーヴ290mm、キャスト260mm。ハイトワゴンのムーヴに余裕があるが、しかしそれは過剰な広さとも言え、キャストでも十分以上に広々、快適な空間が約束されている。

ラゲッジもまたムーヴのほうが広めだ。まず開口部地上高はムーヴ650mmに対してスタイル660mm。アクティバはそのまま30mm増しの690mmとやや高めになる。開口部幅、開口部高はムーブに余裕があり、しかしフロア奥行き、フロア幅は両車同等。差がつくのはやはり荷室高で、ムーヴ840mmに対してキャストは全高が低いぶん、790mmとなる(スタイル、キャストともに)。重く背の高い荷物の積載容易性では、荷物の持ち上げ量が少なくて済み(アクティバより)、室内高にゆとりあるムーヴが勝る、ということだ。

もっとも、パッケージング、室内&荷室の広さだけでは語れないクルマのデザイン性や個性の魅力では、むしろスタイル、アクティバ、スポーツという3つの配役、3種類のインテリアアクセサリーカラーなどが選べるキャストに優位性があるのはもちろんである。

《青山尚暉》

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