おや?と思わせられたのは、2代目『クラブマン』は先代とは趣が随分違うということ。今は廃番らしいが、ゼロハリバートンの超小型アタッシェが普通サイズに成長した感じ…というべきか。“マイクロワゴン感”が先代の魅力だったが、果たして新型は…。
ホイールベースは3ドアより70mm長い5ドアから、さらに105mm延長の2670mm。このため後席用ドアのサイズが無理なく拡大され、サイドビューはしっくりと見える。先代の変則片側2ドアも、犬をヒョイ!と乗り込ませるなら十分だったが、実用面でいえば新型の采配は妥当だ。“乗り込んでしまえば広さは十分”ではなく“乗り込みから便利になった”のが新型だ。
両開きのバックドアが堅持されたのは嬉しいところ。新型では自動開閉機構まで設定される。ガバッ!とハネ上げて使うハッチ式ではなく、右、左とドアを1枚ずつ開ける所作の優雅さこそこのクルマの“命”だ。
インパネもハッチバックとはまったく別物で作り分けている。なのでひとクラス上のクルマの雰囲気。丸型センターメーター(実際にはナビ画面が収まるが)こそ踏襲するも、エア吹き出し口など必ずしも丸ではなく、従来のポップな仕上がりとは一線を画し落ち着きがある。
走りも上質かつスムース。先代はハッチバックに対しステアリングを切った際の挙動にボディの長さを感じさせたが、新型ではそれはほとんど感じない。さらに乗り味もフラットで、音や振動もしっかり封じ込まれている。試乗車に選んだのは3気筒の1.5リットル(136ps/220Nm)だったが、ツインパワーターボということもあり、十分な動力性能を発揮。不満のない走りを示してくれた。
■5つ星評価
パッケージング:★★★★★
インテリア/居住性:★★★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★★
オススメ度:★★★★★
島崎七生人|AJAJ会員/モータージャーナリスト
1958年・東京生まれ。大学卒業後、編集制作会社に9年余勤務。雑誌・単行本の編集/執筆/撮影を経験後、1991年よりフリーランスとして活動を開始。以来自動車専門誌ほか、ウェブなどで執筆活動を展開、現在に至る。 便宜上ジャーナリストを名乗るも、一般ユーザーの視点でクルマと接し、レポートするスタンスをとっている。