【カストロール 研究開発現場レポ】高効率エンジン開発に向けた、メーカーとの密接な関係 | Push on! Mycar-life

【カストロール 研究開発現場レポ】高効率エンジン開発に向けた、メーカーとの密接な関係

イギリスのパングボーンにBPが持つテクノロジーセンターでは、BP、そして現在では同社のグループ内に組織されるプレミアム潤滑油ブランド、カストロールの製品に関しての研究開発が行われている。

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カストロール・パングボームテクノロジーセンター
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イギリスのパングボーンにBPが持つテクノロジーセンターでは、BP、そして現在では同社のグループ内に組織されるプレミアム潤滑油ブランド、カストロールの製品に関しての研究開発が行われている。

我々メディアがまずこの施設の概要に関するプレゼンテーションを受けた部屋には、前回もレポートしたとおり、3タイプのジャガー製エンジンがディスプレイされていたが、これは急速に高性能化されていくエンジン技術とともに、燃料や潤滑油への要求が、さらに厳しさを増していることをアピールするものでもあった。

BPによれば、この10年間だけでもエンジン内部の圧力は平均値で2倍に上昇し、カムシャフトやロッカーアームなどの部品には、平方cmあたりで、最大10tもの圧力が加わるまでになっているというから、潤滑油への要求性能、特に油膜強度は非常に重要な意味を持つという。

ちなみにカストロールは、2002年からジャガーのグローバル潤滑油戦略のプリファードパートナーとして、エンジンを始めとするパワートレーンのさらなる高性能化、高効率化のために、特別な仕様の潤滑油を開発しているそうだ。

自動車メーカーなどが要求する性能を満たした潤滑油を開発する現場ともいえるのが、次に我々が案内されたブレンドショップだ。潤滑油はその使用目的や必要とされる性能が幅広く、流動性や境界潤滑に耐え得る油性、そして熱や酸化に対しての安定性などの性能をすべて満たすためには、潤滑基油=ベースオイルのみではなく、粘度を調整するための数種類のオイル、そしてさまざまな添加剤などをブレンド=調製する必要があるのだ。

潤滑油のブレンド方式には少量生産に適するとされるタンクブレンド方式と、大量生産に適するオートブレンダ方式があるが、今回BPは、粘度の異なる潤滑基油を、計算された比率で調製タンクへと送り、加温しながらミキサーで混合する、タンクブレンドのプロセスを公開してくれた。調製された潤滑油は、そのまま製品規格に適合しているかどうかの試験に供される。ちなみにパングボーンのテクノロジーセンターでブレンドされるオイルは、年間で実に10万リットル以上にも及ぶ。

テクノロジーセンター内には、エンジンのベンチテストを行うためのランショップも用意されている。24個のテストセル=ブースが並ぶこの施設内では、さまざまな使用環境を想定したテストが行われる。その中には、24時間以上もの長時間にわたるテストも含まれているから、ランショップではオートマチック化も積極的に進められている。またここにはベンチテストだけではなく、実車をそのままテストセル内でテストすることが可能なビークルテストセンターもあり、マイナス25度からプラス25度までの使用環境を再現できるほか、ロボットの操作による、より現実のドライブに近い状態での実験、検証を行うこともできるという。

BPが、開発の段階から自動車メーカーのエンジン開発に密接に関係していることの一例として、今回紹介してくれたのが、フォード製の1リットル版「エコブースト」エンジンだった。このエンジンには、ECOneticと呼ばれる、フォードの持つ高効率化のためのさまざまな技術が導入されているが、BPもまたフリクションロスの低減や、潤滑システムの高効率化などで、技術供与を行ってきたのだ。

結果的にこのエンジンが、ガソリンエンジンとしては初となる、100g/km以下のCO2排出量を達成したことは、記憶に新しいところ。そしてBPでは、燃料と潤滑油の両面から、これからもより高効率なエンジン開発に向けて、自動車メーカーとの関係を強化していく計画だ。

BPのパングボーン・テクノロジーセンターは、自社製品のみならず、自動車に代表されるさまざまな工業製品の開発にも、きわめて重要な役割を果たす施設だったのだ。

《山崎 元裕》

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