配車サービス「Uber」が米国でウケる理由…LAドライバーの生の声《後編》 | Push on! Mycar-life

配車サービス「Uber」が米国でウケる理由…LAドライバーの生の声《後編》

北米を中心に世界67か国で使われている配車サービスUber(ウーバー)。スマートフォンで出発地を指定するだけで迎えにきてくれるという手軽さが目玉だが、「誰でもドライバーになれる」というメリットも利用者急増に一役買っているようだ。

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Uberドライバーはステッカーを貼る
  • Uberドライバーはステッカーを貼る
  • Uberの画面イメージ。「乗車記録」画面で、誰にいくら支払ったか確認できる
  • キア オプティマでUberサービスを活用するトロスさん
  • ロサンゼルスの風景
  • ロサンゼルスの風景

北米を中心に世界67か国で使われている配車サービスUber(ウーバー)。スマートフォンで出発地を指定するだけで迎えにきてくれるという手軽さが目玉だが、「誰でもドライバーになれる」というメリットも利用者急増に一役買っているようだ。彼らはなぜUberドライバーになるのか。そして正直なところ、「儲かる」のか。

前編では、ロサンゼルスのUberドライバー3人の声を紹介した。車さえあれば気軽に始められることから雇用の受け皿になっていること、一生の仕事にはなりにくいが時間を有効活用できること、副業的な稼ぎ方ができることなどが“ウケる”要因となっているようだ。

◆トロスさん「リムジンの運転手より良い。時間が自由だからね」

「以前はリムジンの運転手をしていたんだ」と言うのは、アルメリア出身というトロスさん。運転するクルマはキア『オプティマ』だ。早朝から午後4時頃までUberの運転手として働いていると言う。

「以前の仕事場がリトル・トーキョー(日本人街)だったから、よく日本人を乗せて、いろんな所に連れて行ったよ。でも毎日朝の6時から夜の6時までクルマ の中にいなくちゃいけなかった。仕事がない時も、ずっと待機だ」と、リムジン運転手をやめた理由を話す。「Uberなら2時間でも何時間でも、働きたいだけ働けるのが良い」とは言うものの、以前よりも収入は減ったと言う。「それでも、時間が自由っていうのは最高だよ」。

◆デイビッドさん「いろんな人に会えるから楽しい」

UberX(ライドシェアなし)を呼んだはずなのに、なぜか助手席に女性が乗ったクルマがやってきた。「ごめん、僕の友達、今Uberのトレーニング中なんだ」というのは運転席に座るデイビッドさん。クルマはトヨタ『マトリックス』だ。Uberを利用する際、ドライバーが他の人間を乗せることは基本的にNGなのだが、折角なので話を聞いてみた。

ドライバーのデビッドさんはメキシコ出身。助手席には、トレーニング中だというレベッカさんが座っていた。すでにUberのドライバーとして働くデイビッドさんから、Uberがどのようなシステムになっているのか教えてもらっているという。

「私もUberドライバーとして働き始めようと思っているの」というレベッカさんは、現在花屋の店員として働いているという。「Uberは安全だと思うから、空いている時間に働いて、少しでもお金が稼げればいい」と、近いうちにもUberドライバーとしての登録をするそうだ。

フリーランスグラフィックデザイナーをやっているというデイビッドさんは、自分の好きな時間に好きなだけ働けるUberに利便性を感じている。「収入はまあまあ。何時間働くかによるね」と、収入に関して特に不満はない様子。「それに僕はドライブが好きなんだ。今まで行ったことがない場所に行くかもしれないし、いろんな人に会える。そんなのもUberの魅力だね」。

◆シャハールさん「以前ほどは稼げなくなった」

「ハリウッドからロサンゼルス空港までは“いい距離”だよ」と言うのは、14年前にイスラエルから移住したというシャハールさん。運転するクルマはホンダ 『シビック』だ。「以前はこれぐらいの距離(約20km)の移動に使う人が多かったんだけど、最近はすごく短距離の移動にUberを使う人が増えたんだ」 と言い、以前よりも稼げなくなったと愚痴をこぼす。

1年ほど前にUberドライバーとして働き始めたが、本職は電気技師。過去にはボーイング社でも働いていたというシャハールさん。その話し方から察するに、現在もかなり良い額の給与をもらっているようだ。「Uberは仕事が休みの時にやってるよ。でも最近はあまり稼げなくなってきて、以前は3時間で稼げた金額が、今だと7時間ぐらいかかるかな」と、収入面の悪化を口にする。「今はLyft(Uberと同様の配車サービス)もやってるんだ」と言い、 Lyftステッカーを見せてくれた。

高速道路のエクスプレスレーン(二人以上が乗車しているクルマのみ走れる車線)を空港に向けて走っていると、右側では数車線に渡って、一人しか乗っていないクルマが大渋滞を起こしていた。「アメリカの人間は、隣人とカーシェアをしようとかそういうことは考えないんだよ。スペースがあるのに、みんな一人でクルマに乗ってるんだ」。

Uberで働くドライバーたちの声を拾ってみると、その多くが「あまり稼げない」という現実を口にした。それでもUberドライバーとして働く理由として、金額以外の大きな魅力があることも明かした。

様々な人種、言語、ライフスタイルが溢れるロサンゼルスにおいて、Uberドライバーとして働くことが、新しい仕事の形として受け入れられていた。

《関 航介》

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