【トヨタ プリウス プロトタイプ 試乗】先代のウィークポイントを見事に解消…青山尚暉 | Push on! Mycar-life

【トヨタ プリウス プロトタイプ 試乗】先代のウィークポイントを見事に解消…青山尚暉

新型『プリウス』のプロトタイプ(17インチタイヤ装着車)に富士スピードウェイの構内路、およびショートサーキットで短時間ながら試乗する機会を得た。

自動車 試乗記
トヨタ プリウス プロトタイプ 試乗
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新型『プリウス』のプロトタイプ(17インチタイヤ装着車)に富士スピードウェイの構内路、およびショートサーキットで短時間ながら試乗する機会を得た。

まずは新型のスペックを紹介したい。『MIRAI(ミライ)』を思わせる先進感に満ちたボディは全長4540×全幅1760×全高1470mm。ホイールベース2700mm。先代と比べ、全長で60mm、全幅で15mmの拡大にとどまり、全高は新型プリウスのハイライトのひとつと言える低重心パッケージを実現するため20mm低められているのが特徴だ。

また、駆動方式は従来のFFに加え、「E-Four」と呼ばれるトヨタ車ではおなじみの電気式4WDも用意される。

「THSII」と呼ばれるハイブリッドシステム、2ZR-FXE型1.8リットルエンジンは先代からのキャリーオーバーだが、エンジンは最大熱効率40%を達成した進化版の熟成ユニット。ハイブリッドバッテリーは先代のニッケル水素のみから、リチウムイオン、ニッケル水素の両方をグレード別に組み合わされる。

もちろんリチウムイオンのほうが効率に優れ、総電圧はニッケル水素の201.6Vに対し、207.2V。しかも重量もニッケル水素の先代同等の40.3kgに対して24.5kgと軽量だ。

そのスペックは先代のエンジン99ps、14.5kg-m、モーター出力82ps、21.1kg-m、システム出力136psに対して、エンジン95ps、14.5kg-m、モーター出力72ps、16.6kg-m、システム出力122ps。新型は40km/リットルを目指したさらなる燃費性能追求もあって、あえてスペックダウンしていることが分かる。

低重心化の決め手は全高、フロア高、乗員の着座位置、ハイブリッドバッテリーのラゲッジ床下から後席下への移動などの積み重ねで、重心高もまた先代比-20mmとなっている。

足回りも変更された。リヤサスペンションは空間効率優先のトーションビームから、走りの質や操安性で優位なダブルウィッシュボーンにアップグレードされているのだ。

運転席に着座すれば、先代よりカウル、ショルダーライン、ヒップポイントともに約60mm下がり、フロアからシート座面までの高さも下がっているため、先代のアップライトなイス感覚から一転、セダンらしい落ち着き感ある低めのドライビングポジションが取れる。

先代はプラスチッキーさが目立ったインパネも、一段と先進感と華やかさある上質なものになっていた。

新型にまず期待したのは、先代のウィークポイントだった、乗り心地と操縦性の進化だ。先代モデルはたしかに燃費性能は抜群だったが、シャシーの古さもあって、荒れた路面や段差でのガツンという硬いショック、ボディの揺れが気になったものだ。

また、操縦性は穏やか…すぎるもので、例えば『アクア』や『カローラハイブリッド』と乗り比べるとステアリングを切ったときのノーズの反応、動きは鈍く、たとえ17インチタイヤ装着車でも運転して楽しいクルマとは言い難かった。

しかし新型はその両方が、足回りのチューニングの自由度をもたらす低重心パッケージ、そしてリヤダブルウィッシュボーンに変更されたサスペンションの恩恵もあり、見事に解消されていたのである。

とにかく段差、荒れた路面でのボディ、足回りのマナーは著しく向上。ここで試乗した17インチタイヤ装着車でも、これまでドタンバタン、ガツッというショックを伴った場面でコトン、タンタン…とフラットかつすっきり快適にいなしてくれるようになったのだからゴキゲンだ(先代モデルも同時試乗)。

操縦性は、特に17インチタイヤ装着車の場合、パワステを切るとスッと反応。キビキビとまでは言えないまでも、よりリニアな操縦感覚か得られるようになっている。低重心化と合わせ、トーションビームからダブルウィッシュボーンに変更されたリヤサスペンションの効果絶大というわけだ。

もちろん、フットワークも進化。富士スピードウェイのショートサーキットで振り回しても、リヤサスがねばりにねばり、ノーズが外側に膨らみにくく、スポーティとは言えないまでも、低重心を実感できるリニアな操縦性と先代とはくらべものにならない安定感を発揮してくれる。

動力性能は、スペック的には前記したようにダウンしているが、実際には先代同等以上の印象だ。ショートサーキットでエンジンを高回転まで回したときのスムーズさも格段にアップしている。

今回はプロトタイプのFFのみの、ごく短時間のテストドライブだったが、燃費の良さとバーターに我慢する部分が少なくなかった先代とは別次元の走りの上質感、乗り味が、プリウス史上最上、かつガソリン車最上の燃費性能とともに手に入ったことは間違いないと思える。

より現実的かつ詳細な、新設定のE-Fourを含む市販車の公道インプレッション、実燃費性能はあらためて報告したい。

■5つ星評価
パッケージング:★★★★★
インテリア/居住性:★★★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★
オススメ度:★★★★★
ペットフレンドリー度:★★★

青山尚暉|モータージャーナリスト/ドックライフプロデューサー
自動車専門誌の編集者を経て、フリーのモータージャーナリストに。自動車専門誌をはじめ、一般誌、ウェブサイト等に寄稿。自作測定器による1車30項目以上におよぶパッケージデータは膨大。ペット(犬)、海外旅行関連の書籍、ウェブサイト、ペットとドライブ関連のテレビ番組、イベントも手がけ、犬との自動車生活を提案するドッグライフプロデューサーの活動も行っている。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。

《青山尚暉》

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