サウンドステーション アンティフォン 松居 邦彦の『カーオーディオ そこんとこ、実際ど~なのよ?』 #82: デモカー・Audi ハイレゾ化への道 #12 番外編 Part.6 | Push on! Mycar-life

サウンドステーション アンティフォン 松居 邦彦の『カーオーディオ そこんとこ、実際ど~なのよ?』 #82: デモカー・Audi ハイレゾ化への道 #12 番外編 Part.6

アンティフォンのデモカー、Audiを“ハイレゾ”化する試みのレポートから、“ハイエンド”についての松居さんの思いへと話は発展してきた。今回は、カーオーディオにおける“ハイエンド”についてまで綴っていただく。そして…。

カーオーディオ 特集記事
サウンドステーション アンティフォン 松居 邦彦の『カーオーディオ そこんとこ、実際ど〜なのよ?』

アンティフォンのデモカー、Audiを“ハイレゾ”化する試みのレポートから、“ハイエンド”についての松居さんの思いへと話は発展してきた。今回は、カーオーディオにおける“ハイエンド”についてまで綴っていただく。そして…。

前回からの続きである。

70年代のオーディオ界で、特にホームリスニングの装置を評価する世界で“ハイエンドオーディオ”という価値観が生まれ、今に至っている。それ以降、Hi-Fiが追求され、「生演奏と錯覚するようなオーディオ再生」を実現するための新しい試みがなされてきた。研究も進んでいる。

そして、その研究が進めば進むほど再生装置の「存在感」は薄まる方向へ向かっていく。

しかし、各装置(製品)が商品として音楽ファンの方々に選ばれるためには、その装置の「存在感」が必要だ。そこが矛盾する部分でもあるのだが…。

そのことについては、僕は以下のように考えている。

セットアップされた装置、そして選択されたオーディオケーブルにいたるまで、それらは素材を“美味しく”してはいけない(料理してはいけない)と。“美味しくない”や“汚い”すらも、そのまま表現しなくてはいけないのだと。心のこもった調整といったような、付け加えた感触があってはならないのである。

つまり、ハイエンドオーディオは「存在感がないことが存在感」なのだと。そう考えているのだ。

とはいいつつも、それがすべてだとも思ってはいない。以前僕のクルマの音を聴いてもらった方に「味気ない」と言われたことがある、というエピソードを書いた。それに対して「その気持ちもわかる」と結んでいた。

というのも、このスタイルを選ぶ方々と、装置の存在感を加味し音楽を楽しむ方々の割合は、ハイエンドオーディオが普及してきた今でも、五分五分なのではと感じているからだ。

後者の方々の思いは、科学技術として捉えればハイエンドオーディオだけれど「Something」が必要だ、ということなのだろうと解釈している。

次に、カーオーディオの世界について振り返ってみたい。

80年代後半に、アメリカでサウンドコンペティションが始まった。そこで使用されたHi-Fiの概念は、ハイエンドオーディオの概念であったとぼくは思っている。サウンドステージ、トランスペアレンシー、フォログラフィックイメージ、などの審査項目は、まさにハイエンドオーディオにおいて重要視される要素であったし、審査で使用する録音素材も、当時の家庭用ハイエンドオーディオシステムのセッティングで使用する物と同じレーベルのものだったりと、ベクトルは共通していた。

90年代に入って日本でも始まった『IASCA』に僕も参加していたので、そのジャッジCDを持っている。芸術的な部分を避け、冷静に装置の性能をジャッジする素材としてとても良く考えられた内容だ。

ちなみに、カーオーディオの世界では「AUTOSOUND2000」、ホームオーディオでは「MyDisk」というTest CDもあるが(同一のCD。呼ばれ方が異なっている)、これも『IASCA』のジャッジCDと同じ方向性のものだ。これでほとんどのことをやれてしまうので、今でも手放せない。

さて、結論だ。結局のところ僕は、「味気なさ」を追求することで、録音された「作品」をより深く楽しみたいと考えている。

パイオニアRSシリーズで固めたデモカー、トヨタ・G’sアクアは、ハイエンド一直線で進めている。

その一方で、別なトライも行っている。それがもう1台のデモカー、Audiなのである。Audiでは、ハイエンドであることに加え、「Something」を求めていろいろ足したり引いたりのテストを繰り返している、というわけなのだ。

ところで私事であるが、近年写真に凝り始めている。

写真を撮りながら思う。上手い写真は、ありきたりで何気ない物を印象的な「作品」にしている、と。

実は今年、初めて二科展にも出品してみた。今回は結果を得ることはできずに、自分と他の上位出展者のレベルの差に愕然として帰って来た。

これってオーディオと似ているな、と思い始めている。(次回に続く)




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松居さん愛用のカメラ


『奇石に見守られて』by Kunihiko Matsui


『紫陽花に雨宿り雨蛙』by Kunihiko Matsui


《松居邦彦》

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