スーパーハイエンドブランド “オーディオ ウェーブ”から 大注目のニューアンプ 『Aspire Pro』シリーズ登場!! #2: スペシャル・インタビュー | Push on! Mycar-life

スーパーハイエンドブランド “オーディオ ウェーブ”から 大注目のニューアンプ 『Aspire Pro』シリーズ登場!! #2: スペシャル・インタビュー

“スーパーハイエンド・ブランド”として認知されている“オーディオ ウェーブ”から、新たなパワーアンプ、『アスパイア・プロ』シリーズが登場した。その全容をお届けしようとしている当週刊特集。先週の概要紹介に引き続き、インプレッションリポートに入っていこうと思うのだが、その前に、創設者であるグラント・ヘイナン氏への単独インタビューの機会を得ることができたので、今週はその模様をお贈りしようと思う。ブランドの理念や『アスパイア・プロ』に関する興味深いエピソードの数々を、たっぷりとお聞きした。

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スーパーハイエンドブランド “オーディオ ウェーブ”から 大注目のニューアンプ 『Aspire Pro』シリーズ登場!!


“スーパーハイエンド・ブランド”として認知されている“オーディオ ウェーブ”から、新たなパワーアンプ、『アスパイア・プロ』シリーズが登場した。その全容をお届けしようとしている当週刊特集。先週の概要紹介に引き続き、インプレッションリポートに入っていこうと思うのだが、その前に、創設者であるグラント・ヘイナン氏への単独インタビューの機会を得ることができたので、今週はその模様をお贈りしようと思う。ブランドの理念や『アスパイア・プロ』に関する興味深いエピソードの数々を、たっぷりとお聞きした。

まずはこの機会に、グラント・ヘイナン氏のプロフィールをご紹介しておこう。

氏はそもそも、アフリカのジンバブエ(2002年までイギリス連邦の加盟国)の出身だ。5歳の頃よりドラムスの演奏を始め、演奏は今も続けているという。とにかく無類の音楽好きである。また、10歳くらいからは電気技術にも興味を持ち始め、父親が整備士であったために旋盤等々の工業機械にも触れ合い始めたという。そしてエンジニアリング関係の学校に通い、16歳の頃からは、精密機械の製作やタイプライターなどの電機製品の修理もできるようになっていた。

21歳の頃からは、カーオーディオ専門店でマネージャーとして働き始める。カーオーディオユニットのインストール、チューニング、さらにはセキュリティの取り付けにも携わった。

1995年あたりにはジンバブエでもカーオーディオコンペティション『IASCA』(アイアスカ)が始まるのだが、それにも関わったとのことだ。

転機が訪れたのは、2001年。経済等が乱れ情勢不安に陥ったジンバブエを家族とともに離れ、イギリスに移り住む。

イギリスでも、最初はカーオーディオ専門店で働いたというヘイナン氏。そのショップは超VIP達が利用するお店であり、ハイエンドオーディオを中心に取り扱うところであった。そこでの経験で、カーオーディオに関しての知識をさらに深めることとなる。

氏が自らパワーアンプの設計を開始したのもこの頃から。そして一旦は、とあるパワーアンプブランドに就職し、設計を担当。しかし、ほどなくして退職し、遂に自身のカーオーディオブランド“オーディオ・ウェーブ”の設立に至った。2007年のことである。

最初に手掛けたのが、名機『CR』シリーズ。そして2009年、同アンプを搭載した車両で、ロンドン開催の『EMMA』の最上級クラスにエントリー。ヘイナン氏はそこでなんと、初出場・初優勝の快挙を達成する。それをきっかけに、“オーディオ・ウェーブ”の名前は、一気に世界へと広まることとなったのだ。


グラント・ヘイナン氏


Mycar-life(以下、M) お会いできて光栄です。さて早速なのですが、御社の製品はすべてハンドメイドで仕上げられていると聞いています。製作スタッフはどのような経験を持っている方々なのか教えていただけますか?

グラント・ヘイナン氏 「作っているのは、私自身です。私1人で作っているんですよ。ボディやヒートシンクの削り出し、磨き、メッキ処理も、私がやっています。ヒートシンクには熱伝導が高い銅を使っているのですが、それを1本1本機械で削り出し、ニッケルメッキをかけています。

回路設計ももちろん私が行っていますが、基板製作だけは業者に依頼しています。その基板に電子部品を取り付けていくのは私です。コイルに関しては、自身で巻いていますよ(笑)。

なので、1台のアンプを完成させるのに『CR』シリーズであれば約6週間を必要とします。複数台を同時進行する場合は効率化も図れますので、もう少し期間を短縮することは可能ですけれど」

M 1人きりで作っているとは驚きました。なぜ人に任せないのですか?

ヘイナン氏 「他の人を信用できないんです(笑)。と言ってしまうと語弊がありますが、要は、品質に責任を持ちたいのです。過去にメーカーに勤務していた頃、人に作り方を教えても、何かしら言ったことと違ったやり方をされてしまうんですよ。それがある意味トラウマとなっていて、なかなか人に任せる気分になれないのです(笑)。作るのが好きなので、だからこそやっていることではあるのですが」


インタビュー風景、左からグラント・ヘイナン氏・尾前イース・コーポレーション代表取締役・Mycar-life編集部


M さて、今回の『アスパイア・プロ』シリーズについてお聞きしたいのですが。当シリーズはいつ頃完成したのですか?

ヘイナン氏 「昨年の10月に完成したばかりなんですよ。オフィシャルに発表したのは最近です」

M 『アスパイア・プロ』シリーズのコンセプトを教えてください。

ヘイナン氏 「当ブランドのステートメント(声明)、品質、価値などを、もっともっと世界に広めていきたいと思っているんですね。今以上の多くの方々に使っていただきたいと思っています。『アスパイア・プロ』シリーズによって、それを加速させたいと考えているんです。なので、『CR』シリーズよりも身近に感じていただけるモデルに仕上げてあるんです。

M 音質性能に関しての自信のほどをお聞かせください。

ヘイナン氏 「『CR』シリーズより価格は手頃になっていますが、一般的なカーオーディオアンプとして考えると、十二分にトップレベルの品質に仕上がっていると自負しています。形を小さくして、かつ製作方法での合理化も図ってコストダウンを実現しましたが、性能に関しては妥協はしていません」

M パワーアンプ作りにおいて、理念としていることは何ですか?

ヘイナン氏 「ホームオーディオのハイエンド製品よりも良いものを作りたいと思っています。イギリスの有名なレコーディングスタジオで、『アスパイア・プロ』のパワーアンプとホーム用のアンプとを比較していただく機会があったんですね。そこでは、そのホーム用のアンプよりも良い音がすると評価をしていただけて、うれしかったですね」

M ホーム用の製品を作ろうとは思わないのですか?

ヘイナン氏 「他の国のことは分からないのですが、イギリスにおいては、相当にお金を持っている人だけしか、家で良い音を楽しめないんですよ。大きな音で音楽を聴ける環境を手に出来る人は、ほんの一握りなんですね。クルマの中だったら、多くの人が大きな音で音楽を満喫できますよね。そして、イギリスではロングドライブを楽しむ人が多い。2時間、3時間は当たり前に走ります。そんな時、良い音楽があったほうがいいと思うんですよ。それを手助けできたらと考えているんです。

M 最後に、今後のビジョンをお聞かせください。

ヘイナン氏 「もっと良い物を作りたいと思っています。『CR』シリーズ、『アスパイア・プロ』シリーズよりも、もっと良いものを。それぞれ自信作ですが、それらを“リファレンス”とは呼びたくないと思っているんですね。“リファレンス”と呼んでしまうと、それが1つのゴールという意味を持ってしまうと思うんですよ。もっと良いものを、という気持ちを忘れてはいけないんです。

そして、今よりももっと多くの方に“オーディオ・ウェーブ”の製品を使っていただきたいと思っています。その目標に近づけるためにも、さらに良いものを作らなければいけませんね。日本の皆さんにも、“オーディオ・ウェーブ”の製品を今以上に使っていただきたいと思っています。心を込めて作っています。音には期待していただきたいですね」

いかがだったろうか。ヘイナン氏が情熱の人であることが、会話の端々からひしひしと伝わってきた。氏が作っている製品ならば、その品質は揺るぎないであろうと確信できる。

さて、次週からはお待ちかねの『アスパイア・プロ』シリーズのインプレッションをお届けする。お楽しみに。

《太田祥三》
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