先週よりスタートした“GROUND ZERO”の新『GZPC』シリーズのリポート。今週からはいよいよ、試聴インプレッションをお伝えしていこうと思う。
デリバリーが開始されて間もないこの注目のスピーカーを、3ウェイと2ウェイそれぞれでじっくり聴かせていただいた。そのサウンドや、いかに…。
試聴は3ウェイから行った。2.8cmドームツィーター『GZPT 28SX』(価格:9万6000円・ペア)、8cmミッドレンジ『GZPM 80SQX』(価格:6万3000円・ペア)、16.5cmミッドウーファー『GZPK 16SQ』(価格:8万2000円・ペア)を、専用にワンオフ製作したエンクロージャーにセット。PCにリッピングしたWAVファイルをオーディオインターフェイスを経由し、ロックフォードのデジタルシグナルプロセッサー『3SIXTY.3』に送る。そこでクロスオーバーをかけた後(クロスオーバー以外のパラメーターはすべて不使用)、信号をパワーアンプへ転送。パワーアンプはスピーカーと同じく“GROUND ZERO”の『GZPA Reference2』(価格:36万円)を使用。スーパーハイエンドアンプを3台も使うという豪華なセットだ。
ケーブルは、“M & M DESIGN”を使用した。ラインケーブルにハイグレードモデル『SN-MA5000』(価格:6万円/1m)を、スピーカーケーブルにハイエンドモデル『SN-MS7500』(価格:6000円/1m)を使用。ともに、導体の種類、撚り方、絶縁体の材質など、すべての面で綿密な設計が施されている逸品だ。
試聴会場は、“GROUND ZERO”のディストリビューターであるイース・コーポレーションの試聴室だ。
まずは“GROUND ZERO”の『GZPC』3ウェイの絶対試聴から開始した。
一聴して感じたのは、ステージの奥行き感、音像の立体感。情報量が多く、特性がスムーズだからだろう。音を立体的に聴かせるというステレオ再生の1つの目的が、高いレベルで果たされていることを確認できた。
低域の鳴り方にも好印象を持った。低いところからどっしりと再生されていて、ふくよかな低域だ。適度に締まっていて、反応の速さも感じ取れる。全体のバランスが整っているので、低域だけ量感が誇張されることはないが、しっかりと鳴っていることは確かだ。
そしてさすがに、中域がぶ厚い。かつ、音のツブ立ちがいい。高域も滑らかだ。音量の小さい楽器も全体に埋もれることなく、輪郭をはっきりと描き出す。
全体的には、ナチュラルなサウンドだと思った。過度な装飾はなく、素直に、自然に音楽を聴かせてくれる。
続いて2ウェイを聴いた。聴く前は正直、先に3ウェイを聴いたことを少々後悔した。3ウェイのほうが良くて当然なので、2ウェイに物足りなさを感じるのではないか…、と思ったのだ。
2ウェイもパッシブクロスオーバーネットワークは使わず、マルチアンプ駆動で試聴した。
いや、なかなかどうして、2ウェイも素晴らしい。2ウェイのサウンドに物足りなさを感じることはなかった。
低域の質感は、当然ながら3ウェイと同等だ。タイトで締まった良質な低音を十二分に堪能できる。高域も滑らかでツブ立ちがいい。
2つを聴き比べた場合には、当然ながら中域の厚み、全体的な情報量の多さで3ウェイに軍配が上がる。しかし、音色が的確で素直なので安心して聴ける。なので音楽に没入できる。2ウェイで導入しても手応え十分なサウンドを満喫できるだろう。そしてその後に3ウェイ化すれば、2度感動を味わえる。楽しめるスピーカーだ。
しばし、新『GZPC』サウンドを堪能させていただいたのち、他ブランドの製品との比較試聴も敢行した。引き合いに出したのは、同じくドイツブランド“フラックス”のセカンドグレード、『マエストロコンペティション』と、“ロックフォード・フォズゲート”のハイエンド機『J5』。それぞれと聴き比べることで、“GROUND ZERO”の特長をより鮮明に感じ取ることができた。
その模様は来週以降にお届けする。お見逃しなく。