サウンドステーション アンティフォン 松居 邦彦の『カーオーディオ そこんとこ、実際ど~なのよ?』 #55: 第9章 カーオーディオマニアに贈る オーディオ & ビジュアル講座 ホームシアターの“今” Part.2 | Push on! Mycar-life

サウンドステーション アンティフォン 松居 邦彦の『カーオーディオ そこんとこ、実際ど~なのよ?』 #55: 第9章 カーオーディオマニアに贈る オーディオ & ビジュアル講座 ホームシアターの“今” Part.2

#55: 第9章 カーオーディオマニアに贈る オーディオ & ビジュアル講座 ホームシアターの“今” Part.2

カーオーディオ 特集記事
サウンドステーション アンティフォン 松居 邦彦の『カーオーディオ そこんとこ、実際ど〜なのよ?』


#55:
第9章 カーオーディオマニアに贈る オーディオ & ビジュアル講座 ホームシアターの“今” Part.2


前回から松居さんに、ホームシアターについて綴っていただいている。今、ホームシアターの世界で脚光を浴びている“4K”。それが一体何であり、“4K”を巡り今何が起きているのかを解説していただこうと思う。広く、オーディオ & ビジュアルについての知識を深める良い機会になればうれしいのだが…。じっくりとお楽しみいただきたい。



前回の続きに入らせていただく。

その前に、映像製作の文化として、テレビの世界と映画の世界があるということについて少々触れておきたいと思う。

まずは映画。日本で言えば京都、アメリカで言えばハリウッド、製作には時間と予算をたっぷり使う。これが映画の世界だ。対してテレビは、報道を主力にさまざまな情報や娯楽をお茶の間へ届けている。

技術に関しても、それぞれが独自で進化させてきた要素がある。例えば、ハイビジョン。これは日本のNHKがテレビの価値を高めるために開発した技術だ。音声も5.1chサラウンド化を併せて推進している。

そのサラウンドをしても、映画とテレビ用とでは分けて考える必要がある。

ドルビートゥルーHDやdtsHDなどは映画用サラウンドであり、エフェクト的にも使われるのに比べ、テレビの世界はマルチチャンネルオーディオ(SACDマルチチャンネル)と同じで、純粋にリアルな臨場感のために5.1ch化されているのだ。

そのNHKは、スーパーハイビジョンとして8K化を企んでいて、もし実現すれば、その画質は手に取るような距離でもリアルな映像の世界が実現するはずだ。

これはテレビの話である。

ここから本題だ。今、ホームシアターの世界で注目されている“4K”についての解説に入ろう。

“4K”とはそもそも、映画の製作をデジタル化するために開発された技術である。

かつての映画はフィルムで撮影され、シーンを繋ぎ合わせて製作されてきた。その、35ミリフィルムに置き換わるクオリティとして必要だった性能が、“4K”なのである。

フィルムを繋ぎ合わせることはなくなり、HDDで編集される。

従来は1本のマスターポジフィルムから転写する方式でコピーが作られ、劇場へ運ばれ、上映されてきた。それをレーザーディスクやDVDに収録し(テレシネ)、販売やレンタルされる。

外国映画のDVDは画質が良いと言われるのは、マスターに近いフィルムからテレシネされているからだ。同じことが映画館でも言われていて、アメリカで観たほうがきれいだったとか、良く言われていた。

何が言いたいかというと、フィルム時代の映画作品をDVD化するとき、マスターから近いかどうか、さらには、フィルム上映機とDVD再生機の規格の違いによって、映画館で観る映像と、DVDで観る映像に、差が生まれてしまっていたということ。

もっとも大きな問題は速度が違うことで、毎秒60フレームのテレビに対し、毎秒24フレームのシネマ。速度差を埋めるため2-3プルダウンといって割り切れない数をなんとか合わせたりして無理矢理行っていたのである。家庭の機器は、テレビ放送を観るために普及してきたものがベースになっていて、映画の世界と合致していない部分も多々あったのだ。

ところが、メディアがブルーレイになるときにこれが解消され、家庭でも映画と同じ速度で観られるようになった。

そして今度は、“4K”デジタル方式が家庭にも普及する時代が到来した、というわけだ。これにより、今までの問題がすべて解決し、家庭でも監督が観ていたクオリティと同じ映像を見ることが可能になる。

ところが、これですべての問題が解決したと、僕は思っていない。

昔から、ホームオーディオ、ビデオといった呼び方は「プロ用に劣る」という形容詞でもあった。現代のハイエンドオーディオ再生装置(民生機)は、プロ用再生装置を遙かに凌ぐ性


能になったが、映像の世界では、業務用の世界には遙かに及ばないという状況が続いていたのである。

デジタル放送のどさくさで、シェア争いのためやリーマンショックの影響もあり、低価格競争の方向へ流れたため、この傾向はさらに悪化した。

“4K”時代に突入し、映画(業務用)とホームビジュアルのクオリティがイコールになる時代の扉を開けてくれた今となっても、この傾向が残っている、と僕は感じているのだ。

僕が望むのは、低価格なテレビやプロジェクターではなく、マスターのクオリティを凌ぐ性能のディスプレーが世の中に出て、それが評価される時代なのだ。

以前、パイオニアが「KURO」という素晴らしい商品を販売していたが、価格競争の中断念せざるを得なくなった。この“4K”をきっかけに、もう一度製品としてのテレビが画質評価される時代になってほしいと思っている。

そうなることで、作品により近づけるようになり、映画館以上の感動を得られるようになるのだ。

《松居邦彦》

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