『DIATONE SOUND.NAVI』を楽しみ尽くそう! ちょっとのことで、もっとポテンシャルを引き出せる!? 使いこなし術、完全マスター講座! #2: 引き出すべきポイントは何なのか?::機能を具体的に検証! | Push on! Mycar-life

『DIATONE SOUND.NAVI』を楽しみ尽くそう! ちょっとのことで、もっとポテンシャルを引き出せる!? 使いこなし術、完全マスター講座! #2: 引き出すべきポイントは何なのか?::機能を具体的に検証!

#2:
引き出すべきポイントは何なのか?::機能を具体的に検証!

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『DIATONE SOUND.NAVI』を楽しみ尽くそう! ちょっとのことで、もっとポテンシャルを引き出せる!? 使いこなし術、完全マスター講座!


#2:
引き出すべきポイントは何なのか?::機能を具体的に検証!


「『DIATONE SOUND.NAVI』を楽しみ尽くそう!」というコンセプトでお贈りしている当企画。今後、使いこなし術について具体的に解説していく予定だが、今回までの2回はその予備講座。三菱電機(株)三田製作所(兵庫県三田市)を訪問し、カーマルチメディア技術第二部 主管技師長・寺本浩平氏と、カーマルチメディア製造第二部 設計第三課長・鈴木聖記氏へのインタビューを敢行し、前回はまず、『DIATONE SOUND.NAVI』の凄さの秘密に迫った。

今回も引き続き、両氏から伺ったお話をご紹介していく。前回の内容からさらに踏み込み、“ポテンシャル=潜在性能”を引き出すためのポイントについて具体的に解説していただいた。要熟読!

早速、『DIATONE SOUND.NAVI』のポテンシャルの高さについて、キーとなる部分はどこなのかお聞きした。


カーマルチメディア技術第二部 主管技師長・寺本浩平氏

カーマルチメディア技術第二部 主管技師長・寺本浩平氏


【寺本】“音の素性が良い”ことが前提になるのですが、その上で機能で言うなら、“マルチウェイ・タイムアライメント”を搭載していることがキーですね。

ちなみに“音の素性の良さ”については、「NR-MZ80」も「NR-MZ80PREMI」も同等です。ここを誤解されている方もいるようですが、素の音はどちらも同じクオリティです。両機の違いは、音質調整機能の細かさにあります。

で、“マルチウェイ・タイムアライメント”なのですが、これは皆さんよくご存じのとおり、三菱が独自に「デジタルプロセスセンター・DA-PX1」で開発した機能です。当時のカーオーディオはすでに、マルチアンプシステムが全盛でした。車室内という特殊な音響環境に対応すべく、タイムアライメントやクロスオーバーをDSPで操作するわけですが、これにはデメリットもあるのではないか、と考えました。アンプのch数が多く必要になることが問題だと捉えたんです。同じ予算なら、パワーアンプを何台も導入するより、上質なモデルを最少台数で導入したほうが音質には有利です。インストールのスペース効率で言っても、台数は少ないほうがいい。

ということを主な理由として、クロスオーバーは“パッシブクロスオーバーネットワーク”で行い、しかしタイムアライメントを効かせることができるという“マルチウェイ・タイムアライメント”を誕生させたんです。


カーマルチメディア製造第二部 設計第三課長・鈴木聖記氏

カーマルチメディア製造第二部 設計第三課長・鈴木聖記氏


【鈴木】私も「DA-PX1」の“マルチウェイ・タイムアライメント”の開発に加わっていましたが、この機能が後に、『DIATONE SOUND.NAVI』でここまで効いてくるとは…。感慨深いですね。

『DIATONE SOUND.NAVI』に“マルチウェイ・タイムアライメント”の機能を搭載したことで、純正のセパレートスピーカーシステムに対してもタイムアライメントが使えるようになりました。「DA-PX1」で開発を進めている時には、純正スピーカーにタイムアライメントをかけるなどということは、まったく想定していなかったことです(笑)。

しかし純正のセパレートスピーカーであっても、タイムアライメントを使用することで、ステレオ再生環境が相当に向上するんです。これにより、相当に音が良くなる。もちろん“音の素性が良い”からこそでもあるんですが。

“マルチウェイ・タイムアライメント”は「NR-MZ80」にも搭載しています(フロント2ウェイ+サブウーファー。「NR-MZ80PREMI」ではフロント3ウェイ+サブウーファーまで対応)。ですから、スタンダード機の「NR-MZ80」でも、純正のセパレートスピーカーのままでぐっと音を良くできるんですね。

【寺本】しかし、純正のセパレートスピーカーシステムで“マルチウェイ・タイムアライメント”を使いこなすことには、かなりの技術を要します。スピーカーシステムは純正でも、“マルチウェイ・タイムアライメント”を使うことはすでに、ハイエンド・カーオーディオの範疇に踏み込んでいることを意味するんですよ。

【鈴木】厳密に追い込んでいくためには、相当のノウハウが必要です。私自身、250車種以上で調整を行ってきましたが、同一の車体メーカーのクルマで同じ純正スピーカーを使っていて、さらには取り付け位置もほぼ同じなのに、車種が変われば音質調整の数値は同じにはなりません。反射の状況やシートの材質などが異なることで、タイムアライメントのセッティングも異なってくるんですよ。設定すべきパラメーターもものすごくたくさんある。ご自分でトライするのも良いとは思いますが、最終的にはプロにお願いしたほうがいいでしょうね。

潜在性能を引き出すための最初の鍵は、“マルチウェイ・タイムアライメント”を使いこなせるかどうか、ここにあるようだ。他にはどうなのだろう。

【寺本】EQの使いこなしも鍵になりますね。基本、EQの使用は最小限に抑えたほうが良いわけですが、それだけにシビアな操作が求められます。「NR-MZ80」では“フロント・リア、左右共通10バンド”、「NR-MZ80PREMI」では“フロント左右独立31バンド+リア左右独立10バンド”というように、異なったEQを搭載していますが、それぞれシビアに使いこなすべき、ということは同様です。

ちなみに「NR-MZ80」で“10バンド”にしているのには訳があります。オクターブごとでバンドを区切ると10バンドになるんですよ。例えば13バンドよりもバンド数は少ないのですが、オクターブ刻みのほうが使いやすいんです。なのであえて“10バンド”にしているんですね。

ところで前から気になっていることがあった。カタログ(プレミアムサウンドブック)を見ると、“仮想2ウェイ”とか、“仮想3ウェイ”という記述が出てくる。あれは何を意味しているのだろうか。

【鈴木】実はこのマルチウェイ・タイムアライメントですが、純正のセパレートスピーカーシステムだけではなく、純正のしかもフルレンジスピーカーシステムに対しても有効なんです。フルレンジスピーカーのツイーター帯域とミッドウーファー帯域に個別に“マルチウェイ・タイムアライメント”をかけるのが“仮想2ウェイ”。2ウェイシステムで、3ウェイだと想定して“マルチウェイ・タイムアライメント”をかけるのが“仮想3ウェイ”です。

「リスナーに対するスピーカーの距離差を、遅延をかけて揃える」のがタイムアライメントですが、それを逆手にとって、「遅延をかけることでスピーカーがあるように思わせ、位置が動いたかのように錯覚させる」んですね。これによって、音場や表現力をコントロールすることができる。“マルチウェイ・タイムアライメント”だからこそ可能になることです。そして、これができることで、音響コントロールの幅がかなり広がります。ダイヤトーンだけが可能にするテクニックなんです。

さて、最後の“仮想2ウェイ”、“仮想3ウェイ”については難しかったかもしれない。次回からの実践テクニック編で説明できたらと思っている。

ともかく、「DIATONE SOUND.NAVI」の潜在能力が高いことは疑いようのない事実だ。知れば知るほど、それを引き出したいと思っていただけたはずだ。次回からの実践テクニック編、楽しみに待っていてほしい。

《太田祥三》
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