【THE REAL】ハリルジャパンの10番、香川真司が入り込んだ袋小路…クラブと代表で失われた輝き | Push on! Mycar-life

【THE REAL】ハリルジャパンの10番、香川真司が入り込んだ袋小路…クラブと代表で失われた輝き

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香川真司 参考画像(2016年10月1日)
  • 香川真司 参考画像(2016年10月1日)
  • 香川真司 参考画像(2016年9月23日)
  • 香川真司 参考画像(2016年9月6日)
  • 香川真司 参考画像(2016年9月1日)
  • 香川真司 参考画像(2016年8月22日)
  • 本田圭佑 参考画像(2016年9月25日)
これまでの“図式”が大きく崩れている。所属クラブでの輝きを、なぜ日本代表で放てないのか。ザックジャパン時代からこんな疑問符をつけられてきたMF香川真司が今シーズン、ボルシア・ドルトムントにおける出場機会をも激減させている。

ブンデスリーガではマインツとの開幕戦こそ先発フル出場したが、その後は5試合のうち途中出場で2度、合計で46分間プレーしただけ。UEFAチャンピオンズリーグに至っては、ベンチ外となった王者レアル・マドリード戦を含めて、まだ一度もピッチに立っていない。

「こんなに試合をやっていないのは、僕も初めてなので…」

イラク代表とのワールドカップ・アジア最終予選(埼玉スタジアム)を戦うために3日に一時帰国。埼玉県内で行われている直前キャンプに一日遅れで合流した香川は、試合勘が鈍っているのでは、という質問に対して困惑した表情を浮かべながら、こんな言葉を残している。

「その意味では何とも言えないですけど、だからこそしっかりといいトレーニングを積んで、試合でやるだけだと思っているので。あとは自分の気持ちを、どれだけ前向きにもっていくか。地道にやっていければいいんじゃないか、と思っています」

香川真司 (c) Getty Images
■新戦力の台頭でベンチに座る時間が長くなる

トーマス・トゥヘル監督体制で2シーズン目を迎えたドルトムントは、オフにDFマッツ・フンメルス(現バイエルン・ミュンヘン)、MFイルカイ・ギュンドアン(現マンチェスター・シティ)、MFヘンリク・ムヒタリアン(現マンチェスター・ユナイテッド)といった主力がチームを去った。

一方でマリオ・ゲッツェをバイエルンから3年ぶりに呼び戻し、さらにヴォルフスブルクからはアンドレ・シュールレも獲得した。ドイツ代表のワールドカップ・ブラジル大会制覇に貢献した両MFは香川とポジションが重複するうえ、前者は24歳、後者は25歳と27歳の香川よりも若い。

加えて、ともに19歳のフランス代表FWウスマン・デンベレ、トルコ代表FWエムレ・モルをはじめとする若手の新戦力も台頭。彼らのあおりを受ける形でベンチに座っている時間が長くなっている状況を、香川は努めて冷静に受け止めようとしている。

「うーん、いまは我慢ですし、チームにおいては別に自分自身が悪いわけではないので。それ以上に新しく入った選手やこれまで結果を残している選手がいるので、彼らが試合に出るのは当たり前の話。競争に勝つために日々やるしかないし、そのチャンスを自分はいま、ドルトムントでうかがっている。

代表に関しては9月に2試合戦って、1カ月くらい時間が空くなかで、ドルトムントで試合に出られないのはフラストレーションが溜まりますけど…。もちろん試合に出ることがベストですけど、僕はこれからだと思っているし、シーズンは始まったばかりのなかで、何も悲観する必要はないと思っています」

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■日本代表でも精彩を欠く

当然ながら、ドルトムントではまだゴールをあげていない。所属クラブで輝きを放てなくなった一方で、日本代表ではこれまでと同様に、精彩を欠く時間帯が圧倒的に多い状態が続いている。

UAE(アラブ首長国連邦)代表にまさかの苦杯をなめ、タイ代表には苦しみながらも勝利した9月のワールドカップ・アジア最終予選。香川は2試合連続で先発フル出場を果たしながら、無得点に終わっている。決定機を外しては天を仰ぐ、デジャブのような光景が繰り返された。

香川真司 (c) Getty Images
もしかすると、これまでのサッカー人生のなかで、最も厳しい状況に置かれているのではないか。核心を突くような厳しい質問に、香川の口調もいつもより速さを増す。動揺している証しといっていいだろう。

「うーん、別にこういう状況は多々あったと思うので、だからこれを乗り越えればいいだけの話で。こういうスタートや環境のなかでどれだけ自分(の存在価値)を証明して、その結果としてチームを勝たせていけるか、ということが自分に求められているものなので。

いまは代表だし、ワールドカップに行くことがまず目標なので。どんな状況にあろうが、ワールドカップに対する想いをしっかりと抱き続ければ必ず勝てると思っているし、そのためにも今回の2試合をしっかり戦いたい。まずはイラクに勝って、オーストラリアのホームに行くことを何よりも求めています」

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■出場時間の減る『海外組』の選手たち

香川だけではない。FW本田圭佑(ACミラン)、DF長友佑都(インテル・ミラノ)、FW岡崎慎司(レスター・シティ)、DF吉田麻也(サウサンプトン)といった主軸の出場時間も軒並み激減。本田に至っては7試を終えたセリエAのうち途中出場で2度、わずか19分間しかピッチに立っていない。

それでも相変わらずの威風堂々としたオーラを漂わせ、試合勘の欠如を心配する声を「当然ないわけがないんですけど」と認めた上で、笑顔を浮かべながら問題なしをアピールする。

本田圭佑 (c) Getty Images
「それでもいかに結果に結びつけるか、ということを求められていると思うので。心配する声を消せるくらいに、しっかりと結果を出したいですね。ひとつ心配なのが時差ぼけですけど、(帰国から)2日くらいの試合だと時差を戻さずに、そのまま対応したほうがいいコンディションでいけるんですよ。

とにかく、大事なのは日々のトレーニングですね。日々のトレーニングが絶対的な自信を与えてくれる。僕はミランに行ってからも試合に出られない時期が、監督が代わるたびにちょくちょくあった。そのたびに代表に招集され、対応の仕方もうまくなっている点も、まったく不安にならない要因のひとつなのかなと」

もちろん虚勢を張っている部分もあるだろう。それでも泰然自若としている本田の立ち居振る舞いは、どこか悲壮感すら感じさせる香川とは対極の位置にある。実際、逆転負けこそ喫したものの、先のUAE代表戦で日本の唯一のゴールを決めたのは本田だった。

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■どんな形でもいいからチームの勝利に貢献していきたい

香川が合流した3日の練習では、今シーズンからリーガ・エスパニョーラのセビージャでプレーする清武弘嗣が、バヒド・ハリルホジッチ監督の付きっきりの指導のもとで居残り練習を課された。指揮官から身ぶり手ぶりで叩き込まれていたのは香川がハリルジャパンで主戦場としてきた、トップ下の動き方だった。

実際に6日のイラク代表戦で清武がトップ下を任せられれば、香川にとって通算3度目となるアジア最終予選で、ケガ以外では初めて先発を外れることになる。それでも現実を受け入れて、どんな形でもいいからチームの勝利に貢献していきたいと、香川は必死に言葉を紡ぐ。

香川真司 (c) Getty Images
「それは当たり前の話で、前の2試合で結果を残していないので。その意味では次の2試合でしっかり結果を出して、チームを勝たせることで自分を証明するだけなので。今回は厳しいスタートを切りましたけど、タイに勝って五分にして、まだ8試合ありますから、次の2試合をしっかり勝つことを意識したい。

海外組のみんなもクラブで試合に出ていないということで、すごくネガティブにとらえられがちですけど、そこまで(深刻に)受け取る必要もない。僕たちは結果で証明するだけだし、そのための準備をしっかりしていくだけなので。そのためのサポートをしてほしい」

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■頼れるのは自分の力だけ

袋小路に入りかけているからだろうか。香川の口からは「証明」や「準備」に代表されるように、7分足らずの取材時間のなかで同じような言葉が何度も飛び出した。

自分自身を何とか奮い立たせ、前を向こうとする必死な想いが激しく脈打つ。それでも、例えば日本代表の9月シリーズに象徴されるように、気持ちと結果が反比例する悪循環にもどかしさを募らせているその胸中が、痛いほどに伝わってくる。

香川がマンチェスター・ユナイテッドに所属していた2013‐14シーズンの開幕直後に、デイビッド・モイーズ新監督の構想から外れたことが原因で、いま現在と同じように出場機会が激減したことがあった。

当時はザックジャパンがすでに出場を決めていたワールドカップ・ブラジル大会へ向けて、チーム力をアップさせている最中。出場機会を求めてヴォルフスブルクからニュルンベルクへ移籍したばかりのMF長谷部誠(現アイントラハト・フランクフルト)は、香川へこんなエールを送っている。

「ヴォルフスブルクとマンチェスター・ユナイテッドとでは、試合に出られないというレベルがちょっと違いますけど、彼(香川)はリーグ戦が始まってまだ3試合。これを切り拓いていくのは彼自身。自分の力で乗り越えていくでしょうね」

香川真司 (c) Getty Images
頼れるのは自分の力だけ。人事を尽くしながら出場機会という天命を待ち、そのときにベストのプレーで序列を逆転させるために心技体のコンディションをベストの状態で整えていくしかない。

「本当にいい準備をするだけなので。それしかいまの僕は言いません」

ドルトムントで通算5シーズン目。そして、日本代表の「10」番を託されてから6年目。再び繰り返された「準備」という二文字に、日本代表だけでなく所属クラブでも輝けなくなった香川の苦悩が凝縮されている。
《藤江直人》

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