【THE SPIKE】イチローが不世出のスーパースターである10の理由 | Push on! Mycar-life

【THE SPIKE】イチローが不世出のスーパースターである10の理由

日米通算4257安打を6月15日に放ち、これまでピート・ローズが保持していたメジャー通算4256安打の記録を塗り替えたマイアミ・マーリンズのイチロー。メジャーでの10年連続200本安打やシーズン最多安打記録に加え、偉大なる記録がまたひとつ加わった。

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イチロー 参考画像(2016年5月15日)
  • イチロー 参考画像(2016年5月15日)
  • イチロー 参考画像(2016年6月17日)
  • イチロー 参考画像(2016年6月21日)
  • イチロー 参考画像(2016年6月22日)
  • イチロー 参考画像(2001年4月14日)
  • イチロー 参考画像(2015年4月21日)
  • イチロー 参考画像(2011年4月12日)

日米通算4257安打を6月15日に放ち、これまでピート・ローズが保持していたメジャー通算4256安打の記録を塗り替えたマイアミ・マーリンズのイチロー。メジャーでの10年連続200本安打やシーズン最多安打記録に加え、偉大なる記録がまたひとつ加わった。

6月29日現在、メジャー通算3000安打まであと14本に迫っている。2016年シーズンに入りマルチ安打を重ね、四球も増えたイチロー。現地メディアは改めてイチローの偉大さを特集するなど、世界一の安打製造機に対して熱い視線が注がれている。

なぜイチローはこれほどまでにスゴいのか。
イチローとはどういう人物なのか。

プレーの面はもちろん、いくつかの切り口で人間・イチローを考察してみる。
1.打撃の概念を覆した
「イチローは打撃の概念を覆した男」。そう評したのは、かつてプロ野球史上唯一となる3度の三冠王を達成した落合博満氏だ。

「いい打者というのは、自分のポイントまでボールを引き付けて打つ。だから自分の狙っているところへボールが来ないのなら無理に追いかけることはしない」と語る。ただ、イチローは違うという。「自分のポイントにボールが来なくても、ボールを追いかけていってヒットにしてしまう。そんなバッターは今までいなかった」と高く評価していた。

イチローがメジャーに行く前、「メジャーにもイチローよりスゴいバッターはいない」と落合氏は断言していた。今、イチローは落合氏の予言通りにメジャー最高峰のバッターとなった。
2.衰えぬ走力
2月にMLB公式サイトは、2015年シーズンにおける両リーグ打者の「打席から一塁までの平均タイム」を掲載。イチローは昨季、41歳ながらも5位にランクインした。1位はオークランド・アスレチックスのビリー・バーンズの3秒85。5位のイチローは3秒98だ。

これは驚異的としか言いようがない。今季、1番打者としてマルチ安打を幾度となく記録しているイチロー。今でもメジャー屈指のリードオフマンだ。
3.全米を震撼させたレーザービーム
右翼から繰り出す、まるでレーザービームのような返球。オリックス・ブルーウェーブ(現オリックス・バファローズ)在籍時からイチローの強肩はメジャーでも通用すると言われていたが、メジャーにデビューした当時、全米がイチローの強肩に驚愕した。

2001年4月、イチローがメジャーデビューしたシーズン。オークランド・アスレチックス戦で三塁に向かって走る走者を矢のような送球で刺した。この試合を見ていた解説者リック・リズ氏が「レーザービーム」と発言したことをきっかけとし、その呼び名が定着していった。

4.驚異の守備力「エリア51」
「エリア51」とは米軍基地の愛称。厳重な警備で守られていることで知られるが実態は明らかになっていない。イチローが長年在籍したシアトル・マリナーズの本拠地セーフコ・フィールドのライトの守備位置は「エリア51」と呼ばれていた。どんな打球でも捕球してしまう、完璧で神秘性すら感じるイチローの守備とその範囲は聖域として崇められているほどだった。

時にはフェンスの最上部によじのぼり、絶妙なタイミングでホームランボールをキャッチ。その軽快かつ無駄のない動きは忍者ともスパイダーマンとも呼ばれていた。ライトに打球が飛んだ瞬間、それはアウトがひとつ増えることを意味していた。
5.大ケガとは無縁
これだけの記録を打ち立てるには、長年レギュラーで試合に出続けなければならない。イチローは大きなケガとは無縁であり、ケガをしないように普段からの自己管理を徹底している。

どの選手よりも早く球場に入り念入りにストレッチをし、試合中でも守備の合間に体を常に意識的に動かしている。また、腰に負担がかかるとして、クラブハウスではやわらかいソファには座らずにパイプいすに座る。ヘッドスライディングやダイビングキャッチは決してしない。徹底した自己管理がイチローの大記録を支えている。

【イチローが不世出のスーパースターである理由…10選 続く】

6.道具へのこだわり
イチローが人一倍道具を大切に扱うことは有名な話。例えばジュラルミン製のバットケースには、乾燥剤を入れている。これはバットが湿気を吸うと重さが変わるため、その予防策だという。そして、遠征先には“マイ枕”を持参する。いつもと違う枕で寝ると体調に支障をきたす可能性があるという理由からだ。

また、イチローのスパイクは非常に軽いと言われている。「履いている感覚がしないもの」を常に求めているようで、自分の感覚に合わないスパイクは決して履かない。極論ともとれるが、スパイクを「1試合ずつ取り換えてもいい」とも話しているという。1試合1試合、一瞬一瞬のプレーにかける想いが伝わってくるエピソードだ。
7.言葉の力
イチローといえば数多くの名言があるが、そのことに加え言葉を慎重に選びながら発言する姿が印象的だ。その言葉の裏側にはイチローの経験が裏付けとしてあるわけだから、説得力は凄まじいものがある。

「一つひとつ積み重ねることが、とんでもない所へ行くためのただ一つの道」。前人未踏の大記録を次々に打ち立てるイチローが発する言葉は実に重く、響いてくる。

また近年、必要以上にウエイトトレーニングに励む野球選手には、こう苦言を呈している。

「自分の本来持っている体の良さを活かすべき。野球で必要な筋肉は野球の動きの中で身につくもの」「自分も入団して6年目くらいまではウエイトをしましたけど、失敗しました」「虎やライオンがウエイトトレーニングしますか?しなくても強いでしょ。そういうことです」

イチローの言葉には力がある。

8.究極のルーティン
イチローは翌日の試合開始時間から逆算して、寝る時間や起きる時間、食事やトレーニングの時間を全て分刻みで決めている。もっといえば、年間の試合日程は決まっているので、年間を通じて予定が決まっていると言っても過言ではない。

食事内容についても、かつては朝カレーをルーティンとしていた。近年では食パンや素麺を年間を通して食べているという。これは、いつもと違うものを食べて体調を崩したり、美味しくないものを食べて気分が下がってしまった場合、その事が野球に影響しかねないと考えているからだ。

9.ファッションでも話題を振りまく
今年のシーズン前、親交のあるお笑いタレント・ダウンタウンの浜田雅功氏からプレゼントされたTシャツを着て球場入りする姿が話題になった。

「人生は42歳から始まるんやて」「守りも固めやし」「肩もわりかし強いほうやし」などメッセージが入ったユニークなTシャツを日替わりで着用する姿が、連日メディアに取り上げられた。

オリックス在籍時代からメジャー1年目くらいまでは、ゆったりとしたヒップホップファッションのイメージが強かったイチロー。それは実兄の鈴木一泰氏がヒップホップ音楽にはまり、イチローにも教えたことが影響している。ファッションの面でも、イチローはいつの時代も話題を振りまいている。

10.小学校時代の夢が具体的
イチローは小学6年生の時に『僕の夢』というタイトルの作文を書いている。出だしはこんな感じだ。

「ぼくの夢は一流のプロ野球選手になることです。そのためには、中学高校と全国大会に出て活躍しなければなりません。活躍できるためには練習が必要です。ぼくは、3歳のときから練習を始めています。3歳から7歳までは半年くらいやっていましたが、3年生の時から今では、365日中360日は激しい練習をやってます。だから1週間中で友達と遊べる時間は、5~6時間です。そんなに練習をやっているのだから、必ずプロ野球選手になれると思います」

365日中360日は野球の練習に励んでいたという事実は驚きだ。そして、この後の文章がより具体性を増していく。

「中学、高校と活躍して、高校を卒業してからプロに入団するつもりです。そしてその球団は、中日ドラゴンズか西武ライオンズです。ドラフト入団で契約金は1億円以上が目標です」

入団を希望するチーム名を挙げるまではともかく、契約金の金額にも言及している。作文の最後はこう締めている。

「ぼくが一流の選手になったら、お世話になった人に招待状を配って応援してもらうのも『夢』のひとつです。とにかく一番大きな夢は、プロ野球選手になることです」

お世話になった人たちに招待状を配って応援してもらうことが書かれており、かなり具体的に将来の自分の姿をイメージしている。

イチローのスゴい理由、今回は10の切り口で迫ってみた。次に達成が注目されているのはメジャー通算3000本安打だが、イチローにとっては通過点に過ぎないだろう。

不世出のスーパースター・イチロー。その軌跡を振り返ることがまだまだ早すぎることは分かっている。イチローの5年後、10年後に注目していきたい。

《浜田哲男》
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