【高校受験2017】SAPIX中学部に聞く都立トップ校合格の鍵…夏の学習計画と過去問の活用法とは | Push on! Mycar-life

【高校受験2017】SAPIX中学部に聞く都立トップ校合格の鍵…夏の学習計画と過去問の活用法とは

 各地域で高い合格実績を持つ塾として、「SAPIX(サピックス)」中学部教務部部長兼教育情報センター部長の高橋淳氏に、夏休みにすべきことや夏期講習の活用法など、都立高校入試合格に必要な鍵を聞いた。

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SAPIX(サピックス)中学部 教務部部長兼教育情報センター部長の高橋淳氏 (撮影:稲葉九)
  • SAPIX(サピックス)中学部 教務部部長兼教育情報センター部長の高橋淳氏 (撮影:稲葉九)
  • インタビューに応えるSAPIX(サピックス)中学部 教務部部長兼教育情報センター部長の高橋淳氏 (撮影:稲葉九)
  • SAPIX中学部は現在、夏期講習の受講生を募集している (撮影:稲葉九)

 いよいよ7月。あと数週間もすれば、中学時代最後の夏休みがやってくる。東京都では、近年ますます公立高校の人気が高まっており、特に日比谷高校や西高校をはじめとした進学指導重点校に注目が集まっている。

 志望校合格のため、2017年の夏休みをどのように過ごし、さらに夏休み以降はどういった学習を行うのが効果的なのか。各地域で高い合格実績を持つ塾として、SAPIX(サピックス)中学部教育情報センター部長の高橋淳氏に、夏休みにすべきことや夏期講習の活用法など、トップ校を中心に、都立高校入試合格に必要な夏から秋の過ごし方を聞いた。

この夏はまとまった時間を取れる“最後のチャンス”

--受験生にとって、夏休みはどのような時期にあたりますか。

 月並みですが、「夏を制するものが“受験”を制する」とは、どこでも言われていますよね。これは、半分ぐらいは本当のことだと思います。学校の授業が休みに入りますから、受験生にとって、夏休みはまとまった時間が取れる“最後のチャンス”になります。自分が自由に使える時間をどのように生かし、勉強に取り組むか。夏の過ごし方で、秋以降に実力がどこまで高められるかが決まるでしょう。よって、制するべきもう半分は、夏から秋の過ごし方も含まれています。

--夏休みだからこそ取り組むべき教科はありますか。

 日比谷、西、戸山、青山などのような人気校を受検する生徒に限らず、「この単元だけ勉強すれば大丈夫」ということは受検にはありません。ただし、各教科とも、夏以降により実践的な対策を行うようになる前に、基礎固めと苦手科目の克服を行う時間をどこかで取る必要があります。普段は避けがちな苦手教科を、夏休みでいかに克服するか。これが、合格と不合格の分岐点になります。

 夏休みは、理科と社会に代表される、知識系の暗記科目にも、時間を掛けられる期間ですね。英語の語彙や文法、国語の古文・漢文も知識系に含まれます。そもそも、基礎ができていないからこそ苦手になるわけで、そうした基礎固めと苦手部分の対策に時間を掛けるのが効果的な夏休みの使い方になるでしょう。

早めの学習計画と苦手ポイントの発見が鍵

--受験生とはいえ、夏休みは時間管理が難しい期間です。有意義な夏にするため、今から準備しておけることはありますか。

 1日24時間の中で、どのように学習時間を取るかが重要です。そのために、夏休みに入る前に、基礎固めや苦手対策に使う時間を計算した学習計画を立てておくと良いでしょう。夏休みに入ったら、実際の勉強時間を記録し、それをグラフ化などして、きちんと把握することも必要です。万歩計などと同じで、学習量や進捗具合、達成度を視覚化することで、それが勉強の励みにもなります。

 そもそも、苦手教科に割く時間を取るには、自分はどの教科のどの単元が苦手か、といったことを知っている必要がありますが、多くの受験生は4・5月に一度、模試を受けているはずです。ですから、苦手な部分の洗い出しは、模試の成績が参考資料のひとつになります。最低でも、夏休みに入る前に苦手な教科と、その単元はわかっていなければなりません。

 自宅学習のほか、塾での授業時間も、もちろん勉強している時間に含まれます。塾での学習を組み込んだ数値でもいいので、「1日○時間」「○日間」「○ページ」など、自分なりの具体的な目標を立てて、クリアしていって、達成感を味わえると良いですね。

夏期講習、最大のメリットは「集中できること」

 とはいえ、どんなに優秀な生徒でも、学習計画に則ってひとりでノルマをこなしていくのは難しいことです。たとえば、自宅学習のみで、難しい問題を集中して考え続けたり、小論文に取り組んだりといったことは、なかなか難しいと思います。家で「小論文を書こう」と思う生徒は、なかなかいませんよね。

 ある程度、決まった枠内で集中する時間と、自分のペースで自己学習できる時間と、この両方のスタイルが重要です。これは、家庭学習だけでなんとかなるほど、甘くないと思います。逆に、受身で誰かに教わるだけでもダメだと思います。

--夏期講習に行けば、成績は必ず上がるのでしょうか。

 夏期講習はあくまで講習で、定着させるのは自己学習。夏の学習には、この両輪が必要だと思います。講師に丸投げで力がつくことはなく、自分なりに見直しを行う自己学習も重要です。たとえば、SAPIXでは合宿は行っていません。これも同じく、すべてを塾に委ねれば良い、という、ある意味甘い考えを我々は良しとしていないからです。もちろん、家庭学習のフォローやアドバイスは、随時明確に行っています。

--SAPIX中学部の夏期講習では、どのようなことを指導していますか。

 授業の中で扱う問題は、実際に出された過去入試問題(過去問)など「良質な問題」を揃え、真の実力を底上げするような指導を行っています。単元によらずに、たとえば「三角形の内接円」など、テーマを決めた講習も行っています。

 多くの受験生は、都立高校だけを受検するわけではないので、SAPIX中学部の夏期講習では志望校に特化したクラス分けや対策講座は設けていません。その場しのぎの受検対策ではなく「真の実力を身に付ける」ことを主眼に、実力に応じたクラス分けと、基礎・標準・応用と、段階を踏んだ講習を行っています。

夏の過ごし方が秋以降の成績にも影響する

--そうした夏が終わると、秋以降にはどういった変化がありますか。

 夏の勉強の効果が出てくるのは、やや間を置いて、秋以降になるんですよ。10月、11月ごろになって、ようやく模試で点数が取れるようになり、地力が着いたことが実感できると思います。

 ただし、2学期以降になると、学校の授業が再開するだけでなく、運動会や文化祭などのイベントもあり、忙しくなってしまうため、「自由に勉強できない!」と、ストレスを感じる生徒が多くなります。もちろん、学校の定期試験も大事ですよね。そこで、夏休みを通し、時間の使い方を心得た生徒は、有利になるわけです。「夏を制するものが受検を制する」ということを話しましたが、夏明けに失敗する生徒も少なくありません。ここをどう乗り越えるかもポイントだと言えます。

「捨て問」はない 合格の鍵は真の実力

--秋以降は具体的にどういった学習が必要ですか。

 入試問題などを想定し、時間を計って解くような実戦演習が効果的です。演習には、過去問の利用が効果的です。夏は、実力を上げるため、時間が掛かっても問題に接していく形ですが、秋からは、時間を計って「この50分をどう使うか」などと考えながら、本番を見据えた形に移っていきます。

 高い目標を掲げ、学習する生徒たちに向け、私たちは「とばす問題(捨て問)はない」と言ったりします。講師が教えてくれる問題には“解かないでいい”問題は存在せず、すべてわからないといけません。だからこそ、すべての問題を解ける実力の定着を目指します。

 しかし、現実には解けない問題は必ず出てきます。そこで、夏以降に必要となってくるのは、解けなかった問題について「なぜ解けなかったのか」「どうすれば良かったのか」を分析し、掛かる時間や難易度、ミスした理由などを実感することですね。

 過去問には、入試直前まで取り組むべきでしょう。点数だけに一喜一憂せず、先ほども述べた通り、解けなかった問題について解けなかった理由や対策を考えることを大切にしてください。

近年の学力検査問題を読み解く…思考力そのものを問う傾向

--近年の都立高入試の特徴を教えてください。

 都立高入試に限らず、近年の高校入試における学力検査問題は、数学で記述問題が増えるなど、「生徒の思考力そのものを見る」という傾向がある程度強くなっています。ですので、間に合わせのテクニックに頼る対策より、どの問題でも解き切る力、つまり実力のベースアップが必要になっています。

 都立高受検は、2014年から始まった進学指導重点校の「グループ作成問題」のように、学校ごとの特色もありますが、夏から秋にかけて必要なのは学校ごとの対策ではなく、基礎的な実力の養成です。SAPIX中学部では「しっかり考えられる生徒」を育てることを理念に掲げています。

 SAPIX中学部では、そういった学力検査に出る問題の予想を踏まえて、11月に「サピックスオープン」、12月に日比谷、西、国立、戸山、青山、八王子東、立川の入試本番を想定した模試「都立進学指導重点校入試プレ」を行います。生徒には、「模試は真剣に受けるように」と言っています。ここで緊張して受けた生徒は、本番に強いですね。

受験生は「高望み」、保護者は書類面の支えを

--こうした時期、保護者ができるサポートはありますか。

 やはりまず第一は、食事を含めた体調管理ですね。学習自体については、本質的な管理はできないので、ちょっと口を出すぐらいでいいでしょう。都立トップ校の合格者に「(夏以降に)親御さんにしてもらって良かったことは何か」と聞くと、「ほっといてくれたのが良かった」という意見が、実は一番多いんですよ。

 それから、都立高を受検する生徒は私立高校を併願受検する生徒がほとんどですから、受検日の確認や必要書類の管理については、保護者の方が助けてあげると良いでしょう。書類をちゃんと提出することも含めて受検ですからね。

 いかに高い目標を持って、どれくらい努力できるか。夏のスタート時には到底及ばないような高い目標を掲げた生徒でも、目標をクリアして志望より高いランクの高校に見事合格する生徒はいっぱいいますよ。本気でやれば、実力が着いてくる生徒を私たちはたくさん見ています。受験生の皆さんは、ぜひ、高望みしてください。

--ありがとうございました。

 SAPIX中学部では、7月26日(火)から8月29日(月)まで、苦手分野を克服し、受検に向けて実践力を養う夏期講習2016を実施する。受講には夏期入室テストを受ける必要がある。受講料や授業時間、校舎ごとの詳しい開講日程はSAPIX中学部のWebサイトで確認できる。

 また、SAPIX中学部Webサイトでは、「東京都立進学指導重点校への入試対策」で都立高校入試に向けた志望校研究に役立つ情報を提供中。YouTube公式チャンネルでは、都立高校入試の仕組みについて動画でわかりやすく解説する。人気校の受検を考えている場合は、「都立高校受検の仕組み(2)―グループ作成問題―」は必見。さらに、7月1日には情報誌「SQUARE」特別増刊号・都立高校スペシャルを発行し、SAPIX中学部各校舎で校外生にも配布する。詳細はSAPIX中学部まで問い合わせること。

平成29年度 東京都立高等学校入学者選抜スケジュール
<一次および分割前期>
 願書受付:平成29年2月7日(火)・8日(水)
 学力検査:平成29年2月24日(金)
 合格発表:平成29年3月2日(木)
<分割後期>
 願書受付:平成29年3月7日(火)
 学力検査:平成29年3月10日(金)
 合格発表:平成29年3月16日(木)

《冨岡晶》
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