【インタビュー】超話題作に抜てきのTAO「ハリウッドで活躍するアジア人」の意識と葛藤 | Push on! Mycar-life

【インタビュー】超話題作に抜てきのTAO「ハリウッドで活躍するアジア人」の意識と葛藤

この春最大の話題作『バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生』に日本人として唯一出演している女優のTAOが取材に応じ、抜てきの経緯や共演者の印象、そして女優として「ハリウッドで活躍するアジア人」の意識と葛藤を語った。…

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TAO『バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生』/photo:Ryo Uchida
  • TAO『バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生』/photo:Ryo Uchida
  • TAO『バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生』/photo:Ryo Uchida
  • TAO『バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生』/photo:Ryo Uchida
  • 『バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生』- (C) 2015 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC., RATPAC-DUNE ENTERTAINMENT LLC AND RATPAC ENTERTAINMENT, LLC
  • 『バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生』- (C) 2015 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC., RATPAC-DUNE ENTERTAINMENT LLC AND RATPAC ENTERTAINMENT, LLC
  • 『バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生』 - (C) 2015 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC., RATPAC-DUNE ENTERTAINMENT LLC AND RATPAC ENTERTAINMENT, LLC
  • 『バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生』(C)2016 WARNER BROS. ENTERTAINMENTINC.,RATPAC-DUNEENTERTAINMENT LLC AND RATPAC ENTERTAINMENT, LLC

この春最大の話題作『バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生』に日本人として唯一出演している女優のTAOが取材に応じ、抜てきの経緯や共演者の印象、そして女優として「ハリウッドで活躍するアジア人」の意識と葛藤を語った。

誕生以来、70年以上愛され続ける“元祖”ヒーローのバットマンとスーパーマンが作品の垣根を超えて、世紀の対決を繰り広げる。監督は『マン・オブ・スティール』のザック・スナイダー。TAOさんは二大ヒーローの影で不穏な動きを見せる謎の男レックス・ルーサーの秘書、マーシー・グレイブスを演じている。女優デビュー作『ウルヴァリン:SAMURAI』での演技に惚れ込んだスナイダー監督のご指名で、再びハリウッド大作への出演が実現した形だ。

「エージェントからオーディションの連絡を受けたんですが、内容も役柄もコンフィデンシャル(内密)だと言われ、これは大ごとだと思いました。その後、私がたまたま仕事でLAにいると知ったザックに呼ばれて、役柄についてボンヤリ話があって(笑)。それが2013年の秋頃。当時は題名も決まっていない状態で、いわゆる本読みといったオーディションもなく、起用が決まったんです。嬉しかったけど、2年以上も秘密にしているのが大変で」。

いまだナゾに包まれた本作だが、解禁された最新の予告編にはTAOさんが、凛とした存在感を放っている姿が確認できる。黒縁のメガネも印象的だが、当初は「顔が隠れてしまう」と戸惑いもあったのだとか。それでも「私を画像検索したザックが、黒縁メガネをかけた私を気に入ってくれたみたいで。あのメガネは、私とザックで相談しながら決めたんです。お芝居についても、私なりの意見を聞き入れてくれて嬉しかった」と手応えを示す。

バットマンを演じるベン・アフレック、スーパーマン役のヘンリー・カヴィル、そしてレックス・ルーサー役のジェシー・アイゼンバーグと豪華キャストが世紀の対決を盛り上げる。「ある日、現場に置かれたテーブルから何かが落ちそうになって、あの衣装に身を包んだヘンリーがサッと手を差し伸べたんです。その瞬間、真っ赤なマントが翻って『あっ、本物!』って感動しちゃいました。一方、ベンはいい意味で近寄りがたいオーラがあって…。ジェシーは天才肌。毎回、アドリブで攻めてくるので(笑)、息を合わせるのが大変でした」。

本作の公開を前に、アメリカのメディアからも多くの取材を受けたTAOさん。「ちょうどアカデミー賞の前後だったので、多くの記者さんから『今年は人種問題が論点になっているけど、どう思う?』って質問されて、私自身もいろいろと考えさせられた」と明かす。「今回のような超大作に出演できるのはうれしいんですが、やはりファンタジーの世界だから、アジア人の私もフィットしたのかなと。将来的にはリアルな人間ドラマにも挑戦したい」。

そんなアジア人としての葛藤に加えて、一人の女性として、ハリウッドが描く女性像は「まだ男性目線で作り上げられている面がある」とも。「映画作りの現場で女性のクリエーターがもっと活躍できる環境になればいいと思います。バッシングを避けるためだけに、白人以外を起用したり、女性キャラクターを登場させたりするのも『少し違うな』という気がするし、ハリウッド全体で人種やジェンダーについて意識が変わればいいと願っています」。

現在は連続ドラマW「血の轍」、黒木啓司主演の映画『クロスロード』など国内での女優業も経験。「演技は大好き」と声を弾ませ、「以前はガムシャラだったんですが、いまは少しずつ自分らしさで勝負できればという思いが強くなっています。喜怒哀楽の表現にしても、アメリカと日本では全然違う。でも、そこで『私が演じる意味』を意識しながら、日本人らしい表現を追求したいし、それがどの国であろうと評価されたら幸運だなと思います」。

《photo / text:Ryo Uchida》
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