新製品が出揃い、その全容が明らかになった“MONSTER CAR AUDIO”。先週までの当コーナーでは、ブランド設立の背景とコンセプトについてじっくりとリポートしてきた。それに引き続き今週からはいよいよ、新製品のインプレッションを。まずはRCAケーブル編をお届けする。
最初に、製品の概要と特長をご紹介しておこう。細かな仕様やラインナップについては、マイカーライフ2015年1月29日付けの新製品ニュース記事を参照していただきたい。
http://www.mycar-life.com/news/article_454.html
さて、今回新登場したのは、ハイクラス「MCA 450i」シリーズとミドルクラス「MCA 350i」シリーズ、この2シリーズだ。それぞれ、50cmから6mまで、長さ違いで7種類ずつを擁している。一部、税抜価格をご紹介しておこう。1mのタイプが「MCA 450i」シリーズで1万1000円、「MCA 350i」シリーズで7000円、5mのタイプが「MCA 450i」シリーズで1万9000円、「MCA 350i」シリーズで1万1000円(すべて2ch分)だ。
それぞれの特長だが、先週の記事でも触れたが、“MONSTER CAR AUDIO”の製品は、構造(仕組み)にスペシャリティがある。素材ももちろんだが、それ以上に、構造を工夫することで音質性能を得ようとしているのだ。今回の新製品にも当然、それぞれに“MONSTER CAR AUDIO”ならではの特許技術のいくつかが注ぎ込まれている
その中でもっとも注目したいのは、「MCA 450i」シリーズに採用されている“3ウェイタイムコレクト構造”と、「MCA 350i」シリーズに採用されている“2ウェイタイムコレクト構造”だ。
これはどのようなものなのかというと…。
音楽信号は、周波数の高低により、伝播速度が異なる。高い音の信号は早く到達し、低い音の信号は到達するのが遅くなる。同じ1本のRCAケーブル内でもそれは起こる。つまり、プロセッサーから送られた音楽信号がアンプに到達する時点で、位相の乱れが生じてしまう、というわけなのだ。
これに対処しようとするのが、“タイムコレクト構造”だ。
中心に太い銅線の束を通し、その外側に細い銅線の束をツイストさせる。これが“2ウェイタイムコレクト構造”だ。このような構造にしておくと、高い音の電気信号は外側のツイストした銅線を通り、低い音の電気信号は、中心の銅線を通ることになる。電気信号には以下のような2つの特性があるからだ。
「交流電流(オーディオ信号は交流)が導体を流れる際、高い周波数の信号ほど、導体の表面(外周)に集中する(“表皮効果”)」
「太い銅線には低い周波数の信号が流れやすく、細い銅線には高い周波数の信号が流れやすい」
これらの特性を利用して、低い周波数の信号が集中する導体中心部分に、大きな電流容量を高速で流すことのできる太い銅線を配置し、太い銅線の周りに巻きつけた細い銅線の束には、早く到達してしまう高い音の電気信号を送り込むという手法をとっている。
外側の線は太い銅線の周りにツイスト状に巻きつけられている分、全長が長い。ルートが長いので到達するのに遅延がかかる。こうして信号の到達時間のズレがなくなる、というわけだ。
「MCA 450i」シリーズでは、それを“3ウェイ”で行っている。
他にも、“MONSTER CAR AUDIO”ならではの技術が投入されていて、その上で、端子部と先導体の接合部の強化や、分岐している部分を長くして左右chの入力端子が離れているパワーアンプにも使いやすくするなど、取り回し性も向上されている。これらの細かな気配りは、企画にあたった“イース・コーポレーション”のアイデアだ。
というように、技術と気配りが凝縮されている今回の新製品。音のほうはどうなのか…。ここからはいよいよ、インプレッションをお伝えしていこう。
試聴は“イース・コーポレーション”の試聴室で行った。パソコンに取り込んだ無圧縮の音楽データをDACを経由してパワーアンプに送り込む。このDAC〜パワーアンプ間に今回の新製品を組み込んだ。
使ったパワーアンプは、グラウンドゼロのハイグレードモデル『GZPA Reference 2』。スピーカーにはロックフォード・フォズゲートの『T4』を使い、付属のパッシブクロスオーバーネットワークで鳴らした。
使用したパワーケーブルも登場したばかりの“MONSTER CAR AUDIO”の新製品『MCA PF4』、スピーカーケーブルも同じく『MCA 350S12』だ。それぞれトップグレードの製品だ。
まずは、昨年春に発売されていたスタンダードモデル、『MCA 100i』シリーズで音を確認。5mのモデルで3200円(2ch・税抜き)という手頃な価格。“タイムコレクト構造”は採用されていないものの、ノイズリダクション効果を発揮する“LN構造”など、いくつかの“MONSTER CAR AUDIO”ならではの技術が投入された秀作である。
このシステムの音が悪いはずもなく、パワーアンプもスピーカーも、安定の高音質を聴かせてくれていた。しばし、そのグッドサウンドを堪能。
そしていよいよ、『MCA 350i』の試聴へ。RCAケーブルだけを交換し、音を出してみると…。
一聴して感じたのは、各楽器のフォーカスがよりくっきりとしたこと。ステージ上での前後左右の位置関係もよりしっかりと分かるようになった。これには正直、少々驚いた。車内でタイムアライメント調整のデモを聴いた時に感じるような定位感の上昇を、リスニングポジションが一定の試聴室で体験するとは…。
これはまさに、“2ウェイタイムコレクト構造”の恩恵だろう。アコースティックにタイムアライメントがかかり、位相の整合性が上がったのだと推測できる。
その上で情報量も上がっていて、繊細さも増している。さらには、音にコクも加わっている。低域などは深みも増した。
総合力で考えて、コストパフォーマンスが高い。『MCA 350i』シリーズ。なかなかだ。
お次は『MCA 450i』シリーズ。
RCAケーブルを『MCA 350i』シリーズから『MCA 450i』シリーズに換えてみると…。
その音質向上幅は想像以上だった。パワーアンプの性能がフルに引き出されている印象。フォーカスもさらにシャープになっている。しかしそれ以上に、情報量の増加とS/Nの向上を強く感じた。同様のボリューム位置で聴いているのに、音量自体が上がって聴こえる。
音の鮮度も上がり、深みと味わいも増している。余韻成分、倍音成分がより多く出ているからだろう。
低域の質も向上している。太く、低くなり、そして弾力感も増した。
とにかくリアル、そして心地良い。音楽がより生き生きとしていて、訴えかける力もアップしている。
コストパフォーマンスの高さも『MCA 350i』シリーズ以上だ。まさに圧巻のサウンドだった。
“MONSTER CAR AUDIO”の『MCA 350i』シリーズと『MCA 450i』シリーズ。その名に偽りナシだ。期待していい。
次週はスピーカーケーブルのインプレッションをお届けする。お楽しみに。