これまで2回に渡って紹介してきた、注目のジャーマンブランド『GROUND ZERO』。今週と来週の2回は、パワーアンプのインプレッションをお届けする。
その前に『GROUND ZERO』の、日本でデリバリーされるパワーアンプのラインナップをご紹介しておきたい。
3グレードがあり、最上位グレードが「GZPA Reference」、セカンドグレードが「GZUM」、そしてエントリーグレードが「GZRA」。 セカンドグレードの「GZUM」には2chモデルと4chモデルがあり、それぞれ価格が10万5000円。定格出力は、2chモデルが180W×2(4Ω)、4chモデルが110W×4(4Ω)だ。「GZRA」は、120W×2(4Ω)の2chモデルと、70W×4(4Ω)の4chモデル(共に価格は3万6750円)、そして220W×1(4Ω)の1chモデル(価格は4万2000円)の3モデルを擁している。
最上位グレードの「GZPA Reference」には3タイプがある。まずはプリアンプ部に真空管を使用するハイブリッドアンプ「GZPA Reference 2T」。150W×2(4Ω)の2chモデルだ。品番の最後のTは『チューブ』を意味する。サイズは455×236×67.5mm。
これとは別に、真空管を使用していないモデルとして「GZPA Reference 2」および「GZPA Reference 4」があり、それぞれ、420W×2(4Ω)、150W×4(4Ω)、サイズはどちらも590×236×67.5mm。以上の3モデルの価格はすべて31万5000円だ。そしてもう1タイプとして、200W×2(4Ω)の「GZPA Reference 2XS」、120W×4(4Ω)の「GZPA Reference 4XS」がある。品番の最後に『XS』が付くタイプだ。サイズはともに420×236×67.5mm、価格もともに18万9000円だ。
なお、Referenceシリーズのアンプにはすべて、シールドカバー付き大型トロイダルトランスや、ハイエンドオーディオトランジスタ、エルナ社およびムンドルフ社製 MCap®キャパシター、そしてバーブラウン社製のICなど、音質にこだわった高級パーツが惜しみなく投入されている。
今回の試聴では、「GZPA Reference」の中の3タイプからそれぞれ1機種ずつ聴くことができた。最初にハイブリッドタイプである「GZPA Reference 2T」から聴かせていただいた。
試聴に使用したスピーカーは、前回の記事で紹介した「GROUND ZERO・GZPC 165SX」。
最初の一瞬の出音で、このパワーアンプの素性が優れていることを感じ取れた。スピーカー試聴の時に使用した10万円以下のパワーアンプの音とは、明らかに音質が向上していた。価格差から言えば当然の結果ではあるが、その差は価格差以上と言っていいだろう。
情報量が明らかに増えた。ボーカルの倍音が増え声がよりリアルになった。それと同時に余分な響きがなくなった。音が充実し、かつ輪郭がはっきりとしたのだ。他の楽器においても音のキレ、ハリが増し、音像がよりシャープになった。
低域もより重たく、それでいてタイト。深みも増している。音がすっと消える時の静寂感も向上。さすがはハイエンドモデル、という音だ。
真空管を使っているからだろうか、全体的に柔らかみのある音という印象だった。長く聴いていても疲れにくく、ボリュームを上げても心地良いサウンド傾向だと言える。
ちなみにこのモデルには、通常のAB級領域からA級領域付近まで調整可能な、動作バイアス可変機能を搭載している。面白い機能なので試させていただいた。がらっと音質が変わるということではないが、確かにA級らしい暖かみのある音質傾向に変化した。A級方向に振るほどに電流の消費量は増えてしまうわけだが、A級アンプの音に愛着のあるユーザーには見逃しがたいスペシャルな機能と言えそうだ。
次週は、「GZPA Reference」グレードの、他2タイプの製品についてのインプレッションをお贈りする。それらにもそれぞれ見どころがあり、『GROUND ZERO』のパワーアンプの奥深さを実感できた。次週もお見逃しなく!