【ゼロクラウン】Mycar-lifeデモカー企画 #4: タイヤハウスデッドニングを実施 | Push on! Mycar-life

【ゼロクラウン】Mycar-lifeデモカー企画 #4: タイヤハウスデッドニングを実施

バッテリーの交換とアーシングによって、Mycar-life デモカーは電源環境が整い、電気的な質の向上を果たすことができた。

カーオーディオ デモカー製作記
【ゼロクラウン】Mycar-lifeデモカー企画

バッテリーの交換とアーシングによって、Mycar-life デモカーは電源環境が整い、電気的な質の向上を果たすことができた。

そして次のステップとして考えたのが、走行時のサウンドクォリティを維持することだ。カーオーディオの試聴は、ほとんどの場合クルマが静止した状況で行われ、しかもエンジンをかけずに安定化電源を接続しての状況が多い。これはこれで、カーオーディオ自体の音質評価には役立つのだが、通常の使用状況とは異なったものとなってしまう。サウンドクォリティの高いカーオーディオを、走行時にもできるだけそのクォリティを保てる車内環境を作らねばいけないのだ。


QUIET KOTE


制振スプレー QUIET KOTE
オープン価格
取り扱い:エーモン工業
手の届きにくい箇所にも使用できるスプレータイプの制振材。デッドニング後に吹き付けると制振材の効果をさらに向上させることができる。水溶性で使いやすく、乾燥後は無臭となる。

この走行時の車内環境を高める方法としては、床や天井へのデッドニングで車室内の静粛性をあげる方法や、エンジンルームやタイヤハウスのデッドニング、静粛性の高いタイヤを装着するなどによる、車室外ノイズの伝達を低減する方法がある。今回はその中でも比較的ローコストで、走行時のノイズ低減効果の高い、タイヤハウスのデッドニングについて作業と結果を報告しよう。

なぜタイヤハウスのデッドニングを行うかというと、ここで発生したノイズは車室内へダイレクトに侵入しやすいためだ。おおざっぱに言えば、タイヤが路面との摩擦や凸凹による衝撃で発生した振動は、サスペンションを介してタイヤハウスに伝わる。それがタイヤハウスの面で増幅し、それがボディを伝わり車室内でノイズとなる。これを完璧に断つことはクルマの構造上できないが、振動を低減させることで、走行時の車室内の静粛性を向上させることが可能である。

タイヤハウスのデッドニングに関しては、室内と同じようにに簡単に制振材を切って貼るだけ、というわけにはいかない。エンジンルームは電気配線やホース類が、網の目のように走り回っている。タイヤハウスにもブレーキホースがあり、万一振動で制振材が剥がれ、制振材の金属面がホースや配線、タイヤを傷つけたら大きな事故を引き起こしかねない。

そこで活用したいのが、小範囲から大範囲まで使えるスプレー式の制振材だ。この制振材は、ダンプ効果のある材料を溶剤で溶かしてスプレー缶に収めたもので、ターゲットに吹きかけると自然乾燥して制振効果を得ることができるというもの。一度乾燥すると水や油などでは溶けないので、タイヤハウスのように水濡れが激しい場所でも使用が可能だ。制振材を貼りにくい場所や、制振材を貼り付けた上からより制振効果を上げるために吹き付けたり、様々な用途に使うことができるのも特徴といえる。薄い塗りでも効果を得られるが、より強い効果を得るなら、時間をおいて乾燥させて再度吹きつけ作業を行えば、更に効果が高めることができる。

ちなみに、このスプレー式制振材の主な使用用途は、ドアのアウターやフロアの下部などの目につかない、金属の制振材を貼りにくい場所での作業用だ。そのため、さび止め効果も持っていて、ドアデッドニングでも重宝する。

作業時に注意すべき点と手間は多少多いが、比較的ローコストで高い効果を得ることができた。ちなみに今回の作業は、タイヤハウス1カ所に付き、エーモンのQUIET KOTEを1本使用し、車1台で4本使用している。これで約1万5000円+工賃となる。この手のスプレー式制振材は、ビートソニックやカスケードなどからも販売されている。


(サムネールはクリックで拡大。拡大後は写真右側クリックで進む:左側クリックで戻る)


ジャッキアップしてウマをかませてクルマを完全に固定した状態で作業を行う
タイヤハウスのカバーを外し、塗布面の汚れを高圧洗浄機やパーツクリーナーでキレイにする。完全に乾燥するまで塗布はできない


作業の手順


  1. クルマを安全な場所でジャッキアップ

  2. ウマでクルマを完全に固定する

  3. タイヤやタイヤハウスカバーなどを外す

  4. 塗布面の汚れを落とし、塗布してはまずいところにマスキング

  5. スプレー缶を良く振り、中味を攪拌しておく(冬場は40度以下のゆるま湯で缶を温めておく)

  6. 薄く塗る

  7. 乾燥させ重ね塗り(3度塗りくらいで十分な効果を得られる)

  8. 乾燥後マスキングを剥がして、カバーやタイヤを装着


作業の手順では、作業場の安全性を確保することと、塗布面のクリーニング、スプレーする際に余計な場所にかからないようマスキングをしっかり行うということが重要だ。拭きかける面に、油や泥が付いていたら乾燥後に泥と一緒に落ちてきてしまう可能性もあるので、塗布面のクリーニングは必ず行わなければいけない。

スプレー式の怖いところは、自分が思っていない場所にかかってしまうことだ。ブレーキローターやキャリパー、サスペンションなどの可動部は、制振材を吹き付けたら危険を招きかねない。新聞紙でいいからマスキングを行って、それから作業を行わなければいけない。また、乾燥には多少時間がかかるので、できるだけ天気がよく気温の高いときに行った方がいい。作業全体ではそれなりの時間がかかることので、作業は時間のあるときに行うべきだ。


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スプレーがかかったらまずいボディ表面や可動部、ホース類、ナットなどはマスキングをしてから塗布を行う
スプレーを噴射するときは、ボディにかからないように、段ボールなどでガードしながら作業を行う方がいい
制振材を塗布した部分は黒色になり叩くと音が明らかににぶめの音になる。タイヤハウスカバーが樹脂のクルマは、ボディ側面を塗布しておくことで、より静粛性を高められる

グラフは、同じ場所と交通量、天気など、できるだけ環境を揃えて作業前後のノイズレベルを測定したものだ。作業前と後では、走行時のノイズレベルではっきりとした差が生まれている。特に中低域のゴーという音が低減され、音楽がより聴きやすくなっている。Mycar-lifeデモカーは静粛性の高いクラウンを使用しているが、さらに静粛性が高まり、細かい音もより明確に聴けるようになった。タイヤハウスに水を巻き上げる雨の日なら、より騒音の違いが明確だ。また走行時の静粛性があまり良くないクルマの場合は、さらにノイズ低減を実感できる。ドアや床、天井のデッドニングと組み合わせると、より大きな効果を得ることができ、別のクルマに乗っているような静粛性を手に入れることができるだろう。


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制振スプレーによる作業前後の参考グラフ。1は作業前で、2が作業後。もともと静かなクルマなので、さほど大きな変化というわけではないが、騒音レベルも下がり中低音のノイズが低減されていることが分かる(データ測定日の天候は晴れ。同じ区間を同じ定速度で走行時に計測)#1
制振スプレーによる作業前後の参考グラフ。1は作業前で、2が作業後。もともと静かなクルマなので、さほど大きな変化というわけではないが、騒音レベルも下がり中低音のノイズが低減されていることが分かる(データ測定日の天候は晴れ。同じ区間を同じ定速度で走行時に計測)#2

《藤澤純一》

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