【ゼロクラウン】Mycar-lifeデモカー企画 #1: トゥイーターの音質 | Push on! Mycar-life

【ゼロクラウン】Mycar-lifeデモカー企画 #1: トゥイーターの音質

先月に車室内音響調整の要となるオーディソン Bit Oneを導入して高精細な音響調整を施した。

カーオーディオ デモカー製作記
【ゼロクラウン】Mycar-lifeデモカー企画

先月に車室内音響調整の要となるオーディソン Bit Oneを導入して高精細な音響調整を施した。

それによって飛躍的に音質は上がったのだが、それと同時に音質のアラが出てきたことも否定できない。そのアラとはトゥイーターの音質だ。たしかに調整によって音の繋がりやステージングは向上したがトゥイーターから出る音のクリアさが足りないと感じてしまったのである。さて、どうしたものかと思い原因・改善策を考えるため当サイト評論家の井上先生に相談をしてみた。


トゥイーター対策前

先生曰くガラスやダッシュボードの反射によってクリアさが欠けるのでは? と言われ改めてデモカーのトゥイーター部分を見てみると確かにトゥイーターはやや下向きにインストールされていて見るからにダッシュボードの弊害を受けていそうだ。そこでMycar-lifeデモカーの製作をお願いしている東京車楽 木村氏にお願いをしてトゥイーターをAピラーに弊害を克服するインストールをお願いした。Mycar-life編集部から出したお願いは2つ。一つは音のクリアさを求めているので、とにかく出来るだけ条件のいい状態でインストールすること。二つ目はAピラーを加工してトゥイーターをインストールする時に見切りが悪くならないことをお願いした。


トゥイーター対策中

まず最初はAピラーにトゥイーターを取り付ける角度を決める。車室内の条件でこの角度は大きく変わるそうでプロショップの知識と経験がこういう所にも現れるが、この作業にかなりの時間を要した。高音質だけを追い求めれば大胆に加工することも出来るが、編集部が要望した見切りが悪くならないという条件を合わせるとミリ単位の調整となる。そういった難問をクリアーして位置や角度が決定された。


Aピラーのトゥイーター取り付け角度の見直し

Aピラーにトゥイーターをマウントするため加工が始まった。マウントする部分の他に音の広がりを良くするため半ドームのスラントを付けて音の放射性を良くし、ガラスの反射を少なくするための加工だそうだ。パテを盛っては削り盛っては削りを繰り返してやっと完成系の原型が見えてきた。再度角度を確認するためにデモカーへAピラーを取り付けてみる。最初に決めた角度と寸分の狂いもなくインストールされて、見た目的にも格好良くなってきたのは嬉しい。


Aピラーの加工

強度を増すためにパテを更に盛っては削りの繰り返し。削るのも非常に繊細で傷一つ付いていると生地を貼ったときに線が出てしまうそうだ。そうならない為に整形しながらツルツルに仕上げていく。ラウンドしている部分も左右対称になるように両側のAピラーを順番に作業していき整えていた。


トゥイーター取り付け角度変更

貼った生地はジャージネットと呼ばれる素材。音が反射することがなく音質的に有利だと説明してくれた。綺麗に完成したAピラーを眺めていると『いかにもカーオーディオ』と感じる出来映えに満足! こうやって加工されると全く気にならなかったAピラーが格好いい部分に変わる。それもカーオーディオの楽しみの一つだと感じられた。満足感に浸りながら試聴をしてみると予想以上の変わり様で驚いた。若干霧がかっていた音がスッキリとクリアに再生されている。今まで若干突っかかり感のあった高音部分も突き抜けるように再生されている。取り付け方法や角度でこれだけ変わるのかと、そしてプロショップの技術の高さを改めて思い知らされた。

この激変したデモカーを聞いてもらうために編集部から100キロ離れている評論家 井上先生のご自宅へクルマを走らせた。当然気分は爽快♪ いつまででも聞いていたくなるサウンドで楽しく運転できたのは言うまでもない。


評論家 井上千岳氏 デモカー評論

ヘッドユニットとスピーカー、続いてアンプ、さらに待望のプロセッサーが入って、ひととおりのシステム構成が整ったデモカーだが、ひとつだけ気になっていることがあった。それはトゥイーターの取り付けで、その向きや位置の関係から、フロントガラスとダッシュボードの反射に影響されていることが、音の点からも明らかだったからだ。その懸案が解決された。あらためてトゥイーターと取り付け直し、角度と場所をちょうどいいところに調整したのである。

スピーカーは、とりあえず付けてしまえば後はイコライザーでなんとでもなる、と思っているユーザーが多いのかもしれない。しかしそれは考え違いで、イコライザーでいくら平らにしたところで、反射など物理的な影響は着いて回る。レスポンスが平らになっても位相までは変えられないし、反射音自体は依然として残っているからだ。これではスピーカーの特性が悪くなったのと同じことで、特性の悪いユニットをいくらイコライザーで処理しても音はよくならない。

そういうわけで最後まで気になっていたところだが、取り付け直したおかげで大幅に改善された。いままでは高域の端の方がつっかえたように詰まった感触だったが、それがなくなって天井が抜けた印象だ。当然伸びやかだし、それに伴って低域の解像度も上がって明快になった。上が伸びると下もよくなる。スピーカーというのは不思議なものだ。

アカペラは声の透明度が増して余韻も澄んでいる。ハーモニーが楽に重なっている感触だ。バイオリンはもっとよくなって、弦の質感がすーっと上の方までつながって気持ちがいい。ピアノのタッチもかぶった感じがなく、和音が自然なバランスで聴こえる。

ボーカルは、以前はちょっと鼻にかかった声に感じられたのが、もっと抜けがよくなったようだ。オーケストラは低音がこもらず、腰が落ちて手触りが厚い。スピーカー本来の性能が発揮されてきたように思うのである。

これならさらに行けそうだという気がする。特性がよくなったことを受けて、設定と調整をもっと詰めてゆくことができるだろう。楽しみはまだ続きそうである。

《藤澤純一》

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