添加物の表示は表示基準が設けられている事項もあるが、食品添加物や「無添加」という表示が本来何を指すのか、気になる保護者も多いのではないだろうか。アレルギーに関する情報サービス「クミタス」を運営するウィルモアの石川麻由社長に、添加物表示を確認する際に知っておきたいことについて聞いた。
無添加の定義
「無添加」という表示を見かけることがあるかと思いますが、「無添加」は、何も添加していないから無添加である、という基準が明確に設けられているわけではありません。
添加物としては、甘味料、着色料、香料、保存料、酸化防止剤などがありますが、添加物のうち1つでも使用していなければ、「無添加」と表示することが可能です。着色料や保存料を使用していても、香料不使用で「無添加」と表示でき、香料を使用しているのに原材料に表記しない場合は、JAS法違反となります。
つまり、A社のふりかけは、着色料を使用していないので「無添加」、B社のふりかけは香料、保存料を使用していないので「無添加」、C社のふりかけは添加物を一切使用していないので「無添加」と、「無添加」と表示する商品の基準はさまざまといったことが起こり得ます。
そのため「無添加」と書かれている商品においても、添加物がまったく使用されていないとは限りませんので、添加物情報を確認したい場合は、どの添加物が使用されておらず、何が使用されているのか、一緒に原材料表示も確認することが望ましいでしょう。
食品添加物の表記変更について
商品パッケージをご覧になった際、原材料名欄に「/」が表記されているのにお気づきになった方もいるのではないでしょうか。2015年4月1日の食品表示法施行により、原材料名欄において添加物を分けて表示することが義務付けられることになりました。5年内に順次対応されていきますが、使用している添加物がまとまって表示されるようになることで、添加物の確認がしやすくはなります。
◆特定原材料等由来の食品添加物のアレルギー表示について
添加物の中でも、特定原材料7品目(卵、乳、小麦、そば、落花生、えび、かに)に由来するものについては、原則として、その添加物の物質名と、その直後に(○○由来)と由来する旨を表示するか、添加物欄の最後に「一部に○○を含みます」と表示することになっています。
ただ、特定原材料に由来する添加物であっても、抗原性試験などにより抗原性が認められないと判断できる場合は、表示義務ではなくなります。
特定原材料に由来する香料については、表示義務対象でなく、特定原材料を原材料とするアルコール類に反応があった場合でも、アレルギー反応であるかアルコールの作用によるものかの判断が難しく、現時点では特定原材料を含む旨の表示は義務になってはいません。表示基準において今後変更する可能性もありますが、微量に反応する方は、原材料名欄の添加物表示も確認のうえ、商品を選択できるようにしましょう。
食品表示基準については、消費者庁が公開している「食品表示企画」で食品表示や安全・衛生に関する表示の制度についてなどを閲覧可能です。
アレルギー反応を示す可能性のある食品添加物
甘味料にアレルギー症状を示した報告例や、着色料の中には喘息などのアレルギー症状やアトピー症状誘発の懸念があるとされているものもあります。コチニール色素中でアレルゲンとなるたんぱく質は同定されているとも言われていますが、研究や調査が今後も実施されることで人体におよぼす影響やそのメカニズムもさらに解明されていくかもしれません。
現時点でアレルギー表示対象となっていない食品や食品添加物にアレルギー反応を示す可能性はありますので、もし、食品添加物を含む食品を摂取した後で体調不良をきたす場合は、後から原因を振り返りやすくするためにも摂取した食事内容を記録しておけると良いでしょう。