【プロショップ直伝!】フロントスピーカー攻略法! Part.1「初めてのスピーカーの選び方」 | Push on! Mycar-life

【プロショップ直伝!】フロントスピーカー攻略法! Part.1「初めてのスピーカーの選び方」

クルマの中で良い音を楽しもうと思ったとき、キーとなるのは「フロントスピーカー」だ。何を選び、どのように取り付け、どのようにコントロールするか、それらによって、得られる結果が変わってくる。そのすべてについて、毎回テーマを絞り、1つ1つ解説していこうと思う。

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クルマの中で良い音を楽しもうと思ったとき、キーとなるのは「フロントスピーカー」だ。何を選び、どのように取り付け、どのようにコントロールするか、それらによって、得られる結果が変わってくる。そのすべてについて、毎回テーマを絞り、1つ1つ解説していこうと思う。

まず今回はビギナーに向けて、「初めてのスピーカーの選び方」をテーマにお贈りする。講師を務めてくれたのは、愛知県の実力店、“マイスター安城店”代表の佐藤さんだ。氏に、エントリーモデルの選び方のポイントを、具体的に詳しく教えていただいた。

■3万円台のモデルからが、特におすすめ。

最初に、選ぶべき価格帯からお聞きした。

佐藤「市販スピーカーは1万円台からあり、そのクラスのモデルでも、純正スピーカーと比べて良い音で音楽が楽しめるようになるはずです。ですが、お客様におすすめしているのは、3万円台のスピーカーからですね。1万5000円のモデルと3万円のモデルでは、“倍”の価格差があるわけですが、“倍”も違うと性能差もそれなりに出てきます。

音楽信号をトゥイーター用とミッドウーファー用に帯域分割するパーツである、付属の“パッシブクロスオーバーネットワーク”1つを取っても、大きな違いが出てきます。1万5000円のモデルに付属しているものでは、トゥイーターのローカットしか行えない場合が多いのですが、3万円のスピーカーでは、トゥイーターのローカットとミッドウーファーのハイカットの両方が行えるようになります。

2ウェイスピーカーは、トゥイーターとミッドウーファーに役割分担をさせることで高音質を狙うわけですが、ミッドウーファーにハイカットをかけないのでは、そのメリットが薄れてしまいます。しかしながら1万円台のスピーカーでは、そこまで手が回らない場合が多いんです」

■取り付け工程にもある程度の予算をかけ、スピーカーの性能を引き出すべし。

次には、取り付け工賃について聞いてみた。どのくらいをみておくといいのだろうか。

佐藤「カーオーディオのスピーカーは、ユニットが単体で販売されていて、それだけではまだ半完成品なんですね。クルマに取り付けて初めてスピーカーとして完成します。ただし、ただ取り付けただけでは製品の性能を十分に引き出せません。“スピーカーを作る”という作業が必要になるんです。

どの程度手をかけるかは、予算や考え方によって変わってきますが、当店としては、“インナーバッフルの装着”、スピーカー回りの“制振”、スピーカーの裏側にかかる“背圧の処理”、以上の作業を基本メニューとしておすすめしています。これらを行った場合の金額的な目安は、材料代も含めて3万円くらいですね。

“インナーバッフル”とは取り付けスペーサー的なパーツであり、スピーカーの足場を固める等、音響パーツ的な役割りも果たすのですが、スピーカーを“立ち上げる”という役目も負ってくれます。立ち上げることで窓ガラスに当たらなくなりますし、内張りパネル面との距離を縮めることもできます。スピーカーと内張りパネル面までの距離はできるだけ短いほうが、音がダイレクトに車内に入ってくるので、音質的に有利なんですね。

せっかくスピーカーを交換するのなら、そのスピーカーの性能を引き出すためにも、ある程度は手を掛けたいですね。そうしないともったいないですから」

■気にするべきはスペックよりも、“音色の傾向”。

続いては、選び方のコツを教えていただいた。

佐藤「店頭のデモボードで実際に音を聴いて、好みの音がする製品を選んでいただきたいですね。皆さま、音色の傾向で好みを見つけられています。例えば、“柔らかい音が好き”とか、“シャープなサウンド良い”とか。そういったところで判断されると良いと思います。

スペックは、ほとんど気にする必要はないですね。例えば、“再生周波数帯域”というスペックがありますが、仮に20Hzから再生可能だとうたわれていても、その20Hzの音がどのようなクオリティの音なのかまでは読み取れません。それに、スペックどおりの性能を引き出せるかどうかは取り付け方によっても変わってきます。スペックよりも、手間のかけ方のほうが音への影響が大きいですし、とにかく、音の傾向が好みに合うかどうか、そこが大切だと思うんです。

ちなみに、振動板の材質によっても音の傾向が変わってきます。また、パワフルに鳴らしたいのならアメリカ製、しっとりと鳴らしたいのならヨーロッパ製や日本製、という傾向も少なからずあります。とはいいつつも、製品ごとで特長の出方も変わりますから、これらについてもあらかじめ決めつけないほうがいいかもしれません。ぱっと聴いた印象のほうを大事にされたほうがいいと思います」

■“6万円台”ともなると、満足度がさらに上昇する…。

最後に、以下のようなアドバイスもいただいた。

佐藤「先ほど、1万円台のスピーカーよりも、3万円台のスピーカーをおすすめしたい、と言いいましたが、本音を言えば、おすすめしたいのはむしろ6万円台のスピーカーです。このクラスともなると、性能的に一定のレベルを超えてきます。特に解像度がぐっと上がるんですね。解像度が高いと、余韻の出方が変わります。音の消え際が美しくなるんですよ。

実際、3万円台のスピーカーを買われた方の多くは、次のステップアップとしてもスピーカー交換を選択されますが、6万円台のスピーカーを選ばれた方は、次はパワーアンプやサブウーファーの取り付けを検討されます。つまり6万円台のスピーカーは、長く使っていけるんです。それだけ満足度が高い、ということなんですね」

さて、佐藤さんにお聞きした、「初めてのスピーカーの選び方」は以上だ。初心者の方は、大いにご参考にしていただきたい。

次回は、中級ユーザーに向けた「スピーカーの選び方」をご紹介する予定だ。そろそろ中級以上のスピーカーに換えてみたいと思っている貴方。お読みの逃しなきように。

《太田祥三》

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