“スーパーハイエンド”と呼ばれる究極のカーオーディオコンポ—ネントを擁するカーオーディオブランドがいくつかあるが、その中でも“オーディオ ウェーブ”は特別な存在だ。フラッグシップ『CR』シリーズパワーアンプのドライブ能力の高さ、限りなく生音に近い、そのサウンドクオリティは、一流ブランドのハイエンドアンプと比べてみても別格だからだ。そんなスペシャルブランドから、新たなパワーアンプシリーズが登場した。その名は『アスパイア・プロ』シリーズ。フラッグシップ『CR』シリーズと比べて、相当にプライスダウンが図られているというこのニューモデル群。その実力は、果たして…。
最初に、“オーディオ ウェーブ”について簡単におさらいしておこう。
“オーディオ ウェーブ”とは、イギリス発のハイエンド・カーオーディオブランドである。現在日本で発売されているモデルは、以下の3機種。『CR-200 JDM』(1chパワーアンプ 税抜価格:120万円)、『CR-200X JDM』(1chパワーアンプ 税抜価格:140万円)、『CR-400 JDM』(2chパワーアンプ 税抜価格:220万円)、以上だ。
これらのモデルはすべて受注生産品となっていて、オーダーが受け付けられると、“オーディオ ウェーブ”の創設者であるグラント・ヘイナン氏によって、ハンドメイドで約6週間かけて組み上げられる。
とにかく価格が超ド級だ。フロント2ウェイをパッシブで鳴らしたとしても、最低240万円が必要となる。フロント3ウェイ+サブウーファーをマルチアンプで、と考えた、120万円×7台…。
だが音を聴けば、誰もがその価格を納得するはずだ。次元が違う。生々しさ、S/Nの高さ、そして音楽の迫力等々、すべてのファクターにおいて他とは一線を画している。『CR』シリーズは、価格、性能とも、正真正銘のスーパーアンプと言っていい。
そして、この『アスパイア・プロ』シリーズ。これはズバリ、雲の上の存在だった“オーディオ ウェーブ”を、手を伸ばせば届きそうなところまで近づけてくれる新シリーズ、である。
当シリーズもすべて受注生産品だ。ラインナップは以下の5機種。
『Aspire Pro』(2ch Class-A/B パワーアンプ)
定格出力(4Ω):195Wx2
税抜価格:60万円
『Aspire Pro M/B』(1ch Class-A/B パワーアンプ)
定格出力(4Ω):270Wx1
税抜価格:55万円
『Aspire Pro D/M』(2ch Class-A/B パワーアンプ)
定格出力(4Ω):270Wx2
税抜価格:100万円
『Aspire Pro DST』(4ch Class-A/B パワーアンプ)
定格出力(4Ω):195Wx4
税抜価格:110万円
『Aspire Pro CA』(2ch Class-A パワーアンプ)
定格出力(4Ω):20Wx2
税抜価格:72万円
※さらに詳しいスペックは、イース・コーポレーションから発表されたニュースリリースを要参照。
http://www.escorp.jp/news/product-news/201510130
5モデルあるが、実質、タイプは3つに分かれる。
まずはA/B級の2chアンプである『Aspire Pro』の系統。これと同系統となるのが『Aspire Pro DST』だ。これは『Aspire Pro』が2台連結されているモデル。“DST”とは“デュアル・ステレオ”を意味していて、つまりは“2台のステレオアンプ”というわけだ。4chアンプではあるが、2chずつで回路は別。ちなみに、『Aspire Pro』を2台購入するよりも価格的にお得だ。
2つ目が『Aspire Pro M/B』の系統。“M/B”とは“モノ・ブロック”を意味している。そして当モデルと同系統となるのが『Aspire Pro D/M』。こちらのモデル名にある“D/M”とは、“デュアル・モノブロック”。つまり、『Aspire Pro M/B』が2台連結されているのである。
そうしてもう1つが、シリーズ中唯一のA級アンプ『Aspire Pro CA』。これは最近のカーオーディオでは珍しい、純粋なA級アンプ。いろいろな意味で特別なモデルなので、どのように特別かは、当連載の後半で改めて解説する。
さてこの『Aspire Pro』シリーズ。『CR』シリーズに対して相当にプライスダウンが図られているのだが、どのくらのレベルなのかを明確にしておこう。『CR-200 JDM』と『Aspire Pro』で1chあたりの価格を比べてみると、前者は120万円、後者は25万円。前者は後者の、実に4.8倍。冷静に考えて後者の価格も十分にハイエンドの範疇なのだが、“オーディオ ウェーブ”的に考えれば、驚くべきほどにリーズナブルだ。
となると、ますます音が気になる。ここまで価格が下げられた中、どこまで『CR』シリーズの音質性能を譲り受けることができているのか…。ここが最大の注目点だ。
そこを明らかにすべく、試聴テストを敢行した。その詳細は、当連載の3回目から詳しくリポートする。そこまで結論を引っ張るのも申し訳ないので、これだけは先にお伝えしておこう。
「その音は、期待を裏切らなかった」と。
さて次週は、“オーディオ ウェーブ”の創設者であるグラント・ヘイナン氏への特別インタビューが叶ったので、まずはそちらからご紹介する。“オーディオ ウェーブ”の音の良さの秘密から、『アスパイア・プロ』シリーズの開発コンセプト、そしてその性能に対する自信のほどまでを詳細に語っていただいた。次週もお読み逃しなく。