“MONSTER CAR AUDIO”が本格始動! 背景とコンセプト そしてその“実力”に迫る!! #4 | Push on! Mycar-life

“MONSTER CAR AUDIO”が本格始動! 背景とコンセプト そしてその“実力”に迫る!! #4

注目の新ブランド“MONSTER CAR AUDIO”について、その設立の背景、コンセプト、そして製品インプレッションをお届けしている当企画。最終回となる今回は、スピーカーケーブルをピックアップ。構造的な注目点と音質性能について、詳細にリポートする。

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“MONSTER CAR AUDIO”が本格始動! 背景とコンセプト そしてその“実力”に迫る!!


注目の新ブランド“MONSTER CAR AUDIO”について、その設立の背景、コンセプト、そして製品インプレッションをお届けしている当企画。最終回となる今回は、スピーカーケーブルをピックアップ。構造的な注目点と音質性能について、詳細にリポートする。

まずは、概要をご紹介しておこう。今回取材した製品は2シリーズ。セカンドグレードとなる『MCA 250S』シリーズと、トップグレードである『MCA 350S』シリーズの2つだ。

それぞれのラインナップは以下の通り。『MCA 250S』シリーズは「MCA 250S」(税別価格:600円/1mにつき)の1タイプのみで、『MCA 350S』シリーズは、導体の太さ違いで3タイプが用意されている。「MCA 350S12」(税別価格:1500円/1mにつき)、「MCA 350S14」(税別価格:1000円/1mにつき)、「MCA 350S16」(税別価格:800円/1mにつき)、という構成だ。

それぞれリーズナブルな価格設定だが、“MONSTER CAR AUDIO”ならではのスペシャル技術がぎゅっと凝縮した秀作だ。

特長をざっと挙げていこう。まずはMONSTER独自の特許技術“タイムコレクト構造”。これは前回の記事でも取り上げた、電気信号の伝達特性から起こる位相の乱れ(“表皮効果”)を構造によって補整しようとする技術だ。スピーカーケーブルにも、それが投入されている。

位相コントロールのためにさらに、“絶縁体マグネティックフラックスチューブ”も投入。導体の中心部は磁界の密度が高くなるために電気が流れにくくなるが、そこに絶縁体を通すことで、流れの悪い道を通行止めにしてしまおうというものだ。つまり、流れのスムーズなところだけを使って電気信号を伝達することで、位相時間のズレを最小にするという技術なのである。

さらには、耐振動対策(電気が通ることで発生する自己振動の抑制)や、伝達ロスを改善するための“リニアポリエチレン絶縁体”の採用等、音への配慮、コダワリが満載だ。

ところで前回RCAケーブルを解説した時に、カーオーディオにおけるケーブル選びの中で重要視しなければならない“耐ノイズ性”について触れていなかったので補足しておきたい。“耐ノイズ性”にも相当に工夫が凝らされていることも、“MONSTER CAR AUDIO”のRCAケーブルの大きな特長なのだ。

なぜに“MONSTER CAR AUDIO”がノイズ対策を徹底しているかと言うと…。

クルマの中にはさまざまな電装品が装備されていて、電子機器本体をはじめ各所からいろいろなノイズが放射されている。RCAケーブルには微弱な信号が流されるので、そもそもそれらの影響を受けやすい。いくら高級なアンプを使っても、信号自体がノイズの影響でダメージを負ってしまってはすべてが台無しだ。

その対策のための技術として”XLN(エクストラローノイズ)構造”が投入されている。これは“耐ノイズ性”のための複合的な技術。特許技術を複数盛り込んで、ノイズ対策が徹底されている。

“MONSTER CAR AUDIO”のRCAケーブルは“ノイズに強い”ということもお忘れなく。

さて、試聴インプレッションに入ろう。

試聴システムは前回同様、パソコン→DAC→パワーアンプ(グラウンドゼロ『GZPA Reference 2』)→スピーカー(ロックフォード・フォズゲート『T4』)という構成。

パワーケーブルも“MONSTER CAR AUDIO”の新製品『MCA PF4』、RCAケーブルはトップグレードの『MCA 450i』シリーズを使用した。

まずは「MCA 250S」から。


MCA 250S

MCA 250S


なのだが、その前にRCAケーブルの試聴をしていたわけで、その時のスピーカーケーブルは、上級グレードの「MCA 350S12」固定で聴いていた。そこからスピーカーケーブルをグレードダウンさせての試聴である。

これは当製品を評価する上では酷な状況だ。価格差は、m単位で前者が1500円、後者が600円。3倍近くの差がある…。

しかし流れて来た音は…。

十二分にハイエンドの音だった。確かに、音のコク、深み、楽器の質感は「MCA 350S12」と比べたら少々劣る。しかし、音のエネルギー感はなかなかだ。

高域も十分に繊細だ。低域の太さ、弾力感も適切。パワーアンプの性能は十二分に満喫できているし、スピーカーもしっかりと鳴らし切っている。基本的な部分に物足りなさを感じることはなかった。

これはこれで、音楽を楽しく聴かせてくれている。コストパフォーマンスの高さを感じた。

そしてもう一度、改めて「MCA 350S12」に戻してみた。



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MCA 350S12

MCA 350S14

MCA 350S16

やはり、音の深みが増し、音場の幅や奥行きに拡がりが感じられた。「MCA 250S」では、音楽が多少ドライな方向にシフトしていたが、「MCA 350S12」ではサウンドが濃密になる。各帯域ごと、音の伸びも増している印象だ。ハギレの良さも1ランク向上している。ケーブルを伝わる時の位相ズレがさらに減少しているからだろう。フォーカスがより向上したことにより、リズム感もシャープになった印象だ。

総合的に考えて、音楽の味わい、生命力、感動力が上がった印象だ。ソフトの魅力をもう1段上げる力が、「MCA 350S」シリーズにはあるように思う。

ところで、『MCA 350S』シリーズは、太さ違いで3タイプが用意されているのだが、それには以下のような意味があるとのことだ。

「スピーカーユニットによってケーブルの太さを換えてみる、という楽しみ方も提案したいと考えています。同じグレードのスピーカーケーブルであっても、導体の太さが変われば信号伝達の状況にも変化が生じます。それによりサウンドの傾向も変わってくるので、システムに応じて使い分けしたり、ケーブルによるサウンドチューニングを試してみたりと…。そこまでも楽しんでしまおうという発想です」とは、“イース・コーポレーション”のMonster Car Audio 国内事業部・関口周二氏の弁だ。

というわけで、太さ違いのそれぞれについても試聴させていただいた。

それまで聴いていたのは、もっとも太い12ゲージサイズの「MCA 350S12」だったのだが、それをもっとも細い16ゲージサイズの「MCA 350S16」へ交換。

高域のハギレの良さ、艶、伸びが増した印象だ。それに対して「MCA 350S12」では低域がより太くなり、重心がぐっと低くなる。

なるほど、太くなるほど低域向き、細くなるほど高域向き、ということなのか。好みではあるけれど、マルチアンプ接続の場合は特に、「良さを伸ばす」という観点で、ツイーター用に細いケーブルを、ミッドフーファー、サブウーファーには太いケーブルを、という使い方をするのも面白そうだ。

さて、“MONSTER CAR AUDIO”の新製品の試聴を終え、このブランドの魅力・実力をはっきりと知ることができた。「技術によって製品の質を上げていこうとするブランド」であるところが、まずはポイントだ。そして、ミドルグレードの製品の質を上げようとしてきたことも、注目点。手頃な価格で、価格以上の音が聴けるケーブルをお探しなら、このブランドの製品は試してみたほうがいい。

ちなみに、今後はディストリビューションブロック等々のショートパーツ類でも新製品を登場させる予定とのことだ。さらには、さらなるハイグレードモデルの投入もあるかもしれない。

2015年は、“MONSTER CAR AUDIO”の動きから、目が離せない。

《太田祥三》
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