今さら訊けない“カーオーディオ”の素朴な疑問 Part6「サブウーファー編」その4「サブウーファーが単体で売られているのはなぜ?」 | Push on! Mycar-life

今さら訊けない“カーオーディオ”の素朴な疑問 Part6「サブウーファー編」その4「サブウーファーが単体で売られているのはなぜ?」

カーオーディオに興味を持ちつつも“分かりづらさ”が壁となりこれになじめなかった…、そんな方々に向けて、疑問を解消していただくための解説を展開している当特集。今回は、「ユニットサブウーファー」が単体で売られているその理由を説明していく。

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ユニットサブウーファーの一例(フォーカル・E 30 KX)。
  • ユニットサブウーファーの一例(フォーカル・E 30 KX)。
  • ユニットサブウーファーの一例(ダイヤトーン・SW-G50)。
  • ユニットサブウーファーの一例(カロッツェリア・TS-W1000RS)。

カーオーディオに興味を持ちつつも“分かりづらさ”が壁となりこれになじめなかった…、そんな方々に向けて、疑問を解消していただくための解説を展開している当特集。今回は、「ユニットサブウーファー」が単体で売られているその理由を説明していく。

ホーム用のスピーカーは、スピーカーがボックスに装着された状態で売られているのに…。

前回は「パワードサブウーファー」について解説した。なおこれは、サブウーファーユニットとボックスとパワーアンプとが一体化した製品だ。ゆえに導入のハードルが高くない。

対して、より重厚で本格的な低音が欲しいとなったら、単体で売られている「ユニットサブウーファー」がアドバンテージを発揮する。ただし、これを用いる際にはボックスを自前で用意する必要性が生じる。さて、はじめからボックスに装着されていないのはなぜなのか。ホーム用のスピーカーは、ボックスにスピーカーが取り付けられた状態で売られているのに…。

ちなみに言うと、「ユニットサブウーファー」がボックスに組み付けられた状態で完成品となっているものも、実はある。そのようなタイプの製品を選べば、製作する手間も時間もコストも省ける。しかも、ボックスも「ユニットサブウーファー」を作ったメーカーが設計しているわけなので、その性能を引き出せる仕様になっているはずだ。なので、これが選ばれるケースも少なくはない。

しかし、主流はやはり「ユニットサブウーファー」だ。製品の数もこちらの方が圧倒的に多く、そしてチョイスされる頻度も高い。ボックスを用意しなくてはならないにもかかわらず…。

それはひとえに、「ボックスを自前で用意した方がもろもろの都合が良いから」だ。ポイント主には2点ある。1つは「設置の都合に合わせて最適なボックスを作れること」で、もう1つは「音にこだわれること」だ。

ユニットサブウーファーの一例(ダイヤトーン・SW-G50)。ユニットサブウーファーの一例(ダイヤトーン・SW-G50)。

ワンオフするのであれば、設置の都合に合わせて最適な大きさと形を模索できる!

2つのポイントについて、それぞれを詳しく説明していこう。まずは「設置の都合に合わせて最適なボックスを作れること」について。

というのも、サブウーファーボックスはどうしてもそこそこの大きさになるので、それをどう設置するのかも悩みどころとなってくる。

トランクに載せられることもあれば、積載スペースをつぶさないようにトランクフロアに埋め込まれることもある。車格の大きなクルマだったらセンターコンソールの後方あたりに固定されたりもする。車種ごとの状況と各人の好みと都合によって、設置の場所とやり方が変わってくる。ワンオフするのであれば、それらに応じて使いやすい(積みやすい)サイズと形で仕上げられる。

そしてワンオフするのであれば、音にもこだわれる。なぜなら、設計の仕方によって得られるサウンドが変わってくるからだ。つまり、しっかりと設計すれば狙いどおりのサウンドを奏でられるボックスを作れる。まず、大きさによって鳴り方が変わってくる。使用する「ユニットサブウーファー」のタイプによっても変化があるが、一般的には小さめに仕上げるとタイトな鳴り方となる傾向が強くなり、大きめに作るとゆったりとした低音が得られる可能性が高くなる。

また、構造によっても鳴り方を変えられる。ちなみにカーオーディオでは、構造的には以下の2つのうちのどちらかが選択されることが多い。1つは「シールドボックス」で、もう1つは「バスレフボックス」だ。

まず「シールドボックス」とは「密閉型」とも呼ばれている。つまり、ボックスの中の空気が外に漏れないような構造となっている。特長は主には2つある。1つは「比較的に小さく仕上げられること」、そしてもう1つは「タイトでレスポンスの良い低音が鳴らしやすいこと」だ。大きさを工夫することでも鳴り方を変えられるので一概には言えないが、音的にはこのような傾向があると言われることが多い。

ユニットサブウーファーの一例(カロッツェリア・TS-W1000RS)。ユニットサブウーファーの一例(カロッツェリア・TS-W1000RS)。

サブウーファーの裏側から発せられる音を積極的に活用しようとするのが「バスレフボックス」!

対して「バスレフボックス」は、「位相反転型」とも呼ばれている。前回説明したとおり、スピーカーは裏側からも音を発する。そしてその音は表側の音とは波形的に真逆の(180度ズレた)関係になっている。なので、表側の音と裏側の音が同一空間で混ざり合うと、お互いを打ち消し合う“キャンセリング”が引き起こされる。

ゆえにボックスが必要となるのだが、「バスレフボックス」は裏側の音を外に放出する仕組みを持っている。とはいえそのまま放出するわけにはいかないので、波形を反転させてから外に出す。そうすれば“キャンセリング”は起こらず、低音の増強も可能となる。しかも、設計によって前側に放出する音の高低(周波数)を変えられるので、物理的なサウンドチューニングの幅も広がる。

ただし、ボックスサイズは大きくなりがちで、さらには緻密な計算が必要となるので製作の難易度も上がる。というわけなので導入のハードルも上がるのだが、音的な利点に重きをおいて、こちらが選択されるケースも少なくはない。

このように「ユニットサブウーファー」を使う際には、音を良くするためにいろいろと創意工夫を発揮できる。そしてここにこそ、カーオーディオならではの楽しさと奥深さがある。「ユニットサブウーファー」なら、それを最大限に満喫可能だ。

今回はここまでとさせていただく。次回も「サブウーファー」に関しての解説を続行する。お楽しみに。

太田祥三|ライター
大学卒業後、出版社に勤務し雑誌編集者としてキャリアを積む。カー雑誌、インテリア雑誌、そしてカーオーディオ専門誌の編集長を歴任した後、約20年間務めた会社を退職しフリーに。カーオーディオ、カーナビ、その他カーエレクトロニクス関連を中心に幅広く執筆活動を展開中。ライフワークとして音楽活動にも取り組んでいる。

《太田祥三》

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