カーオーディオではサブウーファーが大活躍する。それはなぜか、そしてサブウーファーを導入する上でのコツとは…。当特集ではそれらを多角的に研究していく。Part1となる今回は、サブウーファーを用いる意義を深掘りする。
なお当特集記事は、全国の有名“カーオーディオ・プロショップ”への取材を元に構成する。今回は、鳥取県米子市に店舗を構える老舗、“ウェイブトゥポート”の山本さんに協力を要請した。参考になる話をたくさん訊けた。じっくりとお読みいただきたい。
超低音をスムーズに再生できない理由が、クルマにはある!?
まずは“ウェイブトゥポート”の山本さんに、カーオーディオでサブウーファーが用いられることが多いその理由を教えてもらった。
「カーオーディオでは、サブウーファーは一般的な存在です。その理由は主には2つあります。
1つは、ドアのスピーカーには低音の再生能力に限界があるからです。ドアに取り付けられるスピーカーは、大きくても17cmクラスまでです。しかしドアに付けて鳴らす場合、この大きさではローエンドまでのスムーズな再生は物理的に難しいんです。スピーカーは口径が小さくなるほど高域の再生が得意になり、口径が大きくなるほど低域の再生能力が上がります。重低音をクオリティ高く十分に鳴らそうと思えば、重低音再生の専用スピーカーを用意すべきです。
ちなみに、もっと大きなスピーカーをドアに取り付けることも不可能ではないのですが、あまり現実的ではありません。まず、鉄板をカットする等の大掛かりな改造が必要になりますし、装着できたとしてもドアの鉄板には大きなスピーカーを支え切れるだけの強度がなく、ドア内部の容量も足りません。
2つ目の理由は、ロードノイズによって低音がマスキングされるからです。タイヤが路面を蹴ることで発生するロードノイズには低周波が多く含まれています。なのでそれが発生すると音楽の低音成分に被さり、聴こえにくくしてしまいます。
しかし、サブウーファーを導入すれば状況を変えられます」
サブウーファーを導入すると低音が伸びやかに豊かに響き、サウンドステージの立体感も向上する!
次いでは、サブウーファーを導入することで聴こえ方がどのように変わるのかを教えてもらった。
「低音の伸びやかさや豊かさがガラリと変わります。一聴して変化が体感できると思います。それまでは上手く再生できていなかった音がしっかり聴こえてきますから。
そして、サウンドステージの立体感も出てきます。なぜかというと、サブウーファーが再生する超低音には録音現場の環境音が多く含まれているんです。そういった響きの成分がしっかりと再生されると、ステレオの再現性が上がりサウンドステージの奥行き感が深くなるんです。
さらには、中高域の聴こえ方にも変化が現れます。音は低音から高音まで影響しあっていて、低音の鳴り方が変わるとその影響が全帯域に及びます。
ちなみに言うと、その逆の現象も起こり得ます。スーパーツイーターを導入して超高域までしっかり鳴らせるようになると、多くの方は低音の鳴り方も変わったとおっしゃいます。再生レンジが広がると、全体的な響き方に良い効果がもたらされるんです。
あと、再生装置にクロスオーバー機能が備わっていれば、ドアスピーカーに送られる音楽信号の重低音成分をカットできます。その帯域はサブウーファーに任せればいいわけですから。これも如実に音に効きます。ドアスピーカーの負担が減り得意な仕事だけに専念できるようになるので、再生効率が上がり中域の質も向上します」
純正スピーカー+サブウーファーという導入の仕方もアリ!
ところで、スピーカー交換をするより前にサブウーファーを導入するというアプローチは有り得るのだろうか。
「もちろん有り得ます。純正スピーカーは市販スピーカー以上に重低音の再生を苦手としています。サブウーファーを導入することでその弱点を補えますから、得られる効果も大きいです。
ただ、サブウーファーの導入よりもスピーカー交換を先に行う方の方が多いですね。音質を全体的に向上させたいと思われて、多くの方がまずはスピーカー交換から始められます。
しかし最近は、ドアスピーカーは触りたくないと考えられる方も少しずつ増えてきました。ドア内部に存在しているセンサー類に影響を与えたくないと思われて。そのような方にはサブウーファーの追加をお薦めしています。ちなみにそのようなケースにおいては、DSPを導入するというのも1つの手です。こちらも効果的ですのでお薦め度は高いです。しかしコスト的にはサブウーファーの導入の方が手軽です。
また、ビートが効いた音楽を好まれる方にもサブウーファーの導入は向いています。サブウーファーを使えば、低音打楽器の音やベースラインを一層生き生きと再生できるようになりますから。
サブウーファーではいろいろな楽しさが味わえます。Hi-Fi的にバランスを重視して鳴らされる方もいらっしゃいますし、低音のパンチ力を強調したチューニングをご希望される方もいらっしゃいます。どのように鳴らされても良いと思います。
低音強化を実行すると、音楽の楽しさや心地良さが倍増するはずです。多くの方にそれを体験していただきたいと思っています。お近くでしたらぜひお気軽にお越しください。さまざまなご要望にお応えできると思います。お待ちしています」