フロントスピーカー、貴方ならどう鳴らす? 第7回「アウター化」に挑戦! | Push on! Mycar-life

フロントスピーカー、貴方ならどう鳴らす? 第7回「アウター化」に挑戦!

カーオーディオシステムの音の方向性に大きな影響を及ぼすフロントスピーカー。これに何を使うかで、得られる結果が変わってくる。そして「それをどう鳴らすか」でもまた、完成度に違いが表れる。当特集では、そこのところを多角的に検証している。

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「アウター化」の一例(製作ショップ:カーオーディオクラブ<大阪府>)。

カーオーディオシステムの音の方向性に大きな影響を及ぼすフロントスピーカー。これに何を使うかで、得られる結果が変わってくる。そして「それをどう鳴らすか」でもまた、完成度に違いが表れる。当特集では、そこのところを多角的に検証している。

「アウター化」は音に確実に効く!

当回では「アウター化」について考察する。まずは、これが何なのかを説明しよう。

「アウター化」とは、「ミッドウーファーの取り付け面をドアパネル面まで立ち上げてスピーカーの振動板を見えるようにする取り付け方」のことを指す。

なお、ドアの内張りパネルをカットしなくてはならないこともあり、これを実行する作業は大掛かりになりがちだ。結果、コストも掛かる。そしてクルマをリセールに出そうとする際には、ドアパネルを買い直して修復する必要性も生じる。というわけで「アウター化」は、ハードルが高い。

しかし、音的には大きなアドバンテージを発揮する。利点として大きいのは「振動板から放たれる音をダイレクトに車室内に届けられること」だ。ミッドウーファーをドアの内張りパネル内に収める取り付け方をした場合、振動板から放たれる音エネルギーは少なからず内張りパネル内に回り込む。つまりは情報量を多少なりともロスしてしまう。そしてその内張りパネル内に回り込んだ音エネルギーは、パネルを共振させる元凶にも成りかねない。もちろん“カーオーディオ・プロショップ”はそれらに対処すべくさまざまな手を打つが、負の要素をゼロにできないこともまた確かだ。

しかし“アウター化”を実行すれば、振動板から放たれる音の内張りパネル内への回り込みは“ゼロ”になる。この事実は、確実に音に効いてくる。

ルックスにこだわれることも「アウター化」のメリット!

続いては「アウター化」の製作方法を紹介していこう。大きくは2とおりのやり方があるのだが、スタンダードなのは「インナーバッフルを立ち上げる」という方法だ。前にも説明したとおりインナーバッフルとはミッドウーファーを取り付けるときのスペーサーとなるパーツだ。その厚みを増やし、スピーカーの取り付け面を内張りパネル面の高さにまで持っていく。

インナーバッフルの厚みを稼ぐ方法は以下のとおりだ。リング状に加工した板を複数枚用意し、それを重ね合わせることで高くしていく。そうしてスピーカーの取り付け面を内張りパネル面までせり上げ、見た目を整えて完成となる。

ちなみに、見た目を良くするために特殊な作業が追加されることもよくある。例えばスピーカーの周囲にアクリルリングを設けて、その中にLEDを仕込んでライトアップさせたり、スピーカーの周辺だけにとどまらずドアの下側全体が作り直されてゴージャスに仕上げられることもある。このように、ルックスにとことんこだわれることも「アウター化」の利点の1つとなっている。

なお、製作上の注意点も存在している。そして注意すべきポイントへの対策が上手くいかないと、利点が半減しかねない。で、注意点とは「背圧のヌケを良くすること」だ。インナーバッフルを厚くしていくと筒のような形状になっていく。そうなると、スピーカーの裏側から放たれる音エネルギー(背圧)のヌケが悪くなり、スピーカーの振動板の動きにストレスを与えることとなるのだ。

各店がノウハウを駆使して、最良の「アウター化」加工が実施される!

振動板の動きにストレスが与えられると、スピーカーは持てるポテンシャルを十分に発揮できなくなる。なので“カーオーディオ・プロショップ”は、これへの対策も抜かりなく実行する。スタンダードな対策法は次のとおりだ。筒状になったインナーバッフルの内側を、奥側にいくに従って広げていく。そうすることで背圧がヌケやすくなるのだ。

さて、「アウター化」の製作方法は主には2つあると記したが、もう1つの製作方法とは「内張りパネルを土台にする」というものだ。インナーバッフルを立ち上げて作る場合にはドアの鉄板が土台となるが、そうはせずに内張りパネルにスピーカーを直接取り付ける、という方法が取られることも有り得ている。

ドア内部の状況等々、なんらかの事情がある場合にこの方法が実行されることが多いのだが、この方式を選択した場合には背圧のヌケの悪さによる弊害からは逃れられる。しかし土台の安定感は低くなりがちだ。ゆえにこの方法が実行される際には、これへの対策が十分に成されることとなる。

なお「アウター化」する際に、ミッドウーファーの取り付け角度が調整されることもある。できるだけリスナー側に振り、得られる情報量を上げようと試みられる。このように各店ごとでさまざまなノウハウが駆使され、それぞれで最良の「アウター化」加工が実行される。「アウター化」は、なかなかに奥が深いのだ。

もしも愛用のフロントスピーカーの性能をフルに引き出したいと考えるのであれば、いつかはぜひ、「アウター化」にも挑戦を♪

《太田祥三》

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