こだわれば、カーオーディオはもっと楽しくなる! 「ザ・こだわり方考察」第11回 「パッシブの使いこなし」にこだわる! | Push on! Mycar-life

こだわれば、カーオーディオはもっと楽しくなる! 「ザ・こだわり方考察」第11回 「パッシブの使いこなし」にこだわる!

こだわればこだわるほどに楽しさが深まっていくカーオーディオ。当特集ではそこにフォーカスし、具体的にはどのような「こだわり方」があるのかを研究してきた。第11回目となる当回では、現状ライトに楽しんでいる方に特におすすめな「こだわり法」を紹介していく。

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「パッシブクロスオーバーネットワーク」の一例(シンフォニ/クワトロリゴ)。
  • 「パッシブクロスオーバーネットワーク」の一例(シンフォニ/クワトロリゴ)。
  • “バイアンプ接続”が可能な「パッシブ」を付属したスピーカーの一例(フォーカル)。
  • “バイアンプ接続”が可能な「パッシブ」を付属したスピーカーの一例(ダイヤトーン)。

こだわればこだわるほどに楽しさが深まっていくカーオーディオ。当特集ではそこにフォーカスし、具体的にはどのような「こだわり方」があるのかを研究してきた。第11回目となる当回では、現状ライトに楽しんでいる方に特におすすめな「こだわり法」を紹介していく。

「パッシブクロスオーバーネットワーク」には、音を良くするための機能が備えられている!?

今回紹介する「こだわり法」は、特に初級~中級ユーザーにおすすめな策なので、基礎的なことから解説していく。というわけでまずは「パッシブ」とは何なのかを簡単におさらいしておきたい。なお、「パッシブ」という言い方は実は短縮形だ。正式名称は「パッシブクロスオーバーネットワーク」である。そしてこれは基本的に、市販スピーカーに付属しているものだ。単品で発売されているものもあるが、あくまでもスピーカーの“1パーツ”、と考えるべきなのだ。

で、役割は「音楽信号を“帯域分割”すること」にある。例えば2ウェイスピーカーでは、高音再生をツイーターに担当させ中低音再生をミッドウーファーに担当させることになるのだが、そのためには音楽信号を伝送する間のしかるべきタイミングで、信号の“帯域分割”を行う必要がある。「パッシブクロスオーバーネットワーク」はそれを行うためのパーツだ。送られてくる音楽信号をスピーカーの手前で受け取り“帯域分割”した後に、高音をツイーターに中高音をミッドウーファーへと送り込む。

ところで当特集では以前に、「プロセッサー」を導入する際の「こだわりポイント」を解説したが、これを用いると音楽信号の“帯域分割”をパワーアンプの前段で行えるようになる(「パッシブ」は不要になる)。そうすると、各信号の個別制御が可能となる。つまり、より緻密なサウンドチューニングができるようになるのだ。

なのでそのときに解説したとおり、スピーカーを交換した後には「プロセッサー」を導入するというのもおすすめなのだが、それを実行する前にまずは「パッシブ」を使いこなすことにトライしても面白い。いろいろな楽しみ方を体験しておくと、経験則が増えていく。

搭載されているスタンダードな機能「アッテネーター」を積極活用!

では、「パッシブクロスオーバーネットワーク」を用いるシステムにおいての“こだわり法”を具体的に説明していこう。

まずは、「パッシブクロスオーバーネットワーク」に搭載されている機能を活用する方法から紹介する。「パッシブ」には多くのモデルで「アッテネーター」という機能が搭載されているのだが、これも上手に使うと音質向上化が果たされる。

さて「アッテネーター」とはすなわち、高音のレベルを変えられる機能だ。もしもこれが搭載されていたら、以下のように使いこなそう。使いこなし方は主に2つある。

1つは、「近い方のツイーターの音が耳につくとき」。そんなときには「アッテネーター」を操作すれば、合理的にそれを緩和させられる。

特に大きな音量で音楽を楽しむ場合には、近い方のツイーターの音がうるさく感じられがちなのだが、通常ならそんなときには、以下のような2つの対処法が取られる。しかしその両方には難点もある。まず「トーンコントロール」で高音を絞るといいのだが、そうすると遠い方のツイーターの音も絞られてしまう。また「バランス」を活用して近い方のスピーカーの音量を絞っても良いのだが、この場合には近い方のミッドウーファーの音量も絞られてしまう。

しかし「パッシブ」に搭載されている「アッテネーター」を使えば、上手くいきやすい。中高音のバランスは変えずに、近い方のツイーターの高音だけを絞れるからだ。

そしてもう1つ、こんな使い方もできる。もしも愛用のメインユニットに簡易的な「タイムアライメント」機能が搭載されている場合、これを活用することで左右のスピーカーの距離差を擬似的に補正できるので、ステレオ感をリアルに感じ取れるようになる。しかし、ツイーターとミッドウーファーの音の個別制御はできないので、ある程度ざっくりした調整にならざるを得ない。ミッドウーファーの音を優先的に調整すれば、中高音のフォーカスはばっちり合うが、高音の定位感は少々甘くなる。

そんな時には「アッテネーター」を使うと、それへの対処も可能となる。ツイーターの音量バランスを変えることで、左右のツイーター間の距離差を補正する効果を上げられるのだ。この手は案外に有効だ。ぜひともお試しを。

スピーカーはそのままなのに、1ランク上のモデルに交換したかのような音になる!?

また、もしも使用中の「パッシブクロスオーバーネットワーク」が“バイアンプ接続”に対応していたらしめたものだ。そうであると以下のような2つの“使いこなし法”の実践が可能となる。

それぞれについて具体的に解説していこう。まず1つ目は「バイワイヤリング接続」だ。“バイアンプ接続”が可能な「パッシブ」では、ツイーター用とミッドウーファー用、それぞれの音楽信号を個別に入力できるようになっている。それを次のように活用する。メインユニットのフロント出力にケーブルを2本ずつ接続し、左右chともに1本を「パッシブ」のツイーター用入力端子に、もう1本をミッドウーファー用入力端子に接続する。こうすることで「パッシブ」内での信号の流れをシンプル化させられて、結果、音が良くなる。

そしてもう1つが「バイアンプ接続」だ。こちらでは以下のように配線する。メインユニットのフロント出力を「パッシブ」のミッドウーファー用入力端子に接続し、リア出力をツイーター用の入力端子に接続する。こうすることでリアスピーカーは鳴らせなくなるものの、全出力をフロントスピーカーに使うという豪勢な状態を作り出せるので、サウンドクオリティが確実に向上する。「バイワイヤリング接続」と同様に「パッシブ」内での電気の流れをシンプル化でき、さらには1つのスピーカーユニットをよりトルクフルに駆動できるようにもなる。スピーカーはそのままなのに、もう1ランク上のモデルに交換したかのように音が変わってくるはずだ。

ケーブル代と工賃は掛かるが、スピーカーを買い替えることと比べたら相当に低コスト。やらない手はない。

今回はここまでとさせていただく。次回も「こだわり方」解説を続行する。お楽しみに。

《太田祥三》

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