アンティフォン 松居邦彦の『カーオーディオ そこんとこ、実際ど~なのよ?』 No.98 新「デモカー・製作記」#03 | Push on! Mycar-life

アンティフォン 松居邦彦の『カーオーディオ そこんとこ、実際ど~なのよ?』 No.98 新「デモカー・製作記」#03

新たなダイヤトーン・スピーカー『DS-SA1000』を中心としたシステムを搭載する、ショップデモカーの製作を計画している松居さん。その進捗をリポートする新シリーズをスタートさせたのだが、今回は一旦横道にそれ、話題のあの製品について語っていただくこととした。

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アンティフォン・デモカー、Audi。

新たなダイヤトーン・スピーカー『DS-SA1000』を中心としたシステムを搭載する、ショップデモカーの製作を計画している松居さん。その進捗をリポートする新シリーズをスタートさせたのだが、今回は一旦横道にそれ、話題のあの製品について語っていただくこととした。

松居さんも密かに注目していた話題の製品とは…。

2017年が始まった。カーオーディオ界にとって、今年はどのような年になるのだろうか。

多分間違いなく、DSP(デジタル・シグナル・プロセッサー)がハイレゾなレンジへ進化する年になるだろう、と、僕は踏んでいる。ドイツ勢もハイエンドなプロセッサーの開発に取りかかったらしいし、日本製の物凄いモデルが発売されるという情報もある。

さて、その2017年の第1回目となる当記事なのだが…。

昨年末より、DIATONEの新たなフラッグシップスピーカー、『DS-SA1000』を搭載するデモカーの製作レポートを進めているところなのだが、肝心のスピーカーが納期待ちでなかなか手元に届かない。というわけでその続編は一旦お休みさせていただき、今回は別のテーマでお贈りしようと思う。

実は、『DS-SA1000』と並んで、気になっている製品がある。それについて感じていることを綴らせていただこうと思う。

その製品には、未来を変える可能性すらあると感じている。それは何かと言うと、ずばり、クラリオンのスピーカーシステム『Full Digital Sound』である。

このスピーカーシステムの基本技術は、法政大学の理工学部の教授が設立した会社で開発された最先端のデジタル信号処理技術(Dnote)だ。それをクラリオンがライセンス供給として受け、『Full Digital Sound』として製品化したものだ。スピーカーとしては、世界初、ではないかと認識している。

これはいわば、最終的に振動素子の機械的な構造をD/Aコンバーターとするというものである、と僕は捉えている。物凄い可能性を秘めていると思う。

シグナルはアナログ信号へコンバートされることなくデジタルのままスピーカーへ送られる。そしてスピーカーに搭載されているLSIチップで信号処理され、スピーカーのインダクタンス成分による振動で音を出す(複数のボイスコイルを使用する)。

信号回路でD/A変換するのと同じく、デジタルシグマ変調を用いるのだけれど、信号処理装置としてのD/Aコンバーターのように、オーバーサンプリング後ローパスフィルターで量子化雑音を除去したりする回路を必要としない。

信号処理にメカを利用し、回路をシンプルにし、パワーアンプなどの電力回路を必要としないこのシステムは、シンプルでストレートな未来のオーディオシステムのような気さえする(ヘッドフォンではオーディオテクニカもこの方式の商品を出している)。

ちなみに、このようなオーディオのイメージは、CDが発売された頃、いろいろなメーカーが取り組んでいたように記憶している。16ビットデジタルなので、スピーカーを16個使うといった方式などが研究されていて、可能性を模索する文献を読んだことがある。しかしながら、それらはいずれも、その後なんとなくフェードアウトしていった。

ところで今のレコーディングには(多分)必ずデジタルが介入しているはずである。それでもオーディオ再生においては、アナログレコードでの再生に他の何よりもリアルを感じる。このことと、このメカニカルなD/Aコンバーターは、つながっているような気がしてならない。

2017年は、この『Full Digital Sound』についても、デモカーで検証してみたい気持ちを持っている。これについてご報告できることができたら、このコーナーでも取り上げていこうと思う。時期は定かではないが、楽しみにしていただけたら有り難い。

《松居邦彦》

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