「完結型」か「ハブ型」か…。現代カーオーディオにおける“コントロール・ユニット”の選び方を、徹底考察! 後編・「ハブ型」の利点と特徴 | Push on! Mycar-life

「完結型」か「ハブ型」か…。現代カーオーディオにおける“コントロール・ユニット”の選び方を、徹底考察! 後編・「ハブ型」の利点と特徴

現代のハイエンド・カーオーディオにおいて、システムの核となるのは“コントロール・ユニット”だ。その選び方を深堀りして解説している。前回は、「完結型」メインユニットの利点や特徴を解説した。後編となる今回は「ハブ型」DSPの特長を考察していく。

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レインボウの単体DSPの、トランクへのインストール例。

現代のハイエンド・カーオーディオにおいて、システムの核となるのは“コントロール・ユニット”だ。その選び方を深堀りして解説している。前回は、「完結型」メインユニットの利点や特徴を解説した。後編となる今回は「ハブ型」DSPの特長を考察していく。

■今使っているメインユニットを残したまま、コントロール機能を追加可能。

ところで、かつてのカーオーディオでは、核となる“メインユニット”がまずあり、それに内蔵されているDSP、もしくは、それとの接続が前提となる専用DSPでシステムを制御することが多かった。

しかし現代では、核となる“メインユニット”は用いず、外付けのDSPを“コントロール・ユニット”としてシステムに組み込むスタイルが取られるケースが増えている。このようなケースでは、システムに後から組み込まれるそのDSPが、ソースユニットの「ハブ」の役割も果たすこととなる。

というわけで当特集では、これを「ハブ型」“コントロール・ユニット”と呼び、「完結型」のメインユニットと対比させて、それぞれの利点を探っていこうと試みているのである。

そして今回クローズアップする、「ハブ型」DSPである。まずは「ハブ型」DSPが、どのような車両に向いているのか、から解説していこう。答はズバリ、「純正ヘッドが外せないクルマ」である。

ハイエンド・システムを実現するためには、詳細なサウンドチューニングが行える環境を作る必要がある。そうしようと思っても、純正ヘッドが外せないのであれば、「完結型」メインユニットを投入することは不可能だ。となると選択肢はおのずと「ハブ型」DSPに限られる、というわけなのだ。

または、市販のAV一体型ナビを使っていて、それをそのまま残したい、という場合にも「ハブ型」DSPは重宝する。つまり、使用中のメインユニットを変えずにコントロール機能だけを追加したい、というときに、「ハブ型」DSPの出番となるのだ。

次に、「ハブ型」DSPのメリットを検証していこう。1つ目として挙げたいのは「コントロール能力が高いこと」である。もちろん、製品によって差はあるが、ハイエンド機においては、各機とも似たような性能が備わっている。どれも、なかなかの高機能を誇っているのである。

例えば、『ロックフォード・フォズゲート 3SIXTY.3』で見てみよう。まず当機のイコライザーは、“8ch独立31バンドパラメトリックEQ”である。「完結型」のメインユニットでは、“左右独立31バンドグラフィックEQ”がスタンダードであるのに対し、こちらは“ch独立”。しかも対処したい周波数にピンポイントでアプローチできる“パラメトリックEQ”なのだ。この性能差は、なかなかに大きい。さらに、“クロスオーバー”ではクラスオーバークラスも選択可能だ。

■新手の、「ハブ型」DSPも登場し、ますます選択肢が拡大!

ストロングポイントはもう1つある。それは「ソースユニットを多彩に活用できること」である。

まず、多くのハイエンドDSPが、デジタル入力を備えているのだが、これを活用して、デジタルポータブルオーディオプレーヤーの音源を、高音質な状態でシステムに取り入れられる。ハイレゾ音源に対応した外付けのデジタル-デジタルコンバーターを使えば、ハイレゾ音源をデジタルのまま取り込むことも可能となる。また、Bluetoothでスマホの音楽データを受けられる機種や、中には、Wi-Fiでストリーミング再生が可能なモデルもある。もちろん、“ハイレベル接続”を行うことで、ライン出力を持たない純正オーディオも、ソースユニットの1つとして使用可能だ。

なお、ここ数年は、パワーアンプ内蔵型のDSPが人気を博している。各社から優秀なモデルがリリースされ、それらがそれぞれヒット商品となっているのだ。パワーアンプ内蔵型のメリットは、システム全体をコンパクトにできること。インストールスペースと予算、両方をスモール化できるのである。パワーアンプを交換することはできない、いわば“システム完結タイプ”ではあるのだが、合理的に本格システムを構築できることを強みとしている。

そんな中、システム完結タイプの「ハブ型」DSPの真打ちともいうべき製品が、この春新登場している。クラリオンの『Full Digital Sound』がそれである。

ソースユニットから取り込まれた音楽信号を、1度もアナログ信号に変換することなく音に変えるというこの革新のシステム。当システムであれば、ソースユニットを多彩に接続可能な「ハブ型」DSPを核に、パワーアンプを使わずして本格フルシステムを構築できる。

単体、ならびに、アンプ内蔵型DSPと比べると高額ではあるが、高性能なスピーカーもセットされ、かつパワーアンプを使った本格システムレベルのサウンドが楽しめるともなれば、フルシステム代と考えると相当にリーズナブルな製品なのである。しかも、消費電力がかなり少ない。パワーアンプを使った水準の音でありながら、純正オーディオよりも消費電力が少ないのだ。

スピーカーやパワーアンプをステップアップさせるという面白みは味わえないものの、リーズナブルに、かつ省スペース・省電力で本格サウンドを手にしたいと思うなら、『Full Digital Sound』は注目する価値が大だ。

さて、いかがだったろうか。これから本格的にハイエンドシステムを組もうとしたとき、まずは、「完結型」メインユニットを核とするか、「ハブ型」DSPを核とするか、そこのところをしっかり見極めておくと、より快適に、ハイエンド・カーオーディオライフが楽しめるはずである。それぞれの利点のうち、どこを重視するかを検討して、ベストな“コントロール・ユニット”を選んでほしい。そして存分に、ハイエンド・カーオーディオの世界を堪能していただきたいと、切に願う。

《太田祥三》

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