【中学受験2016】四谷大塚に聞く、首都圏中学受験の最新動向 | Push on! Mycar-life

【中学受験2016】四谷大塚に聞く、首都圏中学受験の最新動向

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四谷大塚の質問風景(提供:四谷大塚)
  • 四谷大塚の質問風景(提供:四谷大塚)
  • 四谷大塚の授業風景(提供:四谷大塚)
 2016年の中学入試まで、残すところ1か月半となった。首都圏における中学受験の傾向から、特徴のある私学のポイント、さらに受験当日のアドバイスまで、創立61年の歴史と中学受験指導の実績をもつ四谷大塚情報本部の本部長代行 岩崎隆義氏に話を聞いた。

◆受験生は微増

--2016年の首都圏における受験者数、難関校(学校別コース設置校)の志願者数に変化はありますか。

 四谷大塚で実施している合不合判定テストの受験者数からすると、昨年とほぼ変わらず、微増といったところです。少子化と言われていますが、首都圏では事情が異なり、東京都だけ出生率が少し上昇傾向にあります。

 文部科学省の発表によると、昨年の1都3県の小学6年生は約30万人でした。受験者数は各塾で計測していますが、それぞれ計測方法が異なるため多少の誤差が出ます。弊社が調べた数値では、のべで約4万6,500人が受験をしました。よって、昨年は1都3県の約15.6%が中学受験をしているというわけです。

--受験生は、ひとりあたり何校受験しているのでしょうか。

 さきほどの受験数と学校の出願数、複数回入試を行う学校などの要素を考慮して計算すると、受験者ひとりあたりが平均で5.76回の試験に出願をしています。学校数でいうと1.5校ということで、約2校受けているというデータが出ています。

 第1志望が複数回試験を実施している場合、受かるまで受けるというケースも多々あります。


◆桐朋の入試回数増は、武蔵にも影響

--入試に大きな変更点や傾向がありましたら教えてください。

 今年いちばんの話題は、桐朋がこれまで1回のみの実施だった入試を、2016年より2回に変更したことです。これにより武蔵と桐朋を併願する受験生が増え、結果として武蔵を受ける受験生も増えそうです。ほかの学校にも影響を及ぼしたという点でも大きい変更だと思います。

 女子では、入試回数を3回から2回にした鴎友学園に、より第1志望の生徒をとりたいという思いを感じました。

 それから共立と品川女子など、2020年の大学入試改革の流れで「合教科型」の試験を行う学校にも注目しています。今までは適性検査型と言われていましたが、その次のステージともいえる、算・国・理・社の枠組みを超えて試験を行う「強化融合型」が新しい動きです。

 特徴としてはコース制もあります。東京都市大付属のI類/ II類、埼玉の栄東は東大クラス/一般クラスがあり、入試問題の内容も難度も違います。入学試験からコースを選択していく“コース制”も近年の私学の流れです。

 さらに、大きな変更点としては英語入試もあります。帰国子女向けではなく、一般入試のひとつとしてすべて英語で試験を行う学校が、2015年は32校で69試験ありました。2016年はさらに増えると思います。

--英語教科化の影響が、中学受験に出ているということでしょうか。

 ここ1、2年で顕著になってきました。また、千葉県の専修大学松戸のように、英語の試験は実施しませんが、英検合格の実績を一般試験に加算する学校もあります。埼玉栄では、英検3級以上の合格者であれば、作文と面接のみの試験となる「スーパーイングリッシュ入試」を行っています。


◆しっかり勉強の面倒を見てくれる学校に期待

--人気が上がっている学校の理由はなんでしょうか。

 人気は偏差値だけでなく、試験回数も考慮してほしいと思います。未だに試験が1回のみの学校はみんなが憧れる、1度で受験者を集められる御三家や早慶などで、ある意味、試験回数と学校のブランドは比例すると思っています。

 現在人気が集まっている学校の特徴のひとつとして、共学化があります。三田国際、法政大学第二、青山学院横浜英和などです。ただし、必ずしも共学化すれば受験生が集まるというわけではありません。キーワードは、「しっかり勉強の面倒を見てくれる」ということ。この学校に入れれば、学力をつけてくれるといった期待がもてる学校であるかということです。そのひとつが、英語などのグローバル対応です。もちろん、大学進学率という出口の要素も大きいです。一方で、広尾学園などは、進学率の実績もありますが、学校での6年間の過ごし方に期待される保護者がとても多いです。

 中学受験をされるご家庭では、まずご自分である程度はリサーチされていると思います。その際、まずは大学への合格実績が最初のキーになります。ではその実績を出すために何をしているのか。その中身に興味をもたれるか。実は難関校ほど面倒見が良くない、逆に中堅校には面倒を見る傾向があります。難関校は生徒の自主性にまかせた自由な校風でアカデミックな授業を行うところが多いです。

 また、私学では学校オリジナルの教科書を採用しているところもあり、その最たる例が豊島岡で、学校で制作し出版までしていて大変秀逸です。これこそが私学の力で、目に見えるものだけでなく見えない魅力も多々あります。それを知るためには、ぜひ学校に行ってみてください。中高の多感な6年を、どう育てるか。大学実績は当然の担保で、それに加えてどう「人間を育てる」かというところが大切です。

 たとえば英語をはじめ、新しい取組みをいかにやっているか。文化学園大学杉並では、日本とカナダ両方の高卒資格を取得できるダブルディプロマ・プログラムを採用し、そのクラスではすべて英語で授業を行っています。そのほか国際バカロレア認定校として有名な学校には立教女学院などもあります。必ずしも受験者数が伸びているわけではないですが、こういった特徴も注目すべき要素だと思います。


◆第1志望、男女別トップ10校

--男子・女子の人気校と、一般的な併願パターンを教えてください。

 男子では早稲田が一番人気です。早稲田大学に進学する選択肢があり、東大への合格率も2桁です。ついで武蔵、開成、芝、早稲田実業、浅野学園、麻布、慶應普通部、海城、早稲田学院が、ほぼ定番の10校です。

 女子では女子学院が人気のトップです。吉祥女子、豊島岡、鴎友、雙葉、桜蔭、洗足学園、頌栄、早稲田実業、フェリスの全10校。以上は、四谷大塚の模試での第1志望ランキング上位校です。

■トップ校と併願校の主なパターン■

 代表的な併願パターンとしては以下のとおりです。

【男子】
第1志望:開成
第2志望:渋谷教育幕張、筑波大駒場、芝、聖光学院など

第1志望:筑波大駒場
第2志望:開成、渋谷教育幕張、聖光学院、芝など

【女子】
第1志望:桜蔭
第2志望:浦和明の星女子、慶應中等部、筑波大付属など

第1志望:慶應中等部
第2志望:慶應湘南藤沢、浦和明の星女子、豊島岡女子など

--公立中高一貫校は、私立難関校の併願校の位置づけでしょうか。

 データを見る限り、私学の併願として捉えられていますね。位置づけとしては国立に近いと思います。

 たとえば神奈川の横浜サイエンスフロンティアの中高一貫校化には、最初の対象となる小学5年生がすでに注目していますね。特に初年度は「受けてみよう」ということで応募が集まることもあり、公立の倍率は6倍と言われています。そうなった場合、小学校の勉強だけでは合格するのが難しく、基本は私学併願組の学校になりつつあります。

 適性検査の試験は公開されているので、保護者の方はぜひチェックして、果たして小学校の勉強だけで解けるものかどうか確認してみてください。


◆第1志望校は譲らず、合格できる受験

--年末から入試当日までのアドバイスを、保護者と受験生それぞれにお願いします。

 まず保護者の方は、ここまできたらわが子を信じることです。特に男の子はエンジンがかかるのが遅いので、まだまだ子どもの伸びる力を信じてください。そして受験校について最終的に迷っている人は、12月模試で決めるとよいでしょう。ただし、モチベーションの大元である第1志望校はできるだけ譲らないようにしてください。

 同時に、合格の可能性の低い学校ばかりにチャレンジすることはお勧めしません。12歳の子どもが受験勉強を頑張ったご褒美とはなんでしょうか? それは「合格すること」に他なりません。合格できたという体験をさせてほしいと思います。そして、合格通知をもらえた暁には、「おめでとう」と言ってあげてください。

 中学受験の体験は12歳で終わりではなく、良い通過点になるように導いてください。高校受験では、もう親はほとんど関われないのが現実です。ただし、中学受験は二人三脚の親子でやるからこそ、つい言ってしまう例もあります。たとえば「あなたはダメね」「頭悪いからもう止めたほうがいい」といった、子どもの可能性をつぶす言葉は絶対に言わないようにしてほしいと思います。

 そして受験生は、自分の可能性を信じること。1月から受験が始まりますが、第1志望の合格を勝ちとるまで頑張ること。「力は最後の最後まで伸びる、試験の時まで伸ばすことができる」ということを伝えたいと思います。

--生徒に対して心がけている点や指導などがありましたら、教えてください。

 四谷大塚では、一貫して「心知一体」の“心の教育”を心がけています。小学生は興味や関心が大きく、興味をもてないことには集中力も失せてしまいます。そこで、「何のために勉強するのか」ということを問いかけ、その夢や志を明らかにし、大事にしていきます。

 子どもが夢をもった際、その動機を知り、夢をふくらませていくための方法に導いていく。そして努力を継続させるためには、褒めることです。たとえその時点では点数が上がっていなくても、続けている姿勢そのものを褒めることで、努力を続けていけます。過程で諦めたり挫折したりしないよう、いかに続けていけるか。これらの指導を“心の指導”として、もっとも大切にしています。正しいことをやっていれば、結果は自ずとついてくると思います。

--ありがとうございました。
《相川いずみ》

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