サウンドステーション アンティフォン 松居 邦彦の『カーオーディオ そこんとこ、実際ど〜なのよ?』 #81: デモカー・Audi ハイレゾ化への道 #11 番外編 Part.5 | Push on! Mycar-life

サウンドステーション アンティフォン 松居 邦彦の『カーオーディオ そこんとこ、実際ど〜なのよ?』 #81: デモカー・Audi ハイレゾ化への道 #11 番外編 Part.5

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サウンドステーション アンティフォン 松居 邦彦の『カーオーディオ そこんとこ、実際ど〜なのよ?』
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アンティフォンのデモカー・Audiの“ハイレゾ化”をきっかけにして、“ハイエンドオーディオ”という言葉の意味について、改めて考えていただいている。松居さんの目指す“ハイエンド”とはどのような世界なのか…。じっくりとお読みいただきたい。



前回書いた話を、より具体的にさらに掘り下げさせていただこうと思う。



かつて日本にも“オーディオブーム”という時期があった。アンプ、スピーカーなどのコンポーネントの組み合わせを工夫し、自分だけのオーディオシステムを構築することを、多くの人々が楽しんでいた。オーディオが、今より一般的な「みんなの趣味」だったのだ。



その頃のオーディオ的な価値観は、組み合わせる装置(コンポと呼んだ)の音楽的な個性を混ぜ合わせ、独自の世界を築こうとするものだったと思う。「これはジャズには良いけどクラシックには」、というように、装置の醸し出す雰囲気や味わいを楽しむ世界だったのだ。僕自身もそこにはまっていたのだけれど、より強い個性のような“加わる要素”、つまりは刺激のようなものを求めていた。それはスパイスを組み合わせるカレーの味を決める作業に近かった。マッキントッシュ、マランツ7、クオードの存在に憧れ、JBL、ALTECの違いを聴き分けるツボはなにか、などを語り合ったりしていた。



そのような流れに対して、「その装置の存在感を消して、さらに生演奏を聴いているのでは、とリスナーに感じさせる」のが“ハイエンドオーディオ”であると唱えたのが、『ザ・アブソリュートサウンド』だった。それは、ストレートに“高級オーディオ”を指す言葉ではなく、それまでのオーディオの価値感とは違う新しい世界を形容する表現であったのだ。



そしてぼくはそれを、95年の『サマーCES』で、身をもって体験した。そこで聴かれた音はまさに「スピーカーが鳴っている感じがまったくしない、目の前に人が立って歌っているような世界」だった。音量も少し控えめに聴こえるのは不純物が少ないからなのだろうか、「2chなのに立体的、手を伸ばせば触れそうで目で見ているような音の世界」を体験したのだ。



以来ぼくは、改宗したかのように自分の価値観を変えた。



“ハイエンドオーディオ”のスピーカーは、録音された音源に、何も付け加えてはいけない。なので、箱は響かない(共振しない)ように工夫されていて、人口大理石でバッフルを作るメーカーなどがあった。形も音波が乱れないよう細くなり、ラウンドした空力的なデザインになっている。





『THIEL』


『THIEL』





印象的だったのは、代表的なメーカーTHIELの箱に書かれていた「コヒレント・ソース・スピーカー」という言葉。これは、他のスピーカーシステムとの違いを主張する言葉だ。このメーカーは、マルチウェイの設計において、-6dbの1次フィルターを使用し位相回転を避け、時間軸に忠実な事を最優先させている。箱鳴りを利用せず、スピーカーのピストンモーションだけで包み込むような低再生を目指した。低域に向かってどんどんスピーカーインピーダンスを下げていくネットワーク回路を搭載し、それは揺るぎない力をパワーアンプに要求した。そうでないパワーアンプをこのスピーカーに接続すると、低域が入力されると気絶してしまう(保護回路が作動した)。



“改宗”後のぼくは、上記のようなスピーカーに惹かれていったのだ(次回に続く)。




《松居邦彦》

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