今年3月、アメリカやヨーロッパブランドを中心に数多くの製品を取り扱うイース・コーポレーションが主催する「イースセミナー & ショー2013」で発表され、今月より日本国内で正式にデリバリーが開始された注目のジャーマンブランド『GROUND ZERO』。
当コーナーでは、4週に渡って『GROUND ZERO』の全貌に迫っていく。
今週からは試聴インプレッションをお贈りしたい。まずはハイグレードスピーカー「GZPC 165SX」を聴かせていただいた。
試聴インプレッションの前に『GROUND ZERO』のスピーカーラインナップを紹介しておこう。最高峰となるハイエンドスピーカーは3ウェイで、ツイーター、ミッドレンジ、ミッドウーファーがそれぞれ単体(ペア)での販売となる。パッシブクロスオーバーネットワークの設定はない。「GZPT Reference 28」(ツイーター)が17万100円、「GZPM Reference 100」(ミッドレンジ)が25万2000円、「GZPW Reference 18」(ミッドウーファー)が35万7000円。
2ウェイのトップモデルになるのが、今回試聴した16.5cm 2ウェイコンポーネントスピーカー「GZPC 165SX」、価格は21万円だ。
これより下のクラスは、現状日本で販売されるのは3タイプあり、4万2000円の「GZUC 650SQ」、2万3100円の「GZRC 165FXII」、2万1000円の「GZRC 130FXII」。最後の2つは同一グレードでのサイズ違いだ。
さらに、BMW用のイージーフィットシリーズとして、2ウェイコンポーネント、パッシブクロスオーバーネットワーク、サブウーファーを擁し、加えて2ウェイコアキシャルスピーカーを2タイプそろえている。
「GZPC 165SX」の概要も紹介しておきたい。製品化に至るまでには、綿密な設計、サンプル製作、テストラボでの計測、何種類にもおよぶ複雑で現実的なパワーハンドリングテスト、実車装着テストが重ねられているという。組み上げは、現地の技術部門によってハンドメイドで行われているとのことだ。丁寧に作られていることは一目瞭然だ。工業製品として完成度が高い。
一見して目を引く外観上の特徴は、16.5cmミッドウーファーに備えられた大きなフェイズプラグ。アルミ素材を使い、さらに径を大きくすることで、ボイスコイルの放熱を効率的に行おうとしているのだ。振動板の材質はアルミニウム合金で、明快で高レスポンスな中低域再生を実現するという。振動板とフェイズプラグのシルバーのカラーリングがシャープで、カスタムインストールした時にも映えそうだ。強靭なアルミダイキャスト製バスケットに収められた磁気回路には、50mmサイズの大口径ボイスコイル、大型サイズのフェライトマグネットを採用するなど、パワーハンドリングにこだわった設計となっている。また、25mmツイーターはシルクドーム型で磁気回路はネオジウムマグネットを搭載。
ネットワークが上質であることも大きな特徴だ。ツイーター用とミッドウーファー用が別体になっていて、なんとミッドウーファーのダブル使いにも対応している。随所に高級パーツがおごられているのも見てとれた。
さて肝心のそのサウンド。敢えてハイエンドのアンプとは組み合わせず、10万円以下の中級グレードのモデルで聴いてみた。
一聴して感じたのは、クセがなく自然なバランスで音楽を再生していること。誇張がなく、各楽器の音色も的確だ。余韻も自然で、余計なにじみや響きもない。
低域も適度に締まっていて、量感もある。ずっしりとしていながら伸びやかさも適度。ベースが音を発する瞬間の弦の躍動感が感じられて心地良い。
全体的には、どちらかと言うと柔らかい質感のサウンドだと感じられた。聴きやすく、いわゆる聴き疲れのしない方向の音だ。音楽のジャンルも選ばないだろう。尖った音質を好む人には向かないかもしれないが、むしろこの音を好意的に受け入れる人のほうが多いだろう。
次週からは、『GROUND ZERO』パワーアンプのインプレッションをお伝えする。その際もこのスピーカーを使用し続けたのだが、アンプを換えていくごとに、それぞれの特徴を忠実に再現してくれた。上級アンプと組み合わせたときのエネルギー感の表現は抜群。生き生きとした心に迫る音を聴かせてくれた。このスピーカーの素性に間違いはないだろう。システムの成長とともに新たな良い面を発揮してくれるスピーカーでもある。長く使って楽しめる製品であることも、間違いない。