【インタビュー】ジョセフ・G=レヴィット、無謀に見える挑戦も「必ずできる」…『ザ・ウォーク』 | Push on! Mycar-life

【インタビュー】ジョセフ・G=レヴィット、無謀に見える挑戦も「必ずできる」…『ザ・ウォーク』

最近、映画館を訪れた人なら、どこまでも果てしなく続くような超高層ビルをなめるように見上げる映像と、やがてそのビルの屋上に駆け上がってくる青年の姿を、予告編の中で目にしたことがあるかもしれない。そして、その後、彼が試みようとしたことも…。

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ジョセフ・ゴードン=レヴィット - (C) 2015 Sony Pictures Digital Productions Inc. All rights reserved.
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  • 『ザ・ウォーク』NYプレミア
  • ジョセフ・ゴードン=レヴィット/『ザ・ウォーク』NYプレミア
  • 『ザ・ウォーク』- (C) 2015 TriStar Pictures, Inc. All Rights Reserved.
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  • シャルロット・ルボン、ジョセフ・ゴードン=レヴィット/『ザ・ウォーク』NYプレミア
  • 『ザ・ウォーク』- (C) 2015 TriStar Pictures, Inc. All Rights Reserved.
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最近、映画館を訪れた人なら、どこまでも果てしなく続くような超高層ビルをなめるように見上げる映像と、やがてそのビルの屋上に駆け上がってくる青年の姿を、予告編の中で目にしたことがあるかもしれない。そして、その後、彼が試みようとしたことも…。

その超高層ビルこそ、地上110階建て、高さ411メートルを誇った、今はなきNYのワールドトレードセンターのツインタワー。また、その青年こそ、2つのタワーの間に1本のワイヤーを張り、“命綱なし”でその上を歩いて渡ったフィリップ・プティ。演じるのは、『インセプション』(クリストファー・ノーラン)や『リンカーン』(スティーヴン・スピルバーグ)など人気監督の作品に引っ張りだこのジョセフ・ゴードン=レヴィットだ。

今回、“映像の魔術師”とよばれるロバート・ゼメキス監督が手がけた3D映画『ザ・ウォーク』で、実在の“ワイヤー・ウォーカー”フィリップ・プティを演じたことについて、ジョセフがたっぷりと語ってくれた。

1974年当時、世界最高層だった完成間近のツインタワーの間で“綱渡り”をしたフランス人青年フィリップ・プティについては、2008年にアカデミー賞を受賞したドキュメンタリー『マン・オン・ワイヤー』でも描かれ、「綱渡りの男」というタイトルで絵本にもなっている。だが、本作でスポットが当てられているのは、当時24歳だった彼の半生であり、なぜ彼がワイヤー・ウォークに惹かれたのか、この狂気の沙汰ともいえる挑戦に何を求め、“そこ”でどんな景色を見ていたのかだ。

実際にフィリップ・プティ本人の指導のもと、ワイヤー・ウォークのトレーニングを行ったというジョセフ。「彼はとてもポジティブで、いまはできないことでも、必ずできると信じて解決策を考えるような人だ。だから僕も前向きに、プレッシャーを感じず演じることができたよ」と言う。「フィリップの指導はとても分かりやすかったんだけれど、それは彼の指導の根底に“必ずできる”というポジティブな考えがあったからだと思う」。

事実、最終的にジョセフは、2メートルの高さに張った長さ9メートルのワイヤーの上を1人で渡り切るほどになったという。奇跡の天空ウォーキングを実現した男の“超前向き”指導のおかげで、一つの不可能を可能にさせたわけだ。

「誰しもが夢を持っていて、“こうなればいいのに”と思うだけで普通はあきらめてしまう。でもフィリップはそれを追及して、そして成功させたんだ。その事実に一番、惹かれたんだよ」と本作の魅力を明かすジョセフ。そんなフィリップ・プティの姿を目の当たりにした彼は、劇中ではフランス訛りの英語で、時に人なつこく、時に情熱的かつカリスマティックに演じてみせる。

では、これまでの彼自身の人生において、一番の挑戦というのは何だったのだろう? 「僕は6歳から演技の世界で生きてきたんだけれど、大学に入るため、19歳の時に一度この世界から離れたんだ。大学卒業後の20代前半に俳優業に戻ってきたんだけれど、これまでとは違う新しい挑戦をしたかったから、19歳までにやっていたテレビのコメディや学生ものはやらなかったんだ」とジョセフは言う。

だが、そのため、1年間はほぼ仕事がない状態だったそうで、「つらい時期を過ごしたし、周りからも『前の仕事をすれば』と言われたけれど、決して信念を曲げなかった。その結果、いまの僕があるから、その決断はすごくよかったと思ってる」。

確かに現在、順調にキャリアを築き上げ、若手の旗手ともなったジョセフ。その作品選びについては、「特別な基準を決めているわけじゃないけれど、監督、脚本、そして役のあり方を重要視しているよ。脚本を読んでいるとき、急に立ち上がってしまったり、声に出してセリフを読んでしまったりする瞬間があるんだ。そういうことがあると、これはやるべき仕事なんだなって思うよ」と語る。

さらに、2014年には自身初の長編監督作『ドン・ジョン』を世に送り出している。本作ではアカデミー賞監督の名匠ロバート・ゼメキスとタッグを組んだが、こんな作品を完成させるなんて、同じ監督としては「悔しい?」と尋ねると…

「悔しい! という気持ちはないよ(笑)。一緒に仕事ができたことにとても感激したんだ。僕が監督した『ドン・ジョン』という映画について、社交辞令的な言葉じゃなくて、『ここの編集がよかった』『ここのカメラワークがよかった』と具体的に褒めてくれた。本当に評価してくれていると分かってうれしかったよ!」と笑顔で明かす。「彼は偉大な監督でありながら、とても控えめな人なんだ。誰かの意見をしっかりと聞いて、周りへの気配りもかかさない、そういう光景を何度も見た。そういうロバートの姿を通して、人を動かすということはこういうことなんだと学んだよ」。

また、劇中では『イヴ・サンローラン』『マダム・マロニーと魔法のスパイス』のシャルロット・ルボン演じる女性アニーが、天才か狂人か、独創的なプティに惹かれ、ともに夢を追う“共犯者”となっていく。たとえ危険が伴っても、夢を追い続ける男性の背中を押すアニーは「とても魅力的だったね!」とジョセフ。しかし、「個人的には誰かの夢を応援する以上に、自分の夢を追う女性が好きかな」と明かす。

自身では今後、プティのように絶対にかなえたい夢はあるのだろうか? 「もちろんあるよ! でもみなさんの前で言ってしまうと実際にやらないといけなくなるから、秘密にしておく(笑)」と、お茶目にかわすジョセフ。だが、今回プティを演じてみて、「いままでにないインスピレーションを受けたんだ。いまはムリなんじゃないかと思うことも、絶対チャレンジしてみたい…そんな気分だ!」と語り、プティ直伝の超ポジティブぶりを見せた。

「残念ながら今回は行けなかったけど、『インセプション』のプロモーションの時に6日間だけ日本に行ったことがある」というジョセフは、映画の公開を待ちわびる日本のファンに、「僕は色んな人に出会うのが好きだから、東京のような大きな都市がとても好きだよ。ぜひまた日本に行きたいな!」とメッセージを贈る。

彼が見据え、歩いていく先を、ぜひ我々も見守りたい。

『ザ・ウォーク』は1月23日(土)より全国にて公開。

《text:cinemacafe.net》
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