「留学=ブルジョア」の時代は終わった…プランB高野幹生代表 | Push on! Mycar-life

「留学=ブルジョア」の時代は終わった…プランB高野幹生代表

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プランB代表の高野幹生氏
  • プランB代表の高野幹生氏
  • 「IMGアカデミー・ニックボロテリーテニス」のニック・ボロテリー代表(左)と高野氏(右)
  • 2014年にIBCパブリッシングより発行された高野氏著「留学の真実」
  • プランB
 「もっとスマートな留学を」をキーワードに、小学生から社会人に向け留学プランを提供している留学エージェント「Plan B(プランB)」。扱うプランは、短期の語学留学や世界大学ランキングに名が挙がる大学への留学、名門テニススクールへのスポーツ留学までさまざまだ。代表の高野幹生氏に、留学トレンドや積極的に英語を学ぼうとする学生に向けたメッセージを聞いた。

--小さな頃から英語に興味があったようすですが、幼少時代はどのような子どもでしたか。

高野氏:母親の郷である福岡で生まれ、大阪で育ちました。一般的なイメージの関西人とは正反対の性格で、中学に入るまでは同級生も含め自分から知らない人に話しかけた記憶はありません。

 英語に興味を持つようになったのは、中学1年生の頃に空手の師範だった叔父の孫弟子が昇段試験のためロサンゼルスから家族で来日し、そのなかにいた14歳の女の子と出会ったことがきっかけでした。外国人と英語で話すのはそれが初めてだったため、習得したばかりの英語が伝わって嬉しいのと、もっと色々話したいのに話せないのがもどかしいのとで、一緒にいたのはごく短時間だったのですがその経験は大きな衝撃として心に残りました。

 それからは誰に言われるまでもなく「(英語では)こういう時にはどう伝えればいいかな」などを勉強するようになり、自然とテストの成績も伸び、自信に繋がっていきました。結果、高校に入ると「英語で生きていく」という強い気持ちが出てきて、ほかの科目にはわき目もふらず英語の勉強だけに集中しました。高校3年生では英語と国語で全国模試3位、偏差値85で表彰された反面、他科目はすべて平均以下というありさまでした。

 大学は外国語大学に進学しましたが、高校時代に突き詰めた英語を磨くようなものとは懸け離れた大学の現実を目の当たりにし、モチベーションは直滑降。そのまま時間とお金を無駄にするのであれば海外へ、と一念発起し、退学して渡豪しました。そして、オーストラリアのJAL現地法人で海外キャリアへの一歩を踏み出しました。そのあと、帰国して商社やインターナショナルモデルエージェンシーなどを経由したのち、留学エージェント「プランB」を立ち上げました。業種は多様ですが、結果的に高校生の頃に決意した「英語で生きていく」ということは一貫して実現できていると思います。

--プランBとは、何でしょうか。

高野氏:「プランB」とは英語では一般的な表現であり、一言でいうと「次善策」です。これには幾つかの意味がありますが、私は「現状を打破してより良いものにする改善策」という、よりポジティブな意味として解釈しています。その意味で、自分で起業するという選択は私にとってまさに「プランB」でした。

 プランBを選択し起業したのは、兼ねてから日本では留学というものが世間一般で正しく理解されていない、あるいは本来あるべき形で提供されていないと考えていたことが理由のひとつです。端的に言うと、「留学=ブルジョア」という誤った固定観念です。確かに、東海岸あたりの伝統的なボーディングスクール(寮制学校)は年間600万円かかって当たり前の世界ですが、一方で年間200万円そこそこで通える学校もたくさんあるのです。

 私は、そういった留学の固定観念や帰国後英語を使えない留学経験者が多く存在するのは、古くから多くの留学エージェントが「高品質」「付加価値」の名の下にレッドカーペットを敷いてその上を歩かせるような、いわばスプーンで口まで食べ物を運んであげるような留学方法を提供してきたことが原因にあるような気がしていました。そういった留学業界への「プランB」の意味も、会社名に含まれています。

 また、日本で入学あるいは就職したのは良いけれど、それが本来あるべき姿でないと思いながらも惰性で人生を浪費してしまっている人たちへの「プランB」という意味合いも含んでいます。

--理念をもって立ち上げられた「プランB」ですが、利用者はどの世代が多いですか。

高野氏:弊社がこれまで留学をお手伝いしてきた方は小学生からシニアの方まで本当にさまざまです。ただ、最近の傾向を見ると留学が少しずつですが一般的なものになりつつあり、留学希望者の低年齢化、多様化を感じます。

 ひとつの例として、弊社が日本国内で数少ない正式窓口として契約をしているIMGアカデミーは錦織圭選手の母校で、現在ここへの短期留学希望者が非常に増えています。2週間という短い期間でも小中学生のころから世界のトッププレイヤーの練習が目の前で見られる、あるいは彼ら彼女らがやってきたトレーニングを多かれ少なかれ同じレベルで受けられることで、そこで受けた衝撃がそれ以降の結果に影響を与える可能性があります。

 あるいは、テニスだけでなく国際コミュニケーションの楽しさや難しさを体で感じ、英語が勉強でなくそれを楽しむためのツールになる可能性もあります。こうなると放っておいても結果的に「勉強」することとなり、過去の私が中学1年生の時に一瞬だけ出会ったアメリカ人に大きなきっかけをもらったように、遊んでいるつもりでも英語だけは伸び続けるということにも十分、成り得ます。

--低年齢からの留学が少しずつ活発になっている、ということですが、子どもたちにとって海外進学・留学のメリットはどのような点にあるとお考えですか。

高野氏:たとえば、高校生くらい年齢で留学すると、英語であろうと何であろうと、ネイティブレベルに到達できる可能性がぐんと上がります。私たち40代がこの先20年間アメリカで生活しようとも、日本語英語のアクセントが完璧に抜けることはまずありません。一方、高校の3年間をアメリカで過ごしたティーンエイジャーたちは、個人差はあるもののたいてい一般的な日本人が理解できないレベルの発音とスピードで話すことができるでしょう。

 また、常にプランBに寄せられる「よくある質問」には留学費用に関するものがありますが、これもやりようによっては日本の一般的な大学4年間で使うお金よりも留学の方がずっと少ない費用で済む、ということも留学メリットのひとつです。ですから、実は「うちは留学に行くお金なんて用意できない」というのは海外に行かない、行けない本当の理由にならない場合があります。

--先日、THE世界大学ランキング2015が発表されました。このランキングを指標に留学を考える学生もいるかと思いますが、学生に伝えたいメッセージはありますか。

高野氏:これまでも日本の大学は欧米はもとより他のアジアの大学にも押され気味でありましたが、今年のランキングでは軒並み日本の主要大学がこれまでになかったような落ち方をしました。

 ひとくくりにはできないものの、東京大学が昨年の23位から43位へ順位を落としたことに現れているように、これはやはり国際化度合いの遅れと論文の引用回数が大きく響いているように見えます。実際Teaching, Researchは同等に位置付けられた他大学と比較しても秀でているものの、International Outlookでは上位500位にも入っていません。このウィークポイントは日本の大学の特徴的なもので、実際International Outlookにおいて日本でトップである筑波大学(401-500位)、上智大学(601-800位)でも世界的に見るとやはり500位にも入りません。またリサーチ結果を世界に発信し影響を与えるという意味合いのあるCitationsでも東京大学と首都大学東京を除いてすべての大学が400位にも入っていません。

 もちろんこのランキングだけで大学や学生の優劣を決めるものではありませんし、その採点方法や配分などにも議論がありますが、それは日本国内で「偏差値なんて…」というのと似ていて、馴染みのない学校のレベルを知る際にひとつの大きな指標になり得ることは否めないでしょう。もし、将来アメリカ資本の企業のロンドン支店でベルギー出身の面接官あるいはアイルランド人上司のもと多国籍チームに配属されたときに、日本国内の偏差値がタイムズのランキングより効果的なアピールになるとは思えません。

 そう考えると、もしこれからグローバルにキャリアを築いていく上で自分の評価を高めてくれる学校で教育を受けようと考えるのであれば、必ずしも日本の名門校へ入ることが賢い選択であるとは限りません。極端な話になりますが、高校まで普通の公立校に通って5段階で4.0位の評定平均を取れば東京大学に並ぶような世界の名門校に入ることだってできるのです。

--今後展開予定の新しいサービスはありますか。

高野氏:今後は、よりプログラムに幅をもたせていきたいと考えています。たとえばIMGアカデミーであれば、錦織圭選手のおかげでテニスが非常に盛り上がりましたが、バスケットや野球、アメフト、陸上、女子サッカー、ラクロスなどのスポーツ留学を広めたいと思っています。

 また、こういったスポーツと文部科学省の「トビタテ!留学JAPAN日本代表プログラム」高校生コースを絡め、お子さまたちが奨学金を使って留学できるようサポートしていきたいと考えています。方法によってはこの制度を使うことで飛行機代だけ、あるいはそれ以下の費用で留学できる可能性がありますので使わない手はありません。海外の高校への交換留学的な使い方から、一般の語学学校や2週間程度の短期留学にも活用可能です。

--留学に関心のある生徒・学生やその保護者に向け、留学に関するアドバイスをお願いします。

高野氏:政府機関の調査によると、高校生の4割以上が「留学したい」と考えているそうです。ところが実際に3か月以上留学するのは0.1%。そして「留学したいけどできない」という理由の上位にくるのは「費用」です。しかし、実は留学は皆さんが思われるほど費用は掛かりません。地方から出て東京の大学に4年間通うことができればそれよりも低い予算で行くこともできますし、さらに言うと2年間で「四年制大学」卒業の学位をとることも可能です。高校でも、滞在を含む年間費用が200万円程度のところもあります。もちろん、どれも欧米の英語圏、当然国や州から正式に認可された学校での例です。

 また、「英語力がない」という理由で留学をためらうとも聞きますが、これはまったく気にする必要はなく、むしろ日本に住んでいて本当の意味で英語力がある人は非常に少数です。海外に行かなければなかなか使える英語力は身につかないのですから「英語力がない」から留学に行けないというのは本末転倒です。

 結局何でもそうですが、それをしない理由はたくさん見つかります。海外に行くリスクもありますが逆に日本にいるリスクもたくさんあります。最終的にはその一歩を踏み出すかどうかだけですので、どうか大人になって後悔しないように、思ったら行動に移してもらいたいと思います。

--ありがとうございました。
《編集部》

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