フランス発 プレミアムブランド『FOCAL』の 最新デモカーを聴く! #3: TOYOTA・G’s AQUA | Push on! Mycar-life

フランス発 プレミアムブランド『FOCAL』の 最新デモカーを聴く! #3: TOYOTA・G’s AQUA

フランス発の名門ブランド『FOCAL』の“今”を探るべく、最新デモカー3台の試聴取材を敢行した。そのインプレッション・リポートをお届けしている。今週クローズアップするのは2台目、こちらの『TOYOTA・G’s AQUA』だ。注目のミドルグレードユニットを核に独特のシステムを構築した、興味深い1台。見どころ、聴きどころを詳しく解説していく。

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フランス発 プレミアムブランド『FOCAL』の 最新デモカーを聴く!


フランス発の名門ブランド『FOCAL』の“今”を探るべく、最新デモカー3台の試聴取材を敢行した。そのインプレッション・リポートをお届けしている。今週クローズアップするのは2台目、こちらの『TOYOTA・G’s AQUA』だ。注目のミドルグレードユニットを核に独特のシステムを構築した、興味深い1台。見どころ、聴きどころを詳しく解説していく。

ところで、先々週にご紹介した『VW・Golf Variant』は、“カスタムフィットモデル”シリーズの注目アイテム、チューンナップツイーターを搭載している点が見どころだった。『FOCAL』というと上級ユニットに目が行きがちだったのだが、税抜価格7500円というこのアイテムの実力を目の当たりにして、『FOCAL』の製品ラインナップはかくもレンジが広かったのかと認識を新たにすることができた。

さて、こちらの『G’s AQUA』である。このクルマもまた、これまでの『FOCAL』のイメージとは一線を画す、新機軸なユニットを搭載しているところが注目ポイントだ。

早速、システムレイアウトから見ていこう。まず、ヘッドユニットはアルパインのAV一体型カーナビ、「ビッグX」。そのRCA出力を“アクティブ・デジタル・2.1ch・サブウーファー”の「DSA 500RT」に接続。当機がその新機軸ユニットだ。そしてそこからのスピーカー出力を、2ウェイコンポーネントスピーカー、“FLAX”シリーズ「PS 165F」(税抜価格:4万4000円)に接続。当シリーズも最新『FOCAL』ラインナップ中の注目作である。注目ポイントは、コーン(振動板)素材にフランス特産品である天然繊維“亜麻”(Flax)が使われている点。このスピーカーからどのような音が聴けるのかも気になるところだ。


FOCAL・PS 165FFOCAL・PS 165FFOCAL・PS 165F

FOCAL・PS 165F


さて、「DSA 500RT」だ。このユニットがどのように新機軸なのかを説明しておこう。まずこれが何なのかというと、“パワードサブウーファー+2chパワーアンプ+DSP”である。昨今、アンプ+DSPなどの複合機の登場が目立っているが、ここまでマルチなユニットは珍しい。この機器さえあれば、手軽に、かつ省スペースで、2.1chの本格外部アンプシステムが構築可能なのだ。このマルチさがすなわち、当機の最大の特長なのである。しかも税抜価格は11万円となかなかリーズナブル。

“FLAXシリーズ”スピーカー「PS 165F」をどこまで鳴らすことができるのか、興味津々で試聴を開始した。


FOCAL・DSA 500RTFOCAL・DSA 500RTFOCAL・DSA 500RT

FOCAL・DSA 500RT


一瞬の出音で、それぞれが実力機であることを実感できた。AV一体型カーナビをヘッドユニットとしていながらも、十二分に本格カーオーディオのサウンドが楽しめたのだ。

音質傾向は至って明瞭。クリアで明るく、見通しも良好だ。情報量がしっかりと担保されていて、各楽器の輪郭もくっきりと描き出していた。質感高くそれぞれの楽器の音色を表現するので、耳にも心地良い。帯域のバランスもナチュラルだ。

アンプはきびきびとスピーカーを動かそうとし、スピーカーもそれに確実に応えている。音の立ち上がりが早く、歯切れがいいのだ。アンプ、スピーカーともに、性能をいかんなく発揮できている印象だった。

パワードサブウーファーが奏でる低域も上質だ。試しに、低域をブーストさせてみたのだが、パワーをかけても一向に歪むことなく、ドライブ感高く重低音を鳴らしている。

DSPの能力もなかなかだ。タイムアライメントは2chなので、マルチシステムのような厳密な設定は行えないが、それでも十分にセンター定位を感じることができた。ステージングも悪くない。イコライザーは7バンドパラメトリックEQ。パラメで7バンドなのだから、十分に本格派だ。

さらには、クロスオーバーの使い勝手が良いことも利点だ。サブウーファーは20〜200Hzの中でハイパスとローパスの両方をかけられ、フロントスピーカーについても45〜300Hzの間でハイパスが可能。また、それぞれのゲイン調整ができ(0〜-40db)、サブウーファーのフェイズコントロール機能(正相、逆相)も付加されている。DSPとしても手応えある一品に仕上げられている。


アルパイン・ビッグXBEWITH・STATE MM-1D

アルパイン・ビッグX / BEWITH・STATE MM-1D


ところでこの『G’s AQUA』には、もう1つ、隠し球的なユニットが搭載されていた。それはビーウィズのヘッドユニット、「STATE MM-1D」だ。「STATE MM-1D」からインターフェースユニットを介し、音声信号を「ビッグX」の外部入力(AUX)に送り込めるようになっていた。

音楽ソースをCDから外部入力に切り換えて試聴してみると…。CDを再生したときよりも確実に音の鮮度が上がった。情報量が増え、S/Nも向上し、緻密でスムーズになった。質感もさらに向上している。名機「STATE MM-1D」をアナログの外部入力で使うというのはちょっと贅沢な使い方ではあるが、このシステムレイアウトはアリだ。「STATE MM-1D」の音の素性の良さをしっかりと味わえる。当機の新たな可能性を発見できた。

それを感じ取れたのも、『FOCAL』の「DSA 500RT」、および「PS 165F」がともに、確かな性能を有していたから、でもある。それぞれ、信号の上質さを表現しきれるユニットなのである。

さて、次週はこれまでと打って変わり、ハイエンドシステムを搭載したデモカー『Mercedes-AMG E63』をご紹介する。次週もお読み逃しなきように。

《太田祥三》
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