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【DIATONE NR-MZ80PREMI】その能力のすべてを完全解剖! #4: イコライザー機能 その2

講師:サウンドステーション クァンタム 土屋和之氏

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【DIATONE NR-MZ80PREMI】その能力のすべてを完全解剖!

講師:サウンドステーション クァンタム 土屋和之氏

『DIATONE SOUND.NAVI』の上位機種、「NR-MZ80PREMI」について、その能力・実力を徹底分析している当連載。前回は、イコライザー機能について解説した。今回はそれに引き続き、この機能をプロはどのように運用しているのかをご紹介していく。この機会に、イコライザーとはどのような機能なのかより深く知っていただきたいと思うのだ。講師は、茨城の実力ショップ、クァンタムの土屋さん。じっくりとお読みいただきたい。

ところで前回の記事でも、イコライザーの使い方について少々言及している。まずはそこのところをおさらいしておきたい。前回触れたイコライザーを使う時のポイントとは、以下の2点だ。


  • 最後の“微調整”のために使用する。

  • 左右の特性の違いを補正するために使う。

そして上記の2点の理由について、以下のように説明した。

車内の音響特性の乱れを補正するのがイコライザーの役目だが、イコライザーを調整するより前に、取り付けに関すること、さらにはクロスオーバー調整やタイムアライメント調整で音響特性の乱れが出ないように追い込んでおく必要があり、それでもどうにもならない微細な乱れ(左右での微妙な違い)をイコライザーで整える、というように説明した。

今回はまず、車内の音響特性の乱れに対処しようとした時、なぜイコライザー以外の部分で追い込んでいくべきなのかについて詳しく説明していくことから始めたい。

実は、“車内の音響特性の乱れを補正するのがイコライザーの役目”というところに盲点が隠されている。

それは、「イコライザーを操作するという行為は、音源自体をいじる行為である」ということ。

イコライザーの操作がおよぶ範囲は、スピーカーに送られる前の信号に対して、なのである。スピーカーから発せられた後の音を補正する機能ではないのだ。特性を乱す原因は元の信号にあるわけではないのに、元の信号をいじろうとするのがイコライザーなのである。CDに収められた信号をそのまま再生するのがHi-Fiの目標だ。にも関わらず音源そのものをいじろうとするのは、本来の理屈から言うと矛盾をはらんでいる。

もし車内に、ピークやディップなどの音響特性の乱れがあるとするならば、それを引き起こしてしまっている物理的な何かを改善すべきなのである。デッドニングなのか、スピーカーの取り付け方なのか、クロスオーバー調整なのか、タイムアライメント調整なのか。その原因を見つけて、それを正さないといけないのだ。

イコライザー調整、すなわち、音源自体を変えるという操作は、しないですむのがベスト、なのである。


『DIATONE SOUND.NAVI』NR-MZ80PREMIその能力のすべてを完全解剖!

さて、“イコライザーを触らないですむのが1番”という前提の上で、“プロはどのようにイコライザー機能を運用しているか”を具体的にご紹介していこうと思う。

イコライザーを使う場面は、サウンドチューニングの1番最後だ。すべてをやり終えた後に、リファレンスとなる音源を聴いて、正しく再生されているかどうかをェックする。正しく再生されている時にどのように聴こえるのか頭に入っている音源を使ってこれを行う。

正しく再生できているのか、正しく再生できていないのか、さらにはどこがどのように正しくないのかを判断する。

そしてさらに、その“正しくない”部分にどのように対処すればいいのかも、プロは瞬時に見極められるという。正しく聴こえない時のそれぞれの聴こえ方に対して、このような聴こえ方の時にはどこを疑えばいいか、ということまで頭に入っているのだ。

取り付けに関することなのか、クロス調整なのかタイムアライメント調整なのか、またはイコライザーで直ることなのか。そこをまずは見極め、そして、それぞれに立ち返って1つずつ潰していく、という作業に入る。

その結果、最終的にはイコライザーはフラットのままで終了できれば、それがベスト、というわけなのだ。実際土屋さんは、9割のシステムで、イコライザーはフラットのままだという。多くのケースで、イコライザー機能は未使用なのである。そして、イコライザー調整以外のことですべてを解決できなかった残り1割のケース(車室内の形状などの対処できないことに起因している音響特性の乱れ)に対して、イコライザーをほんのちょっとだけ使っているという。

このようにHi-Fiにおけるイコライザーは、“抑えの切り札”的な機能なのである。本来、激しく使うべきものではなく、できれば使わないですむのがベストであり、そして使いたい時には、微細にコントロールできるものである必要があるのだ。「NR-MZ80PREMI」の『フロント左右独立31バンド・アジャスタブルFIRグラフィックイコライザー』はまさに、そのような時に繊細に対応してくれる機能なのである。

さて次回は、これまでご紹介してこなかった『DIATONE SOUND.NAVI』ならではの楽しみ方、“リアスピーカーの活用術”について解説してみたい。これに関しては「NR-MZ80PREMI」、「NR-MZ80」両方のユーザーに共通のメリット。ご期待を。

《太田祥三》

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