
車で最近の音楽を聴く習慣は殆ど無くなってきました。気持ちがもう欲しがらなくなってしまって。毎日のように車で仕事場に向かい、ツアーに出ると何時間も閉じ込められ、車は専ら移動の手段、最近の音楽を聴いて心躍る瞬間を共にする事はまず無い。きっとそれは作り込まれた音が苦手という個人的で簡単な理由の他に、その先に音楽を聴くのに必要ない雑念や計算を職業上抱えこんじゃっているからかもしれない。
車の中で一人って場合は特に雑念無く純粋に楽しみたい。そういった意味で10代の頃に夢中で買いあさったYazooレーベルは特別な存在です。古いブルースやジャズ、ハワイアンを教えてくれました。その中でも特別なのが、存在自体もミステリアスな、ラグタイムギターのキング、ブラインドブレイクです。もう20年近く彼に夢中なんです。勿論、エディーラングやソルフーピーも。
この音源は作品集と言うよりは記録集と言った方が良いかもしれない。曲順に狙いもないだろうし、戦前に録音された音にはノイズがたっぷり入っている。戦前の録音を聴いた事の無い方は最初はビックリするかも。しかしダイレクトに録音された音には、その場の空気、風景、気持ちも記録されている。これが全てであり素の音楽がそこにはある。更に彼の音源には、どうしようも無く現実的な日常の繰り返しから、ずっと憧れ続けている世界に連れて行ってくれる魔法も録音されているようです。そら夢中になります。
今日の帰り道は久しぶりに聴くとします。
運転中ならノイズも気になりません。ただし大きめの音でお楽しみ下さい。
車の音にかき消されちゃいますから。テープ推奨です。

1971年兵庫県尼崎市生まれ
ギター、ウクレレ、ハワイアンスティールギター、マンドリン等を演奏する気難しい南国系すきま演奏家、作編曲家。専門はギターのはず。ギターを有山じゅんじ氏に師事。19世紀前半のポピュラー音楽の歴史に多大なる影響を及ぼしたスティールギター(Sol Hoopii、Sam Ku West)、ウクレレ(Roy Smeck)から、和声感覚に優れたスウィングギタリスト(Carl Kress、George Van Eps)の奏法を体現するストリングススタイリスト。
2008-04-07 Mycar-life *「Music*car=life」は毎週月曜日更新予定です。