
今まで好きじゃなかった、よく分からなった音楽だったけど、この瞬間、このシチュエーション…と、聴く状況や環境の変化によって、初めて良さが分かったって体験があるかと思います。 自分はフォークやロックが好きなのに、ボブ・ディランがなかなか理解できなくて、ちょっと悩んでいた時期があったんですが、長距離バスに乗りながら夕方の田園風景を見てボブ・ディランを聴いたら一発で入ってきました。
まあ好みは人違えど、相性というか相乗効果ってのは結構あると思うんですよね。
掃除する時はメタルがよく片付くとか、トイレで苦戦してる時はプログレが排便作用を促してくれるとか、味気ない夜の高速道路はテクノが疲れを感じさせないだとか、赤提灯で一杯やりながら演歌を聴くと通常の倍酔えるだとか、ミスドで聴くオールディーズがドーナツをさらに美味しくさせているだとか、自分なりにいろいろな音楽法則が蓄積されていると思います。
そして今回のお題「ドライブ」ですが、クルマというものはそれなりに広いし冷暖房付きで、混んでない所を走るのはかなり快適。そんなリラックスした状態のまま、いろいろな所へ行けて音楽が聴けるってのは非常にありがたいことで、そんな状態だからこそ、アレコレ新しい良い音楽にも出会えることができるんだと思います。 毎年ドライブ中には「ここではコレ」っていうドンピシャな音楽を何個か見つけてきています。その中で2007年見つけたNo.1ベスト・マッチングを紹介させてもらいたいと思います。
今まで夏と言えば「海⇒レゲエ」というのが自分のパターンだったのですが、今年の夏、長野に住んでる友達の家に遊びに行く機会があって、すごく久しぶりに山に行って来たんです。 気持ちいいくらい晴れた日で、真昼に高速を降りると、すぐにカパーっと視界が開けてて、バックには山がドーンて感じで、夏特有の青い空とまだまだ高い陽、でも高地だからちょっと涼しいというまさに山日和りだったのです。 冷房を消して窓を全開にして「ああ山もいいもんだな」と空気を思い切り吸い込み、友人と「ここはいっちょスケールのでかい音楽を聴こうぜ」と、持ってきたCDをチェック。で、その中で一番スケールがでかいと思われたのが長渕剛「静かなるアフガン」。コレは!と思い聴いてみたのです。
同曲は、ブッシュ政権が同時テロの報復としてアフガニスタンを侵攻し始めた頃、02年5月に発売された長渕流プロテスト・ソング。切々と唄うというか喋るというか、訴えかけるような長渕独特の歌いまわしが心に染みます。そして、何とも雄大な詞の世界が素晴らしいのです。
高い建造物に囲まれて暮らしてたのではこんなに抜けのいい奥行きのあるスケールの音楽は創れない。あのスケールの大きい音楽はこういう風景から生まれるんだと友人と興奮し、環境によって生まれる音楽が違うんだって結構当たり前なことに感動しました。 東京とかでの街乗りでは、ここまで染み渡らなかったであろうし、そこまでイマジネーションが膨らまなかったと思いますが、この瞬間だからこそ友人と長渕を堪能できたわけです。
今まで長渕氏が苦手だったと言う人も、彼のなんなりかがちょっとは掴めると思います。 是非このベスト・マッチング<夏&山&長渕「静かなるアフガン」>をお試し下さい。

ミュージシャン
ヒップホップ、アフリカ音楽、フォーク、アカペラ、お囃子などを縦横無尽に取り入れた斬新的なパンクロック・バンド、赤い疑惑でベースを担当。赤い疑惑は現在ニュー・アルバム制作中。来春発売予定です。
2008-01-07 Mycar-life *「Music*car=life」は毎週月曜日更新予定です。