

見た目はシンプルなオーディオ・ナビだが、秘めた機能と性能はハイエンドクラスの中でもトップクラスの力を持つ
Clarionのナビは、以前から使いやすさと独自の機能を持ち、使っている人の評価はかなり高いものがある。通信機能や凝ったメニュー画面などを使っていないため、カタログや広告でのPRが薄く感じられるが、実際に使ってみれば、その良さはすぐに実感できる。
これはAV機能でもまったく同じことがいえ、音質や映像でも地味だがいい機能を多く搭載している。豊富なメディア対応もCRASVIA NX808の特徴で、DVD/CD、iPod & iPodビデオ、USBメモリー、SD/SDHC、Bluetoothオーディオにも対応。iPodはビデオ再生も可能で、タッチパネルコントロールの操作性が非常に分かりやすい。USBメモリーやSDカードを使い、PCからMP3/WMA/AACファイルの楽曲を、カーナビのHDDに転送できるファイルキャッチャー機能や、CDをナビで録音するミュージックキャッチャーも搭載している。ファイルキャッチャーでHDDに転送されたファイルは、独立したソースとして扱われ、タッチパネル操作によって、選曲・再生を行える。
ミュージックキャッチャーは、録音時にタイトル付けと同時に曲調解析を行い各曲を分類。他メーカーでも採用されている曲調毎の再生をを行うことができるようになった。クラリオンではソングパレットという名称が付けられた機能で、「クール」、「癒し」、「元気」という3つのワードで構成するトライアングルを画面上に表示され、気分にあった部位にタッチすると、そのイメージにあった曲を最大で99曲をリストアップし、再生を行うというもの。CD再生によってたくさんの曲を録音すると、自分では何が入っているか覚えておらず、再生せずに埋もれてしまう曲も少なくない。この機能を使うことで、自分では覚えていないが気分に合致した曲を探し出すことも多く、新鮮な気分で音楽を楽しむことができる。また、現在聴いている曲に近い類似曲を選び出す機能も搭載している。これまでどおりジャンルやアーティスト名などでプレイリストを自動作成することも可能で、ユーザーの使い方に合わせた様々な方法で曲を選ぶことができる。
音楽やDVD再生時の音がいいのもCRASVIAの特徴で、素の状態はもとより新機能として搭載されたドルビー社のカーサラウンドプログラム「DAEP」の効果で、今までにない臨場感と迫力を持つ音楽再生を実現した。「DAEP」は、車内の全ての席のどこでもで前方に音源が定位する「バイ・ファントム・センター」や「プロロジックII」など、ドルビー社が持つ様々な技術を結集し、車室内環境を考慮した上で作り上げた、車載専用のサウンドシステムとして作り上げられたものだ。「バイ・ファントム・センター」は、センタースピーカーを不要とした4 スピーカーシステム構成ながらも、それを感じさせない優れたセンターチャンネル再現性を実現。座席ごとにサラウンドチャンネルを最適化できる「アドバンスドフェーダーミキシング」、後席でも立体的な音像を実現する「アドバンスドフェダーコントロール」は、音源に含まれる情報を損なうことなく、立体的な音像の操作を可能とし、リスニングポジションを問わず、楽器の深い余韻やボーカルのリアルな迫力まで再現する。これらの機能はどの席にいても恩恵を受けることができ、純正スピーカーやトレードインコアキシャルスピーカーでは特に音像がはっきりとさせることができる。
CRASVIA NX808は、RCA音声出力ケーブルがオプションで用意され、外部パワーアンプを追加してのシステムアップを行える。このときでも「DAEP」の効果を得ることができるが、セパレートスピーカーを使用する場合、高域が少し目立ちすぎたり、音質バランスが変わる場合もある。NX808は、タイムアライメントやグラフィックイコライザー、パラメトリックイコライザーで、自分好みの音場や音質を作ることもできるので、より本格的なサウンドを楽しみたいのなら、こちらの機能を活用したい。
NX808の魅力は映像にもある。地デジチューナーは4アンテナ×4チューナーで、全方向からの電波を受信して、いい部分を合成し安定した受信感度を確保。復調LSIによりデータに忠実な描画再現を行い、乱れのほとんどない受信を楽しめる。ワイドVGAパネルにより、描画自体も精細で、地デジもDVDもきめ細かい描画を実現している。地デジの番組表は3チャンネル表示が可能で、文字の大きさも適度なサイズで見やすいのはありがたい。
iPodは音楽だけではなくビデオ再生も可能で、操作系もタッチパネル上でダイレクトに行え、ミュージックとの切り替えも簡単で、他メーカーよりも進んだ操作系を持っているといえる。
DVD再生は、DVDディスクメニューの項目にタッチして操作可能なダイレクトタッチにも対応。通常のカーソルを動かしての操作もできるが、やはリダイレクトタッチが素早く操作でき、使い勝手がいい。
描画そのものはVGAパネルを採用していることもあって、精細で見応えのある画を映し出す。これはどのソースでも同じだが、特に地デジのフルセグでは、さすがにハイエンドクラスと納得のいく映像を見せてくれる。
このオーディオビジュアルの多機能ぶり、システム発展性の高さは、パイオニアのサイバーナビに匹敵する。音質ではまだ一歩及ばないが、価格を考えたらお買い得感は高いといえる。まもなくモデルチェンジの時期になるが、ハードや大がかりな機能の追加をしたモデルなので、今年のモデルチェンジでは機能面を含めて大きく変わることはないと予想される。すなわち地図が最新でなければ困る、という人以外なら、価格がこなれたい今が買い時といえる。2DINサイズでシステムアップを視野に入れている人に、強くオススメしたいオーディオ・ナビなのだ。
2009-03-26 [TEXT:岡本伸史/ PHOTO:岡本伸史/クラリオン]
*記事中の価格表示は特記がない場合、税込標準小売価格です。
