
惜しくも優勝は逃したが、高得点でオープンクラスの2位に入賞したトゥアレグである。クルマの性格からしても色々と制約の多いインストールだったようだ。なにしろヘッドユニットにはマッキントッシュが入っている。これを外すのは不可能だし、またユーザーからの強い要望もあって手をつけていない。またドアラインなどのインテリアや実用性も損なうことなく、そのうえで最高の音質を獲得しようという難しいコンセプトである。
このために選択したシステムが、MM-1とデジコア。意表を突いた構成だが、よく考えると上記のような要請に応えられるのはそれしかないかもしれない。
スピーカーはコンフィデンスだが、注目されるのがエンクロージャー。4.5リットルという大容量を確保しながら、バーチ材の積層で多面体の箱を形成し、ドアラインを維持している。気持ちのいい伸び方と余裕のある広がりに加え、細かな凹凸に富んだダイナミズムが実体感のある再現性を見事に実現した。
オデッセイの広い空間を生かして、奥行の深い再現性を目指したインストールである。MM-1とAZ-2を使い、スピーカーはコンフィデンス。トゥイーターとサブウーファーにだけアキュレートアンプを充て、ミッドウーファーだけR-208というのがややユニークだ。
聴いてすぐわかるように、サブウーファーのスピードが高域とよく揃っている。ミッドとサブウーファーをわずかに遅らせているというのだが、それで聴感上はぴったり合っているところが調整の巧みさといえそうだ。またドアは全面的にやり直したそうで、ブチルゴムで徹底的にダンピングし、シンサレートも使用している。同じエンクロージャーでも、周りのダンピングで大きく変化するのである。
ジャズは低音が安定して深く、気持ちのいい鳴り方だが、ボーカルもごくナチュラルだ。アカペラやオーケストラは空間が広く、そこに狙いどおりの音場が展開されている。豊かな余韻にも濁りがない。
開店10周年を迎えて店名も旧ディークラフトから変更したSDI。渾身の1台というそのクルマがニュービートルの10thモデルである。オープンクラスの3位入賞車だ。
AZ-2以外はプレミアムクラスと同じ構成とし、スピーカーはオールエンクロージャー。そのこだわり方がシステムの核心ともいえそうである。トゥイーターにはアルミダイキャストを使用。レーザー加工と3次元CNCで精密に仕上げ、軽量高剛性化を図っている。またミッドウーファーはアルミと樺材、サブウーファーには樺材をいった具体に、適材適所での素材選択を行った。
ダッシュボードの深さが有効に利いているためか、抜けがよく高域のよく伸びた音調だ。ジャズでもトロンボーンやピアノなどの音色がちょうどよく、切れのいい芯の詰まった感触を備えている。アカペラは空間の奥行とフォーカスが正確に描かれ、オーケストラやコーラスは情報量の豊富な余韻の瑞々しい鳴り方である。
MM-1とAZ-2を中心に、コンフィデンススピーカーをアキュレートアンプで鳴らすセミプレミアムシステムである。ゴルフのイメージにもぴったり合った本格派の構成といっていい。サブウーファーは1基だが、これで十分な力感が得られている。
レンジとバランスの整った再現性だ。ジャズは素直な音調で、トロンボーンやピアノがくっきりとした鳴り方をする。ただサブウーファーで低音を補いすぎているのか、ドラムなどが多少膨らんだ感触になるのが惜しいところだ。
しかしコーラスの伸び方はきれいで、わずかに細身の声の質感が余韻をいっそう繊細なものにしている。アカペラもフォーカスがよく、シャープな高域の響きが明快だ。オーケストラは解像度に富み、楽器どうしの分離がはっきりしている。そして強音でのエネルギーがずっしりとした厚みを感じさせるのである。
2008-07-24 [TEXT:井上千岳(オープンクラス)/ PHOTO:小田健市/木村博道]
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