
ディナウディオの現在の代表的なモデルで、17cmミッドウーファーとソフトドームトゥイーターによる2ウェイ。構成は基本的にホームのそれと同じで、独自のMSP(ケイ酸マグネシウムポリマー)振動板を最適形状としたコーン、ピュアアルミ・ボイスコイル、特殊コーティングによるシルクドーム、ネオジウムマグネットと磁性流体など、ディナウディオの基本技術が全て投入された精密な仕上がりを特徴としている。
高域のシャープネスが特徴的だ。トロンボーンは鋭く、張りがあって溌剌としている。ベースは明快でにじみがなく、ピッチも正確だ。ピアノもクリアで芯もしっかりしている。
アカペラはソプラノがやや鋭く出るが、レベルの調整で対応できるはずだ。クリアなことでは最右翼といってよく、余韻もよく乗り、ハーモニーの手触りもいい。
ボーカルはぼってりとした贅肉をすっかりそぎ落とした印象で、声に余分な付帯音がない。ソリッドに引き締まった質感だ。表情も非常に細かく捉えている。もうひとつ腰が落ちるといっそうディナウディオらしいといえそうだが、爽快で明瞭である。
ピアノはクリアなタッチで、起伏が深く陰影に富んでいる。低音もクリアで芯が強い。ボーイソプラノも余韻がよく響き、高域へ鋭く抜けている。透明なハーモニーが出色だ。

70W×4chパワーアンプ 134,400円
安定感が高く、特にウーファーの駆動力が高い。トロンボーンの厚みがあり、ベースやドラムもしっかり沈んでタッチも明瞭だ。トゥイーターにもうひとつ鋭さが欲しいところだが、暴れがなく当たりもいい。歪みっぽさがないため楽な気分で聴ける。
アカペラはソプラノがやや鋭いが、声の肉質感は厚く、ハーモニーにも濁りはない。音数が豊富でニュアンスに富んだ再現だ。
ボーカルはベースやドラムがしっかり鳴って安定感が高い。声に若干神経質なところはあるが、表情も不自然でなく、きめ細かな描き方をする。高域が制御されきっていないのがやや残念だ。
ピアノはタッチのクリアネスと響きの豊かさがステージの実体感を作り出す。情報量が多く正確な出方だ。ダイナミズムにも富んでいる。ボーイソプラノはきれいな鳴り方で、余韻もたっぷりと乗り、高域もうるさくはない。浮いた感触がなく、前後の遠近に富んで広がりのある出方をする。澄んだ響きが空間に充満する印象だ。
トゥイーターはややおとなしくなるが、ウーファーの駆動力が高く、ベースやドラムが非常に深く沈んで豊かに出る。トロンボーンもぱりっとして勢いがいい。厚みと立ち上がりの速さを備えた鳴り方だ。
アカペラは余韻が豊かに乗り、それが奥行きの深さを描き出す。正確な空間性だ。声の質感も重すぎず、肉質感はほどよく備えながらソプラノの伸びやかさも削がれていない。実体感に富んでアンサンブルが有機的に絡み、マッチングのいい鳴り方をする。
ボーカルもちょうどよく、甘さも強調されず、表情はきめ細かく、落ち着いた出方だ。重心が下がって安定感が高く、しかもディテールの立ち上がりが速い。
ピアノはタッチの芯の強さと響きの豊かさが明快で通りのいい鳴り方をする。ボーイソプラノも澄んでバランスがいい。声の肉質感と余韻の均整が取れて、ごくナチュラルで広がりのいい鳴り方である。

85W×4ch ハイブリッド真空管アンプ 136,500円
アンプの柔らかさと厚みがよく表現された鳴り方だ。トロンボーンはやや張りがおとなしいが、棘や濁りがなく、ベースがしっかりした量感で聴こえてくる。沈み方も深く、浮ついたところがない。ピアノも芯が太く、低音ががっしりしている。
アカペラは響きが豊かなためか肉質感がやや薄くなっている。しかしソプラノが鋭すぎず、ハーモニーが柔らかく重なって雰囲気はいい。ボーカルはゆったりとして声の甘さがたっぷりと出ている。少し甘すぎるかもしれないが、これが持ち味というべきだ。ベースやドラムが明瞭なため、音楽が痩せることがなく、安定した落ち着いた鳴り方をする。ピアノはさすがにタッチが丸くなる。響きは豊かだが、もうひとつ芯の太さが欲しい。低音はどっしりしてピラミッド型といっていい。
ボーイソプラノは余韻がよく乗って繊細な出方だが、声がやや低く出る。のどかな雰囲気だが、響きは澄んでいる。
2008-05-15 [TEXT:井上千岳/ PHOTO:Mycar-life編集部]
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