純正オーディオから始めるカーオーディオステップアップ術

#3: アンプ追加編

純正ヘッドとスピーカーの組み合わせをいくつか試してきたが、今週はそこに外部アンプを加えることを考えてみたい。

スピーカーを純正から換えると、それだけでも十分満足した気がするものだ。しかしそのうち物足りなくなってくるのも確かである。力が足りない、というのが最初に感じることだと思うが、それは単にパワーだけの問題ではない。どれだけスピーカーを鳴らすことができるか、つまり駆動力の不足が物足りなさの大きな原因になっている。だからアンプを加えることで、再現力がぐっと変わってくるというわけである。

試聴スピーカー

(左)carrozzeria TS-Z171PRS、(右)ディナウディオ SYSTEM 242

(左)carrozzeria TS-Z171PRS 17cmセパレート2ウェイスピーカー ¥63,000

(右)ディナウディオ SYSTEM 242 17cmセパレート2ウェイシステム ¥115,500

なお試聴にはカロッツェリアのTS-Z171PRSとディナウディオのシステム242を使用した。

ライトニング S4.400.4

S4.400.4

50W×4chパワーアンプ ¥39,600

ライトニング・オーディオはキャパシター・メーカーとして出発したが、ロックフォード・フォズゲートのグループに入ったことで製品ジャンルも拡大された。この製品はロックフォードのアンソニー・ダモアが設計に関わっているということで、パワーシリーズなどと共通するレンジの広さや解像度が価格を越えた音質を保障している。

バランスが取れて重心の安定した音調だ。TS-Zではトロンボーンの響きが多少薄めだが、輝かしさはちょうどいい。吹き上がってもうるさくないのは、歪みっぽい棘がないからだろう。ピアノは芯が詰まってベースはやや軽快だ。アカペラも鋭さが耳につかず、高域がよく伸びる。声が細身に出るのが惜しいが、ボーカルはもっと元気がある。立ち上がりも速く、基本的な音調がいい。オーケストラは解像度が取れて混濁もない。彫りの深さは上級機に譲るが、過不足なく鳴っている印象だ。

ディナウディオはもっと楽な感触で、この価格でこれだけ鳴れば十分に思える。高域が多少抑えられるが、棘っぽさはない。ベースがしっかりしてピチカートが明瞭。トロンボーンもやや華やかだが、厚みがあって響きが豊かだ。ピアノも芯がある。アカペラも声に若干硬質感は残るが、伸びはいい。またフォーカスが決まって奥行きのある存在感が出る。ボーカルはさらに優秀で不満がない。声はやや上寄りだが、表情は細かく色々な音がゆったり出てくる。オーケストラは精密で、遠近感に富んでいる。弦や木管の動きが非常に細かく、濁りがない。ミッドウーファーの駆動に苦労していない印象で、この種のスピーカーによく合いそうである。

ヘリックス DB4

DB4

60W×4chパワーアンプ ¥49,875

ダークブルーはヘリックスの最もベーシックなモデルだが、いままでの台形スタイルとはがらりと変わり、ブラックスとよく似たデザインになった。馬力で聴かせるのではなく、穏やかだがじっくりした力強さを持つ音調だ。TS-Zでは高低どこもエネルギーが豊かで歪みがなく、S/Nも高い。トロンボーンの音色はちょうどよく、ドラムがしっかり沈む。ピアノの芯もある。アカペラの音場感は上級クラス並みで、繊細なニュアンスがよく出ている。ソプラノ特有のきつさがなく、よく伸びた鳴り方だ。ボーカルはややおとなしくひっそりとしているが、表情はきめ細かく描かれる。清新でバランスがいい。若干余韻が多すぎるようにも感じるが、安定感が高い。オーケストラは解像度がもうひとつだが、力感のせいかもしれない。

ディナウディオでは若干角が取れて甘くなるが、聴きやすい。歪みがないせいかもしれない。トロンボーンに棘がなく、過度に輝きすぎず厚手の音色を持つ。ドラムにも弾みがある。ピアノも芯が詰まっているが、高域がおとなしいせいかタッチは多少丸い。しかしS/Nの利いた出方だ。ベースにもうひとつ力があればというところ。アカペラは余韻が強く、高域が伸びきらないのか詰まり気味なのが残念だ。ボーカルもやや表情が平板になるが、その中で適度な甘さを持つ暖かみもある。オーケストラはバランスが取れて聴きやすい。鋭さを嫌う向きにはよさそうだが、ディナにはもっとシャープでもいいように思う。

MTX X504

X504

50W×4chパワーアンプ ¥68,250

アメリカンカーオーディオの代表的な存在として様々なコンテストで圧倒的なパワーを誇ってきたMTXだが、最近はその力をハイファイの方へ振り向けている。いわゆるパワーハイファイで、このX504もベーシックな小型モデルだがやはり強靭な力感を持つ。

TS-Zではスピーカーのレンジをいっぱいに鳴らしきっている印象ではないが、強力な力感を見せる。トロンボーンは厚手で、ソリッドな感触を持ちながら瞬発力が高い。ベースはよく弾み、ピチカートのタッチが強い。アカペラも引き締まった再現だが、女声コーラス特有のしなやかさも欲しいところだ。ボーカルは暖色調だが、表情がストレートに出てくる。どちらかというとR&Bなどをぐいぐい鳴らすのに使いたい。

ディナウディオでも同様の再現性を示すが、密度のある音調といえる。上下のレンジを広げたいところだが、トロンボーンは筋肉質でドラムも骨太の印象。ミッドウーファーの瞬発力をさらに生かしたい。アカペラは直線的に声が飛んでくる感触で、鋭いソプラノなどのパワー感が強力だ。ボーカルは大柄な表現で、表情を細かく捉えながらにじみがない。オーケストラは大音量での推進力に富む。どちらかといえば小口径のミッドウーファーをがっちりと鳴らす方向のように思えるアンプである。

2008-02-21 [TEXT:井上千岳/ PHOTO:Mycar-life編集部]

*記事中の価格表示は特記がない場合、税込標準小売価格です。